Canon のデジタル一眼レフカメラ EOS Kiss X8i レンズキット EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STM 付きを、2016年1月に買って3年間使ってきました。
使い勝手や付属品、設定の備忘録などを長期レポートとしてまとめておきます。
EOS Kiss X8iって何? どう違うの?
2017年6月にEOS Kiss X9とX9iが発売になりましたので、旧機種になったEOS Kiss X8iと比較のために表にまとめました。
EOS Kiss 型番 | X9i | X9 | X8i | X7 |
有効画素数 | 2420万 | 1800万 | ||
画像処理エンジン | DIGIC 7 | DIGIC 6 | DIGIC 5 | |
連写 毎秒あたり | 6コマ | 5コマ | 5コマ | 4コマ |
オートフォーカス測定点 | 45点 | 9点 | 19点 | 9点 |
動画性能 | 1080p /60fps | 1080p/30fps | 1080p/30fps | |
動画撮影時のAF機能 | チョイ改良 | AF | AF | |
動画撮影時の手ブレ補正 | できる | できない | ||
可動式液晶パネル | ついてる | なし | ||
タッチパネル | できる | |||
Wi-FiとNFC | ついてる | なし | ||
Bluetooth | ついてる | なし | ||
重さ 本体だけ | 485g | 406g | 510g | 370g |
レンズキットの価格 | 10万円 | 8万円 | 7万円 | 5万円 |
- 価格は、2018年1月のAmazonの価格です。
- EOS Kiss は、キヤノンEFマウントです。(Kiss Mを除く)
- X7は2013年発売ですから、今から買わない方が良いでしょう。
- 私は、2016年1月にEOS Kiss X8i(18-55mmのレンズ1本付き)をAmazonで73640円で購入しました。
表を見ながら、X8iとX9iの違いをざっくりと箇条書きにすると
- 光学センサーはそのままで、画像エンジンが進化した
- オートフォーカスの測定点が 19 → 45点と増えた
- 動画の性能がアップして、1080p/60fpsのフルHDがとれるようになった
- 動画撮影時のオートフォーカスが改良された
- Bluetoothが付いた
などの改良です。
操作など細々とした改良はあるでしょうが、カメラとしての性能の差は、大きく変わってはいません。そろそろ、EOS Kiss Xシリーズもエントリー機として枯れてきたようです。
2019年6月 EOS Kiss X10を買いました。10万円以下のデジタル一眼を3〜4年で買い足していくことにしました。性能はもう十分すぎて持て余しています。
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EOS Kiss X8iのフォト・レビュー
- EOS Kiss X8i本体
- EF-S 18-55mm IS STM(ズームレンズ )
- バッテリー LP-E17
- バッテリー充電器 LC-E17
- ストラップ
- mini USB ケーブル
- 取り扱い説明書
- PDFのマニュアル、画像処理ソフトの入ったディスク
が入っていました。
私が買ったのは、ズームレンズ(18-55mm)が一本付いたX8iのレンズキットです。二本目の長いズームレンズは、使い勝手の悪い暗い望遠レンズなので、家族やブログの写真等、日常生活を撮るのには使いません。だから、ヤフオク!には、ダブルズームキットの長い方のレンズが大量に売りに出ていますよ。
別にレンズやフラッシュライトを買う予定なので、そちらに一円でも予算を回したいので我慢しました。
X8iには、パソコンにつなぐUSBケーブルが付いてきますが、mini-USBなので、スマホなどでお馴染みのmicroUSBケーブルではありません。
EOS Kiss X8iのバッテリーと充電器について
バッテリーパックの型番はLP-E17、専用充電器は、LC-E17です。このタイプの充電器は、ACコンセントに差し込みにくいので、短めのAC延長コードを付けて使うことになります。
EOS Kiss X8i本体の外観とスイッチの説明
大きさは、手に取ってみるとこんなかんじです。
「ママカメラ」なので大人の女性(右利き)の人が持つのに、これ以上大きいのは無理です。
重さもズームレンズを付けて700gを超えるので、付属のネック・ストラップをつけて首からぶら下げるのには限界の重さです。胸の大きな女性だと、この大きさと重さでは邪魔ですし、肩がこります。
EOS Kiss X8i本体の前面をながめます。
右手で持つグリップが大きく、持ちやすいです。シャッターの位置も右手人差し指で操作できるところに、ダイヤルとシャッターボタンが配置されています。シャッターの半押しと全押しのアソビ具合も、ちょうど良いです。これで、「シャッターの半押し全押しができません」って言う人は、右手か人差し指の運動機能障害があります。
そういう人には、口や足を使ってリモコンでシャッターを切る方法があります。
赤目緩和 / セルフタイマーランプの意味と説明
グリップとレンズの間に小さい白い窓があって、オレンジのLEDがピカーと光ります。
その機能は2つ。
- セルフタイマーでシャッターが切れるタイミングを教えてくれる
- 暗い場所でセルフタイマー、ストロボ撮影するときに、赤目になるのを軽減する。
セルフタイマーのシャッターのタイミングが分かる
自分も含めた集合写真を撮るときに、三脚を使ってセルフタイマーで撮ります。シャッターの切れるタイミングをこのLEDランプがオレンジ色に光って電子音と共に、教えてくれます。
赤目になるのを軽減する
暗い場所では、イヌや猫などの動物や人も目の瞳孔が開きます。
カメラのフラッシュで撮影すると目の瞳孔が開いているために目のおく(眼底の血管組織)にまで、フラッシュの強い光が入り込み反射してしまいます。人間の血は赤いので眼底の血管組織は赤く光ります。
この赤目現象をめだたなくするために、人や動物の目に向けて明るい光をと、あらかめじめ見せます。すると、人や動物の瞳孔が小さくなりますから、暗いところでフラッシュで人を撮った時に目が赤くなるのを少なくします。
赤目緩和機能をONにすると、A+モードのシャッターの半押しで、内蔵ストロボが点滅しAFを合わせたあと、オレンジに光ります。赤目緩和機能をオフにすれば、ピント調整のため内蔵ストロボがバチバチと光っても、赤目緩和用のオレンジのLEDは光りません。
EOS KissX8i 本体裏面観
ファインダーとリトラクタブルな液晶タッチパネルの最強タッグです。
一眼レフの特長であるファインダーと、そのデメリットをフルカバーする可動式の液晶モニター(ニコンはバリアングルモニターと呼びます)の組み合わせは最高!です。まさに「デジタル一眼レフカメラの真骨頂はここに有り!」という機能です。
液晶モニターは、タッチパネルでもあるので、指で操作できます。ただし、iPhoneやAndroidなどが特許を取っている関係で、スマホと全く同じ操作性ではありません。
一眼レフとファインダー
「ファインダー」というのは、その名のとおり「のぞき窓」です。「一眼レフ」の「一眼」とは、一つのレンズを通して、ファインダーから見ることです。大昔のカメラは、一眼にできる技術が無かったので、構図を決めるファインダーとフィルムに写すためのものと別々のレンズを持つ二眼カメラでした。
「レフ」(レフレックス:反射)というのは、鏡とプリズムを使ってファインダーにレンズから見た像をうつす仕組みのことです。鏡に反射しただけでは上下左右が逆の像になりますから、プリズムで上下、左右を反転して修正してから、ファインダーに映すようになっています。五角形をしているプリズムということでペンタプリズムといいます。
デジタル全盛期の今となっては、鏡とプリズムを使う光学的な構造は、本体が大きく重くなることや価格が高くなる等のデメリットが目立つので、省かれる傾向にあります。
ちなみに、ミラーレス一眼というのが、このレフ機構を省いたカメラの総称です。
可動式液晶パネルのおかげで、高いところ、低いところから撮影できる
昔の一眼レフは、ハイアングル、ローアングルの撮影で、ファインダーの向きを変える別売の特殊なファインダーをつける必要がありました。
今のデジタル一眼レフは、液晶パネルにファインダー像を表示して、構図を目で見て確認しながら、シャッターを切ることができます。これを、ライブビュー撮影とキヤノンは呼んでいます。
乳児のハイハイや、居眠りしている猫や犬の顔を同じ目線で撮る時、床に這いつくばってファインダーをのぞくなんて野暮なことは、もうしなくていいんですよ。
こどもの運動会、発表会、ショッピングモールのキャラクターショー等で、親達の垣根ができている後から、カメラだけを高く持ち上げて、液晶パネルを見ながら狙って撮ることもできます。デカい脚立まで持ち込んでいるバカ親は脚立(きゃたつ)ごとケり倒してやりましょう!(心の中だけで!)
使わない時は、本体側に折りたたんで収納できるリトラクタブル構造です。
液晶ディスプレー(タッチパネル)を使わないのであれば、鼻の脂が付くのを防ぐために裏返して収納できます。至れり尽くせりです。
X8iのファインダーの有効視野率が95%と変わらず
「ファインダーの視野率」というのは、ファインダーから見える視野と実際に写真に写る面積の比率です。前の機種であるX7は、0.87倍(87%)ですから、ほんの少し狭くなりました。でも、実用ではほとんど気がつかないと思います。
EOS Kiss シリーズは、ファインダーで見える範囲は、95%になっています。
倍率が、「約0.82倍(50mmレンズ・∞・-1m-1)」と、光学センサーがAPS-CサイズのEOS Kiss Xシリーズは、0.87倍なのに、少しだけ小さいとことが気になる人もいたようです。
倍率は、標準レンズでのファインダーに見える大きさとフィルムに投影される大きさの比率で、1倍(同じ)が高級カメラの証
「ファインダーの視野率が〜」という人達は、私は嫌いです。
昔のフィルム式の一眼レフ時代にも、同じ事を言うカメラマニアの人がいました。私のような、カメラを仕事で使う人間にとっては、有効視野率が何パーセントかだけ分かれば、それで十分です。実際の撮影された写真に、被写体の端が切れて写っていないということがないように収めるだけですから。
ディスプレイオフセンサーが X8i では省かれた
ディスプレイを表示したままで、ファインダーをのぞき込むと、メガネをしている私は、ファインダーを少し遠くからのぞく形になるので、視野の下(メガネレンズの下)にディスプレイの表示が明るく写り込みます。
X7には、高級デジタル一眼レフに標準搭載の「ファインダーを覗くとディスプレイがオフになる機能」が付いていますから、視野の下にディスプレイが明るく写り込むことはありません。
X8iのディスプレイもタッチパネルです。だから、X8iのファインダーをのぞき込むときに、鼻や金属のメガネのフチがタッチパネルに当たると、意図しない操作をしてしまい表示が変わってしまうことがあります。(誤動作までは起きません。)
シーンインテリジェントオートか、ストロボ発行禁止 モード以外の撮影モードは、ディスプレイに数値を設定するための表示がされます。
私が常用しているAv(絞り優先AE)では、
まず、右目でファインダーをのぞき込んだ時に、ディスプレイの左下の変更アイコンを鼻でタッチしてしまうことがあります。
タッチパネル全体で、各種設定ができる画面になってしまうので、これらに顔の一部やメガネの金属のフチが当たると、設定が変わってしまう可能性があります。
といっても、X8iのユーザのほとんどが、完全自動撮影のシーンインテリジェントオートか、ストロボ発行禁止 モードしか使いませんので、特に不便も問題も起きません。そもそも、ファインダーをのぞくことすらなく、ライブビューだけで撮る人がほとんどだと思います。
仕事やブログの写真を撮る時には、Av(絞り優先AE)を多用する私にとっては、少し注意が必要かな?と思う程度で、特に誤動作になったことはありません。私という使い手が優秀ってことでしょうw。
X8iの右上に たくさんあるダイヤルやボタンについて
右の上には、撮影の設定のためのダイヤル、レバーやボタンがたくさん付いています。
メカに弱い初心者の人は、この切換スイッチの多さに頭がクラクラすると思います。
私が、使う頻度の高いスイッチを順に並べてみましょう。
- 電源レバー カメラ(静止画)は「ON」、「ムービーカメラのアイコン」に合わせると動画。
- モード ダイヤル(切換ダイヤル)
- 測距エリア選択ボタン(いつもは、絞り優先AEなので)
この3つだけです。
「シーンインテリジェントオート(全自動撮影)」や「ストロボ発光禁止モード」をモード切り替えダイヤルで合わせておけば、とりあえず自動で撮ってくれます。
「シーンインテリジェントオート」と「ストロボ発光禁止モード」
ダイヤルで合わせるモードで、よく使うのが、
- シーンインテリジェントオート
- ストロボ発光禁止モード
- Av(絞り優先AE)
です。
シーンインテリジェントオート
A+とマークされたシーンインテリジェント オートというモードは、全自動撮影機能です。
さすが、「インテリジェント」というだけあって、本当に賢いです。写そうとしている対象物(被写体)が何なのか?を判断しています。
広角で複数の人間を撮るとなると、集合写真と判断して、人の顔にピントや明るさを調整してくれます。
暗いと判断すれば、勝手にストロボが跳ね上がり、予備発光ランプが光ってピントをきちんと合わせてくれます。EOS Kiss X8iは内蔵ストロボ(ガイドナンバー12相当)を搭載しているので、別売のスピードライト(ストロボ、フラッシュライト)をセットで買う必要はありません。
望遠側にズームを合わせて、近い物を撮影するとマクロと判断して、ISO感度を上げ、シャッター速度を落として、絞りを開放にしてボケを作るとか、本当に賢いの一言です。
しかも、手持ちでの撮影で起きやすい、手ぶれも自動補正してくれるので、片足、片手のフリーハンドのグラグラ状態でシャッターを切っても、手ぶれ写真が撮れません。凄いの一言ですよ。
ストロボ発光禁止モード
これは、ブツ撮りで使うことが多いです。
ブツ撮り
物撮り(ぶつどり)とは、人や風景ではなく、製品の紹介記事を書くための写真のことを言います。
ブログでレビューに欠かせない「ブツ撮り」は、おもにマクロ撮影(拡大:望遠で引いて撮る)がメインになります。
あえて、広角の近接撮影でマクロ撮影をする時に、明るさが足りないので内蔵ストロボを発光させると、レンズの影が写り込んでしまうことがありますし、TTLの制御が?なのか? 白飛びの傾向(ハレーションが起きること)があります。
そこで、ストロボ発光禁止モードを使います。
写真というものは、暗い照明下で照明の色温度が大きく影響してきます(色調がおかしくなる)。ところが、EOS Kiss X8iでは自動補正が効いて色の破綻がおきません。
ISOも〜12800と非常に高感度で、解像度も2420万ピクセルと十分過ぎる能力があるので、多少の暗い照明下でも、何も考えずにシャッターを切って撮影できることに、驚いています。ブログ用の写真を撮るのがこんなに楽なんて!
スピードライト(別売のストロボ)を使った間接フラッシュで簡単に質感のあるマクロ撮影をする方法は準備中。
小物を撮る時には、少し下がって広角気味にしてやると、被写界深度が深くなるので、写したい小物の前後でピントが合いやすくなります。
距離エリア選択ボタンを活用できればピンぼけ写真が減るんですが…
AF(オートフォーカス:自動ピント合わせ)を使っていると、ピントを合わせたい物に合わないことがあります。そんな時に、測距エリア選択ボタンを押して、ピントを合わせたい所を選びます。
全自動のA+(シーンインテリジェントオート)モードでは、測距エリアボタンが使えません。
絞り優先AE(Av)
全自動のシーンインテリジェントオートの次に使うのが、絞り優先AEです。
- 設定した絞り(被写界深度)が最優先される
- 即距エリアでピントを合わせる位置を決められる
- ISO感度も自分で決定できる
- 多灯フラッシュライトがないと、シャッター速度が数秒〜1/8という超スローシャッターになるので三脚が必要
絞り優先Avモードで、測距エリアボタンを押すとファインダーのグリッドという格子が赤く光って、距離を測りたいポイントが表示されます。
3つのモードがあって、
- 1点AF
- ゾーンAF
- 19点自動選択
の順に三回押せば一巡します。
1点AFや、ゾーンAFのファインダーに表示されたカーソル位置の選択は、
- 右人差し指で選択ダイヤルをコリコリと回して左右に動かす
- 右手親指で十字キーを上下左右に動かす
でできます。
「絞り優先AE」は長くなるので、別記事に書く予定です。
EOS Kiss X8i本体 底面観
NFCのマークがついていて、Wi-Fiでのスマホへの連携画像転送などを簡単にできる仕組みが付いてます。
ブログカード(X8iのWi-Fiについて)
お決まりの三脚用の1/4ユニファイネジの穴が空いてます。
バッテリーパックLP-E17は、兄弟機種である8000Dと共通で、X7シリーズのバッテリーとは違います。まだ、互換バッテリーがロワなどから出ていないので、純正を買うしかありません。
バッテリーパックを交換するときに、カメラ本体に記録保持用のキャパシタを持っているので、バッテリーパックをのんびりと交換したくらいでは、カメラの時計などの記憶が消えてしまうことはありません。
オリンパスのE-PM1は、バッテリーを手早く交換しても時計のデータが飛んでしまいます。
バッテリーを交換する度に時計の日付と時間をイチから合わせてなければならない、クソ仕様です。
EOSKissX8iの左側面には出力端子
スピーカの穴と、フタで覆われたリモコン端子、マイク入力端子があります。
もう一つのフタで覆われたところには、パソコンにつなぐmini-B USBポートとmini HDMI出力ポートがあります。
miniUSBポートであって、今は主流になったmicroUSBでないんですけど、キヤノンとしては何か意図する所があるんでしょう。壊れにくいからかな?
Macに取り込むためには、本体に電源が入っていないと、USBケーブルでつないでも、アプリケーションの「写真」が起動して取り込めません。
USBからの給電で、バッテリーパックのLP-E17が充電できるのかな?と思いましたが、そういう内蔵バッテリーを充電できる仕様ではないようです。
テザー撮影
USBケーブルをつないだままで、撮影して、Mac(Windows PC)にそのまま取り込んで表示するテザー撮影(スタジオとかで商用写真を千枚とか撮る時に便利)は、付属のディスクにはいっているEOS Utility(Windows 版)でできるはずなので、試した記事は、また別に書く予定です。
miniですがHDMIの出力ができるので、レンズの良いのを買えば、ボケた背景や前景からピントが合ってっていう、カッコイイ動画が撮れます。
今は、尺が5分程度の短い日常の動画は、スマホやタブレット、たまたま手に持っていた、デジタルカメラで撮ります。ビデオカメラをわざわざ取り出してテープを入れてという時代は終わりました。