
Bluetoothで音を飛ばすUSBトランスミッターの中でも、珍しい aptX-LL対応の REIYIN WT-04 を買って試していました。
結論から言うと、おすすめできません。WT-04を買う人は注意してください。WT-04は、一見、ハイスペックなわりに安価なのですが、Bluetoothのバージョンが古いと接続が不安定すぎて使えないからです。
以下、なぜダメなのか? について書いていきます。
REIYEN WT-04 を写真で紹介

小さい白い箱にはっていたのは、
- Bluetoothトランスミッター(WT-04)本体
- Type-C to Type-A 直角変換プラグ
- 取扱説明書(日本語)
の3点です。

WT-04本体は、USB-Aのプラグです。これをUSB-Cのプラグに変換するアダプターが付いています。これを何に使うかというと、

Nintendo SwitchのUSB-Cコネクタに取り付けて、ワイヤレス化するために使います。他に用途が見つからないので、L字の変換プラグは、Nintendo Switch専用ということでしょう。
ヘッドホン TD-BH01(Bluetooth 4.2 aptX-LL対応)とWT-04は、aptXでしかつながりません。aptX-LLではつながりません。
PS4は、前面のUSB端子に、そのままさします。
WT-04の主な仕様
- 大きさ:17.5 × 41.5 × 8 mm
- 重さ:4.8g
- 対応コーデック:aptX-Low Latency(aptX-LL)、aptX、SBC
- Bluetoothプロトコル:A2DP、AVRCP
- 周波数:2.402〜2.480GHz
- チャンネル:2
- Bluetooth バージョン:Bluetooth Ver 5.0
- 送信距離:10m以内
- マイク:Bluetoothのマイクあり
仕様としては、高性能です。
AACをサポートしていない
AACだけをサポートしたレシーバ(イヤホンやヘッドホン)はないので、不便ではないですね。
チャンネル数が2つ
同時につなぐことができるヘッドホンやイヤホンが2つというのは、便利です。
いままでの、Bluetoothトランスミッターは、イヤホンやヘッドホンを2つ同時につなぐ時、コーデックは品質の悪いSBCでの接続しかできませんでした。
このWT-04は、aptX、aptX-LLを二つのチャンネル同時に接続することができます。
ただし、マイクは、排他的になり、どちらか一方しか使えないと取扱説明書に書かれています。
Bluetooth 5.0
チップは、Qualcomm(クアルコム)の CSR8670 という Bluetooth オーディオ用のSoCを使っていると取扱説明書にかかれています。
CSR8670は、aptX-LLをサポートしています。2018年以降のBluetooth接続のヘッドホンやイヤホンの多くが、クアルコムのCSR8670を採用しています。
SoC
エスオーシー と読む。System on a Chip の略。
超小型電子機器にかかせない超小型コンピューター「マイコン」で、チップという小さな部品のこと。
WT-04の操作
このREIYENのWT-04は、中国の製品にありがちな、取扱説明書が英語と中国語という不親切なものではなくて、日本語の取扱説明書が入っています。機械翻訳の変な日本語ではありません。
以下、後々再設定する自分のためのメモとして、取扱説明書からの抜粋でまとめておきます。
初期化リセット
- USBをさして電源が入った状態で、
- TXの青ランプの点滅をみながら
- ボタンを10秒長押し
- TXの青ランプの点滅がなくなってから、高速に点滅
で、ボタンを押すのをやめると、リセットがかかった状態になります。
指を放すと、高速点滅が3秒程度続いて、そこからはチカチカと普通の点滅になります。
ペアリングの手順
- ヘッドホンやイヤホンをBluetoothのペアリング待ちにする
- WT-04をUSBにさして電源をいれ、ボタンを3秒長押しで 青のTXランプが高速点滅
あとは、ヘッドホンやイヤホンとWT-04が自動で接続してくれます。ヘッドホン/イヤホン側がしゃべる場合は、「Connected」って言います。
2台目のペアリング
1台目のペアリングと同じ手順でできます。
1台目、2台目をペアリングしておけば、ペアリングしたヘッドホン/イヤホンの電源をいれると、その二台に自動でつながります。
LEDの表示(接続のコーデック表示)
一台だけの接続時
- SBC:TX 青、SBC 緑
- aptX:TX 青、APTX 緑
- aptX-LL:TX 青、LL 緑
2台目も接続
- SBC+SBC:TX 青、SBC 緑
- SBC+aptX:TX 青、SBC 緑
- SBC+aptX-LL:TX 青、SBC 緑
- aptX+aptX:TX 青、APTX 緑
- aptX+aptX-LL:TX 青、APTX 緑
- aptX-LL+aptX-LL:TX 青、LL 緑
1台目の接続しているコーデックが優先されて表示されるのが基本。
二つ同時につながっている場合は、品質の悪いコーデックの方が優先されて表示されます。
WT-04をパソコンにつないで使う
Windows 10
ビジネスパソコンのオーディオがない場合は、こういうBluetoothオーディオUSBドングルを挿して、ヘッドセットで使います。
マイク、ヘッドホン 共に使えます。ただし、Bluetooth 5.0のaptX-LL対応の SoundPeats Engine以外は、aptX -LLでつながりません。aptXでならつながります。
aptXでも、SBCの”こもった音”とは別物の”派手な音”で鳴ります。
Mac Pro(OS X El Capitan)
Bluetooth 5.0フルサポートのBTI-039 Transmitter&Receiverとは相性が良い

WT-04をMac Pro(OS X El Capitan)につないで、受信機としてBluetoothオーディオレシーバ(BTI-039)をペアリングさせます。aptX LLで接続しました。
BTI-039のアナログ端子にヘッドホンをつけて聴いてみます。
音は抜群に良いです。Mac側で、Amazon Musicを起動して聴いてみました。曲を先送りにしても、TRONDのヘッドホンとつないだ時のようにSBC接続のこもった音にはなりません。
aptX LLでつながる、お気に入りのヘッドホンがワイヤレスにできます。ただし、BTI-039本体が大きいし、重さがあるので軽快なヘッドホンにはなりません。
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WT-04を実際に使ってみての問題点
Bluetooth 5.0より前のバージョンのヘッドホンやイヤホンとは相性が悪いです。
- aptX-Low Latencyにつながらない
- aptXにつながっているのに、音が悪くなる
- Bluetooth 5.0をサポートしていない古いOSのパソコンでは、マイクが使えない、コーデックがおかしくなるなどまともに動作しない
- マイクを使う場合、ヘッドセットになるので、SBC接続で音が悪い
Bluetoothのバージョンが古いと aptX LL でつながらない問題
私の手持ちのヘッドホンで、aptX-LLに対応しているヘッドホンは、TROND TD-BH01 です。
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aptX LLが使えるCreativeのBT-W2をペアで、Nintendo Switchのワイヤレスヘッドホンとして使っています。
BT-W2の代わりになるかな?と期待したのですが、残念ながら、aptX LLでつながりません。
表示は、APTXに緑のランプがつきます。ヘッドホンのTD-BH01側も、aptX接続である紫のLEDランプが点灯しています。
パソコンにつないでも、同じ結果で、APTX LLでつながりません。
Bluetooth 5.0のイヤホンとでは、aptX LL でつながる
Bluetooth 5.0でaptX-LLのコーデックに対応したイヤホン(SoundPeats Engine)を購入してテストを開始しました。

aptX LLのインディケータLEDが点灯しているので、aptX LLでつながっているようです。
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aptX LLは、Bluetooth 5.0かつaptX-LLコーデックに対応したものとしか つながらないことがわかりました。
aptXで接続していても音が悪くなる問題
これは、Bluetoothのオーディオトランスミッターにありがちな問題の一つです。
OS X El Capitan(10.11.6)などBluetooth 5.0をサポートしていないMacにつなぐと、音楽プレーヤソフト(Amazon Music)が次の曲へ行くときにコーデックが変わって、SBCの最低品質の音になってしまいます。
macOS Mojave(10.14.2)のMac miniであれば、Bluetooth 5.0のため問題ありません。
Nintendo SwitchやPS4のゲーム機につないで、一つのゲームをするような時には、シーン/ステージや曲が変わってもコーデックがSBCになって音が悪くなる現象は起きません。
原因は、検証したパソコン側のOSが、Bluetooth 5.0に対応していないことでした。対応しない古いOSのパソコンに、このWT-04をつなぐと正しく動作しません。

下位互換性はないと考えた方が良いでしょう。
Bluetooth 5.0をサポートしていないOSのパソコンではマイクが使えない
Windows 10やmacOS 10.14などの最新OSのパソコンでは、音声の入出力が使えます。
古いOSのパソコンでは、Bluetooth 5.0をサポートしてないため、マイクが使えない、音量やプレーヤーの操作ができないなど問題が起きます。
この辺も、不安定要素の一つになっていますね。
USB側は、単なるオーディオインターフェイスとして動作し、Bluetooth側はあくまでもヘッドホン/イヤホンとの通信に独立した設計になっていれば、ここまで不安定な挙動をしなかったと思います。
まとめ
AliExpressでも「REIYIN WT-04」という同名で売られています。売価は2700円前後です。日本のAmazonで買っても3300円程度です。返品が簡単な日本のAmazonで買う方が無難でしょう。
なお、取扱説明書に、技適(技術基準適合認定)マーク、認可番号は記載がありません。
検索すると、Bluetooth Audio Transmitter として登録されているようです。
WT-04は、Bluetooth 5.0のバージョン同士でなければならないという、シビアな(厳しい)面があることが分かりました。
Bluetooth のバージョンが古いモノでは、相性が悪く正常に動作しません。
下位互換性がない。つまり、古いBluetoothのVerのヘッドホンやイヤホンと相性が悪すぎます。

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