電子機器にかけるスプレー「接点復活剤」には、2種類
- エレクトロニッククリーナー
- コンタクトスプレー
があります。
オーディオやガジェットなど電子機器を好んで使うガジェットブロガー必携アイテムの一つです。
どんなものなのか? 具体的な使用例を挙げて紹介します。
KURE(クレ)
呉工業(株)。潤滑油メーカーのブランド。
潤滑油スプレー「KURE 5-56(クレ ゴーゴーロク)」で一躍有名になった。いろんな潤滑油スプレーを作っている。
ホビー用途の赤い缶、業務用途の黒い缶などがある。
エレクトロニッククリーナー って何? どこで使うの?
揮発性の高いアルコール(石油系)を主成分にしています。
- 古いオーディオ機器のボリュームのガリ音発生した時の清掃
- 古い機器のセンサーに使われているスライドボリュームの清掃
- 電子工作で基板のハンダ付けでつく焦げたフラックスの除去
- Nintendo SwitchのJoy-Conの反応が悪くなったとき
- 自作パソコン作成中、CPUグリスがソケットについてしまった時の清掃
などで使います。
揮発性の高い有機溶剤なので、換気をしよう!!
ボリューム(ポテンショメータ)、スライドボリュームを掃除
可変抵抗器のガリつきや異常抵抗値になる場合の清掃に使います。
ガリつき
アンプの音の大小を調整する回転するツマミ(ボリューム)を回すと、ガリガリと音がすること。
今のアンプは、デジタル制御なので、ボリュームも光学式のロータリーエンコーダを使っている。だから、古くなってもガリガリと音はしない。
2011年12月、オーディオ雑誌「ステレオ」の付録についてきたオーディオパワーアンプ LXA-OT1 の基板が、ガジェット・オーディオ系ブロガーの間で話題になりました。
2013年には、LXA-OT3が付録についてきました。ケースに入れることが、ブロガーの間で流行りました。しかし、すぐに廃れていきます。私はケースに入れることなく、そのまま机の隅っこにおいて使っています。
ホコリまみれになってくるので、時々、圧搾空気でホコリを飛ばします。オペアンプICは、ソケットになっていて、好みのものを差し替えて使う事ができます。私は、もう取っ替え引っ替え交換してってことはしません
「オペアンプICを付け替えて音の違いを聞き比べる」遊びをするなら、ICの交換時にエレクトロニッククリーナーでソケットを一吹きして綺麗にしましょう。
ゲーム機のコントローラー、Joy-Con、DUALSHOCK 4、Proコンなど
ゲーム機のスティックコントローラーは、アルプス電気のものが一般的に使われています。
仕組みは、縦横のポテンショメータ(ボリューム、可変抵抗器)をスティックで動かすもので、枯れたパーツの一つです。
ホコリがはいると、動きが悪くなったり、変な動きをしたりします。
エレクトロニッククリーナー(+ 少量のコンタクトスプレー)を吹きかけて、ポテンショメータ部の清掃をすることで一時的に復活することもあります。
しかし、このスティックコントローラに限っては消耗品のため接点復活剤で一時的に良くなっても、すぐにダメになります。
機械的な摩耗は交換しかありません。
電子基板のフラックスの除去
電子工作でハンダ付けをするとき、ハンダの濡れ(流れとなじみ)を良くする酸化皮膜防止剤として「フラックス」を使います。元は、松ヤニをアルコールで溶いたものです。
最近、自作キーボードで基板のハンダづけをする人が増えています。フラックスが付着した汚い基板のまま使っている人もいるでしょう。
このフラックスは、基板の腐食の原因になるので、無水エタノールをスプレーでかけて拭き取るようにします。
エレクトロニッククリーナーでフラックスを溶かして浮かせて拭き取ります。
無水エタノールを100均のスプレー容器にいれて使っても構いません。
ただ、無水エタノールにくらべて、エレクトロニッククリーナーは樹脂や電子パーツへの影響がでないような成分が配合されています。どういう組成なのかは、公表されていません。
古いパソコンのメモリースロットの清掃
真夏と真冬の暑さ寒さがピークになる頃に決まって、カーネルパニックや勝手に再起動を起こす 私の愛機Mac Pro(2008年モデル)。原因は、サーマルサイクルによるメモリースロットの緩みです。
高熱になるメモリーは、ドーターカードに挿す構造になっています。メモリー自体もヒートシンクが付いています。
一つ一つ外して、メモリースロットとコネクタ部を清掃してから、差し治します。
CPUグリスの塗り直し
CPUグリスを塗りすぎると はみ出て、ソケットの端子を汚してしまいます。
CPUを外して、CPUやソケット部分に クリーナーを洗うようにたっぶりとかけて ティッシュに染みこませるか、濡れた状態でエアブローで吹き飛ばします。
コンタクトスプレーって何? どう使うの?
コンタクトスプレー(接点復活スプレー)は、オーディオユーザに おすすめの1本です。
適用例は、たくさんありすぎて…、一部をかじょうがきにします。
- 金メッキではない、スピーカーの端子やバナナプラグ
- 金メッキではない、オーディオプラグ、標準フォンプラグ、HDMIプラグ、ジャック
- 金メッキではない、RCAプラグ
- 金メッキではない、F型、M型 同軸コネクター
- 通信機器のアンテナ、アース端子
- DCプラグ
- マイクのXLR端子など
- 安物のテスターのプローブ(金メッキではないので)
- 測定器のプローブ端子
- パソコンのマザーボード、デバイスの電源や信号ケーブルの端子
- RS-232C、SCSIなどのコネクター
- ACコンセントプラグ(グリスを使う)
- 乾電池、充電池の端子(グリスを使う)
端子の すべてに使います。
エレクトロニッククリーナーと同じアルコールの有機溶剤なのですが、酸化皮膜を浮かせる効果を強化する油分が入っています。
液体、油分は 非電導性のため 短絡(ショート)はしないが、念のため 本体の電源OFF、ケーブルは抜いた状態で プラグとジャックに噴霧しよう。
スピーカーケーブルや端子
2010年代前半、PCオーディオ(デスクトップ・オーディオ)ブームで、一世を風靡した「中華のデジタルアンプ」です。
立派なアルミのケースに入れられた小型のデジタルパワーアンプです。
にもかかわらず、価格は1〜4千円と安価に売られていたので、ガジェット/オーディオ系ブロガーの間で もてはやされました。
当時は、AliExpressなどの中国の通販業者がなかったので、中国のシンセンで買い付けてきた個人業者からAmazonやヤフオク経由で買っていました。
安い、当然 部品はすべて安物です。端子は、すぐに錆びて接続不良になります。
とくに、スピーカー端子の接続不良が頻繁に起きます。
端子をコンタクトスプレーで酸化皮膜を取って、スピーカーケーブルの皮膜も拭き取って、ネジで締め直すなどの作業をします。
ステレオスピーカーやサラウンドスピーカーの音がバランスが悪くなるようなら、端子をコンタクトスプレーを吹き付けて汚れを浮かせて拭き取り、ケーブル端子を綺麗にしてから、つなぎ直してみましょう。
AVアンプのスピーカーや各種ケーブルの配線のメンテナンス
半年に1度は、AVアンプのスピーカー端子の接点をコンタクトスプレーでぬらして、不織布で拭いて綺麗にします。
高温多湿の夏の後、寒くなる頃にやるのが効果的です。
バナナプラグでも、引っこ抜いてスプレーをしてから綺麗に拭いて差しなおします。
これで7chのスピーカーのどれも、偏りなく、ジャリつくことなく鳴らすことができます。
モニター テレビ ディスプレー の色が悪くなる ケーブルの接続不良の可能性
HDMI端子、Display Port端子 も コンタクトスプレーをかけてみましょう。
秋になると起きる『4K HDRが安定してでず、フルHDと5秒ごとに切り変わってブラックアウトを繰り返す「暗転点滅」』が 解消します。
Nintendo Switchのゲームカードの読みこみエラーが出るので 端子をきれいにする
スイッチのゲームカードの端子の接触不良が起きると「ゲームカードが読み込めませんでした。ゲームカードを差しなおしてください」と出るようになります。
カードの端子部分に、エレクトロニックスプレーをかけて ティッシュで紙くずが残らないくらいに軽く拭いておきます。
コンタクトスプレー(アルコール)を綿棒(ティッシュやキムワイプを巻き付けたつまようじ)の先につけて こすってみましょう。
すぐに乾くので手早くやるのがコツです。
アルコール成分をよく飛ばして 本体に差しこみます。復活しているはず。
それでもだめなら、カードが壊れているか、本体のスロットがダメになっているので修理に出しましょう。
SDカードの端子をきれいにする
カメラに入れるSDカードの端子にも使います。
端子に酸化皮膜がつくと「SDカードが入っていません」「書き込みに失敗しました」などのエラーがでます。
SD(microSD)カードの端子は、コンタクトスプレーを たらすくらいの少量にして ティッシュで油分を拭き取りましょう。
コンタクトグリスを薄く塗る方が簡単かな?
ブラシ式モーターのカーボン汚れを洗浄する
ブラシ式のモーターは、ブラシ部分にカーボンの汚れがたまって モーターの絶縁性が落ちて動きが悪くなったり、壊れたりします。
動きが悪くなったら、カーボンの汚れを取ってみましょう。
鼻毛カッターが、電池を交換しても モーターの回転が遅くて使えなくなりました。
エレクトロニッククリーナーをモーターの見えるところから、注入して 液でジャブジャブにします。
臭いがしなくなるまで乾燥させてから、電池を入れて動かすと、モーターが高回転して復活しました。
ベアリングの動きが悪くなって音が大きくなることがあるので注意
さらに、コンタクトスプレーを注入すると、滑らかに安定して回るようになります。
買い替えずに済みました。
まとめ
呉工業の数あるスプレーの中でも、電子工作によく使う2つのスプレーを紹介しました。
昔のステレオパワーアンプの基板や電源部に、コンタクトスプレーをかけた記事を見かけて、「エレクトロニッククリーナー」と間違えているなと思ったので、この記事を書いています。
どちらも、揮発性の高い有機溶剤(石油系アルコール)で汚れを浮かせる効能があります。
- 端子には、酸化膜防止成分が多い コンタクトスプレー
- 基板やソケットなど電子機器全体に洗浄液として使えるのが、エレクトロニッククリーナー
- 使う順番は、エレクトロニッククリーナー → コンタクトスプレー
です。
電源回路での100V・ACライン、真空管の270V発生回路は、クリーナーで浮いたカーボン系の汚れが、配線のショートブリッジを作って引火して爆発しないように、(屋外で)十分洗い流しましょう。
センサーをつなぐケーブルの断線でなければ、スライドボリュームをエレクトロニッククリーナーで洗ってみましょう。
呉工業の製品の中で、同じものでもホビー用と業務用で名前が違うものがあります。(情報提供:MGさん)
- エレクトロニッククリーナー = クイックドライクリーナー
- コンタクトスプレー = 接点復活スプレー
他のメーカーからも、同じものが発売されているので、好みで選んでください。電子工作机に置いておいて便利なグッズの一つです。