デジタルマルチメーター(以下、DMMと略する)につけて使うクランプ式の
電流プローブ CL-22ADを買って使っているので紹介
します。
電流プローブ って何?
電気の流れている電線(コード、ケーブル)を切らずに、電流を測るセンサーです。
電源コードは、行きと帰り(プラスとマイナス)の2本がセットになっています。そのどちらか1本をクリップではさんではかります。
電流の流れる電線の漏れ出る電磁誘導の量を電圧に変換して出力します。
つないだテスター側では、電圧の数字をみて、流れる電流を換算します。
電圧が100VのACケーブルの電流を直接測るのは、感電の恐れがあるので危ないです。
しかし、電流プローブのおかげで、100VのACケーブルでも感電することなく安全に電流を測ることができます。
ラインセパレーター って何?
電流プローブを使う時に、一緒につかいます。
家電のACコードは、2本の線が一緒になっています。
その2本分のコードをクランプではさんだのでは電流が測れません。正負で誘導電磁波が相殺されてしまうからです。
そこで、ケーブルを2つに分けるためのACアダプターを「ラインセパレーター」と言います。
専用のラインセパレータが売られています。
電流プローブ CL-22ADとラインセパレーター LS-11 を写真で紹介
CL-22ADには、白に赤字の箱に
- CL-22AD本体
- ソフトキャリングケース(C-CL)
- 取扱説明書(公式のPDFファイル)
- 保証書
が入っていました。
CL-22ADのクランプ部は、径23mmです。ケーブルは、1.4mです。
主な仕様と詳しい使い方は、公式のPDFファイルを参照してください。
CL-22ADには、電池が必要です。
単4電池が2本必要です。私は、アルカリ電池をいれています。連続で75時間持つということですが、3日連続で使っていても電池切れしなかったから、そんなもんでしょう。それよりも、PC700の方が電池切れしました。
取扱説明書には、「電圧が1.25Vになったら、LEDが点滅する」と書かれています。
DMMのPC700につないで使います。
つなぎ先は、通常のテストリードプローブと同じ、電圧測定の端子側につなぎます。表示は、電圧表示になります。
CL-22ADのクランプ部
本体左側にあるレバーを押すとクランプが開くので、コードを1本中にいれます。測定するには、電源スイッチをあらかじめ入れておきます。
電流変換での出力電圧について
CL-22ADは、クランプではさんだケーブルに流れる電流を電圧として出力します。そのDMMで測った電圧の数値を電流に換算します。
その出力範囲などは、
レンジ |
負荷抵抗と測定範囲 |
出力電圧 | ||
1 MΩ以上 |
2.5 kΩ以上 | |||
直流電流 DCA |
20 A |
0~40 A |
0~20 A |
10 mV/A |
200 A |
0~200 A |
0~200 A |
1 mV/A | |
交流電流 ACA |
20 A |
0~35 A |
0~20 A |
10 mV/A |
200 A |
0~200 A |
0~200 A |
1 mV/A |
出力最大電圧は、DC 200mV / AC 200mVで、対応周波数は、0〜400Hzです。
DC〜1kHzが測れない トイ オシロスコープにつないでも波形がでません。
オシロスコープにつないで使う電流(カレント)プローブは、高い周波数の電流の変化を出力できます。
そのための装置が大がかりになるので、オシロスコープ本体より制御ボックスが大きくて値段も高いです。
CL-22ADの使い方
使い方は簡単です。取説通りにDMMのPC700につなぎます。
CL-22ADは、電流を間接的に測って、その数値を電圧の数値としてDMMへ返します。交流を測る場合は、〜Vの交流へ、直流の場合は、ー…Vのレンジを選択します。
mVのレンジは感度がよくなる反面、ノイズを拾うので、数値の信頼性が低くなります。
レンジは、20Aと200Aがあります。つまり、200Aの方が感度が1/10に調整されています。
ちなみに、我が家の電源主幹ブレーカーは、100Aです。なので、CL-22ADで我が家の電力全体を測ることができます。しかし、配電盤の電源ケーブルが2本に分かれているところの片方のケーブルをはさもうにも、ケーブルの隙間がなくてできません。残念です。
測る前に、右横のダイヤルを回して、0ボルトになるように調整します。
これで、電圧の数値をみて、電流を測ります。
換算について
レンジは、
- CL-22AD:20Aと200A
- DMM:200〜500mVと2〜5V
のそれぞれで決まります。
DMMの電圧 | ||
CL-22AD |
200~500mVレンジの場合 |
2~5Vレンジの場合 |
20A レンジ |
× 0.1 |
× 100 |
200A レンジ |
× 1 |
× 1000 |
パソコンの電源に裂いたACケーブルをはさんで測ると、
CL-22ADの20Aレンジで、PC700の交流電圧Vレンジでは、0.012mVの表示になります。つまり、×100倍なので、1.2A、102Vの交流電圧があるので、約122Wとなります。
ラインセパレーター LS11
ACケーブルを裂いて作るものを、sanwaが専用につくったオプションです。
もちろん、そこその値段がする理由は、拡大の10倍という測定ポイントがある点です。小さい電流しか流さない場合、0.005mVとかの表示になると、ノイズなのか分からなくなります。そこで、10倍の拡大ポイントするループがあります。
本来、Vレンジの数値を ×100にして得られる測定値と比べて、検出する電磁波を10倍にして、少なめの電流でも誤差が少なくなるように測ることができます。
測りたい家電などのACケーブルとコンセントの間にいれて使います。
LS11とCL-22ADを使ってパソコンの電流を測る
古いCore 2 Duoのパソコンとディスプレイのセットのコンセントの間にいれて、実際に流れる電流を測ってみましょう。
とりあえず、最初に、×1の方に CL-22ADのクランプをはさんで測ってみます。
CL-22ADは、20Aのレンジ、PC700は交流Vレンジで、0.008〜0.012mVという、ほとんどノイズの電圧が測れます。換算表から、×100倍にしますので、0.8〜1.2Aということになります。
交流の電圧が102〜3Vなので、約120Wということが分かりました。同じものをワットモニターで測っても、同じくらいの消費電力になります。
しかし、0.008mVとかでは、ノイズと区別がつきませんよね。そこで、ラインセパレータの×10のループ側にCL-22ADのクランプで挟みます。
すると、十倍になるので、
一桁数字が増えます。×100倍で換算する数字を、10倍にして増やしているので、本当の電流のアンペアは、この数字に10倍をかければ、電流の数値になります。
0.121mV、1.21Aと小数点2桁目までの数字がでてきます。
といっても、精度の点から小数点2桁目は信頼性が今ひとつです。そもそも、クランプ式の電流測定は間接的測定ですから、あまり正確な数値がでないですよねぇ。
コンセントのAC100Vの電圧をオシロでみる
LS11には、電圧を測る端子がついています。オシロのプローブをはさむ銅パイプを差し込んで使います。
コンセントに直にオシロのプローブをさすと、向きをまちがえると プローブが燃えます。
無停電電源装置のバッテリー駆動時のAC出力波形をみるのにLS11を使っています。
オムロン BW55Tの出力交流は、正弦波っぽく出力されていますね。
電線を巻いてプローブにつなげば、電流の波形も見られます。
LS11の最大の欠点
電流測定のために十倍のループがあるために、10Aまでの交流しか測れないことです。
ハイパワーの電動工具や電気オーブンの中には、15VA 1500VA / 100V、実測で12Aくらいになるものがあります。そういうのが測れないのが残念でした。
裂いたACケーブルを燃えるのを覚悟でつかいますw。
電流クランプはどんなところで使うの?
- 炊飯器、冷蔵庫、電子レンジやオーブンなど家電の電流の変化をDMMで観察
- そのデータをパソコンに記録してCSVファイルでの書き出しやExcelでグラフにできる
- 独立電源系という太陽電池パネルで、12Vや24Vの直流電流をバッテリーに蓄えて使う時にも便利
- 実質、1/200秒程度の分解能なので、DMMでピークホールド設定にしておけば、そこそこのスパイク電流(突発電流)を測定できる
以上のシーンで、この電流クランプは、どれくらいの直流電流が流れているのか?をチェックする時に使えます。
まとめ
デジタルマルチメーターのPC700につける、プランプ式電流プローブを紹介しました。
-
-
sanwa のデジタルマルチメーター(DMM) PC700 について使い方などまとめ
2013年3月に、sawnのデジタルマルチメーター PC700を買ってから、愛用しています。 パソコンにつないでデータロガーとして使えるので超便利です。 2台で 弱電の電圧と電流を同時に測れます。 購 ...
ライブドアの旧ブログの関連記事があまりにも稚拙なため、フルスクラッチで書き直しました。
家電や電動工具などの消費電力云々の測定時のデータを説明する際に、このページを参照するためのものです。
この電流クランプは、電源回路に直列でつないで直に測るものではなく、漏れ出る電磁波を拾って測定するものです。
原理は、高校の物理で習いますが、理屈が分かってれば、その程度のものだとして扱えます。
大学の基礎実習、卒後の研究などで、日頃から計測器のデータを扱ってきた人と、そうでない人の測定結果の数字の扱い方に差がでます。
ガジェットのレビュー記事を書いている人で、スマホやPCの充電電流とかで、まともな数値の扱いができない人が多いんですよね。それで高卒以下の学歴だってのがバレちゃうわけですw
ベースになる記事ができたので、用語の解説などは、暇を見て追加していきます。
とりあえず、ワットチェッカーやワットモニターでも十分ですけどねw。