モバイルバッテリーやUSB充電器の性能を調べるためのUSB電流テスターは、ここ数年で大きく進化を遂げています。
理由は、中国は偽物が多すぎて自分で調べなければならないという悲しい背景があるからです。
数ある中国メーカーの高機能USB電流テスターの中でも、AVHzY の CT-3(CT-2)は、日本語説明書やサポートが充実していて人気があります。私も買って活用しています。
CT-3は、高機能すぎて使い方を忘れてしまいます。
CT-3の使い方を自分なりにまとめた記事を作りました。
USB電流テスター AVHzY CT-3 のレビュー 、長期使用レポート
です。
- 購入品:AVHzY CT-3
- 購入時期:2020年4月
- 購入価格:6999円
- 購入店:AVHzY(Amazonマーケットプレイス)
AVHzYは中国メーカーであり、中国製の専用ソフトをパソコンにインストールする必要があります。
CT-3の主な機能
- USBの電圧、電流測定、積算電力
- USB-Cの情報(Power Deliveryの情報)
- 波形の記録
- パソコンへのデータ出力
公式のマニュアルは、
- マニュアル:https://www.avhzy.com/html/product-detail/ct3
- メーターUIマニュアル:https://m.media-amazon.com/images/I/91DA88mt5DL.pdf
- PCソフトウェアマニュアル:https://m.media-amazon.com/images/I/91NX6+bf13L.pdf
CT-3 スペック(メーカの言い分)
- 1.77インチTFTディスプレイ:128 × 160 ピクセル
- 電圧/電流測定:0-26V 0-6A
- 読み取り桁数:4桁、5桁
- 誤差:0.1%
- 急速充電プロトコル:自動検出機能
- PD(Power Delivery):PD情報表示
- QC2.0、QC3.0、QC4.0
- Huawei SCP、SSCP、FCP
- Samsung AFC、VOOC、スーパーVOOC
- 充電器テスト用65Wトリガー
- ケーブル抵抗テスター機能:Type-C〜Type-C、Type-A〜Type-C
- USB-CのEmarker情報表示
- Apple充電器情報表示
- デジタルオシロ機能(波形表示/記録)
- サンプリングレート:最高 100sps(サンプル/秒)
- データ記録、ユーザープログラム用ストレージ:12MB
- 電源リプルサンプリングレート:3.2Msps(サンプル/秒)
- USB-Cポートのデータ通信SuperSpeedパススルー(12Gbps?)
- USB-Aポート:USB2.0の専用高速充電通信回線(SuperVOOC、VOOC、ダッシュ、ワープ用)パススルー
パソコンソフト
- サンプリングレート 最大1000spsのデータロギング
- VBUSリップルビューアー(サンプリングレート 3.2Msps)
- Luaプログラム(ユーザによるプログラム)アップローダー
- PowerDelivery情報表示
- 別売のUSBレジスター(USB負荷)にアクセス可能
- 急速充電プロトコルのトリガー制御
スクリプト Lua
- インタープリタ型
- 12MBのストレージに入れて使う
SM-JD-00 USBレジスター(電子負荷装置)
- 定電流および定電力モード
- 負荷値はメーターでデジタル表示
- 入力:0-26V、0-6.7A、最大 100W
CT-3の操作 まとめ
レバープッシュスイッチを使って操作。
ホーム画面
ホーム画面は、全体表示 → 信号線表示 → 簡単表示 → 画面消灯 のループです。
設定メニュー
ホーム画面の表示から、レバープッシュスイッチを長押しで、設定ニューに。
- グループ切り替え
- 現在のグループを消去
- 時刻設定
- 記録開始のしきい値
- 待機時の時計の設定
- 画面と読み取り
- 待機画面の無効化
- 待機までの時間
- 明るさ設定
- 待機時の明るさ
- ホムペにデータの更新速さ
- 華氏で温度表示
- 等価抵抗表示を有効に
- 表示方向の設定
- 0V近く電圧をマスクせず
- 音設定
- ボタントーンを無効に
- ヒント音を無効に
- 警告音を無効に
- 個人化設定
- テーマの色変更
- シアン
- イエロー
- ホワイト
- パープル
- オレンジ
- うすい赤
- うすい緑
- うすい青
- 赤
- 緑
- 青
- テーマの色変更
- 言語切り替え
- 英語
- 日本語
- 中国語2種類
- 全グループの消去
- 設定の初期化
- 調整
- 電圧調整
- 電流調整
- 電流ゼロ
- システム情報
- Developer Tools
ホーム画面から、
レバースイッチを左に、右に
長押し、
短押し
操作。
AVHzY CT-3 で測定するもの
USBに流れる電流と電圧、電力
従来のUSB-AのUSB2.0のケーブルだけでなく、USB-Cケーブルでの充電状態を見ることができます。
USB-C Lightningケーブルを使ってiPhoneを充電すると9V充電ができます。ちゃんと9Vで電流が流れているのか?を観察できます。
積算電力(mWh)と積算電流(mAh)も表示されます。大切なのは、積算電力(Wh)です。
「mAh」を使ってはいけません。
モバイルバッテリーの実際の容量をはかる時に、使います。
保存できるグループは、5つ
ホーム画面から、レバープッシュスイッチを長押しすると開くメニューです。
積算電力を保存できるグループ(フォルダ)は、5つです。
それぞれを切り替えて使います。選択したグループの積算電力量や通電時間のリセットは、「現在のグループを消去」でやります。
USB充電器 USBアダプター のUSB充電規格を調べる
USBポートの急速充電の規格を詳しく調べることができます。
レバースイッチをUSB-Aプラグ側に倒して、
「急速充電の自動リスト」を選択します。
Anker PowerPort III 2ポート のUSB-Aの急速充電を調べてみました。
QC3.0の12Vに対応していることが分かります。
モバイルバッテリー BMB-Qi10のUSB-Aポートを調べてみました。
アジア系メーカーのスマホの9V充電に対応していることがわかります。
USB-CのPower Delivery 情報(PDO情報など)
USB-CのPower Delivery情報を詳しく表示できます。
まず、USB-Aで電源を供給して、メニューを表示します。(USB-Cケーブルはつながない)
メニューをだして、
「急速充電をトリガーする」を選択します。赤い字で、「高電圧を扱うので注意してくれ」と警告が出るので、短押しで先に進めます。
USB-Cケーブルをつなぎます。
USB Power Delivery 対応 電圧と電流
急速充電のトリガーを選びます。「Power Delivery」を選んで短押し。
利用可能なPDOで、使える電流と電圧が表示されます。
USB充電規格のトリガー機能
多機能USBテスターの優れている点は、5V、9V、12V、15V、20Vの電圧をUSBテスター側で指定して出力させられる点です。
USBレジスター(USBダミーロード)をつけて使います。
最初は、5Vの電圧でつながります。
レバースイッチをUSB-Aジャック側(写真だと左)に倒すと、電圧を上げる事ができます。9Vにしてみました。18Wの出力になります。
これ以上あげるには、USBレジスターが電圧と電流に耐えられるものでないと壊れます。
100W対応のCT-3専用のUSBレジスター(USB抵抗器)は別売です。欲しい人は買ってください。
CT-2やCT-3に電子負荷装置をつなぐと、30〜90WのUSB-C電源ノートPCにつなぐのと同じ負荷が再現できます。
こういうのを使ってレビュー記事を書かないと 様になりませんよね。
400W入力のET5410については、
eMarker 情報の表示
USB-Cケーブルの中でも、60W以上の給電が可能な高性能のものには、ケーブルの情報が入った電子チップ「E marker」がコネクタの中に内蔵されています。
USB CABLE CHECKER 2で調べると、
E-MARKEDと表示がでているので、eMarker が付いています。
CT-3のUSB-AプラグをバッテリーかUSB充電器にさして電源を供給します。
CT-3に、USB-Cのケーブルを挿して、メニューから「E-markケーブルの読み出す」を選ぶと…
USB-CケーブルのeMarker(E marker)の情報が表示されます。
簡易オシログラフ(出力電圧のリプルの観察)
レバープッシュスイッチをUSB-Aプラグ側に倒して、開くメニューで、「電源のリップルを見る」を選択すると、電圧のオシログラフ表示になります。
トイオシロをもっていない人にとっては、助かる機能です。
DC/DCコンバータの宿命である、リプル成分(脈流)をどれだけ取り除けるか?が、モバイルバッテリーやUSB充電器の大切な性能になります。(リプル/脈流 についての解説は、こちらで)
例として、RP-PB159のUSB-C端子からの開放電圧を観察します。
開放電圧は、リプル成分が強く出ます。約300KHz弱の発振周波数なのが分かります。
iPhoneを充電している時は、約0.1Vのリプル成分だったのが半分になります。発振周波数も200〜300KHzの表示になります。
中国のダメなモバイルバッテリーは、リプル成分が1V以上もでていることがあって、スマホやタブレットの電源部を壊すことがあります。
CT-3をパソコンにつなぐ
指定のURLから、アプリケーション「SIZUKU TOOLBOX」をダウンロードしてインストールします。
https://yk-lab.org:666/index.php/ja/
中国製のソフトなので、バックドアが仕掛けられている可能性があります。
国防、インフラに従事する人がいる家庭では、セキュリティに十分注意してください。
専用のWindowsノートで、LAN内でも隔離するような使い方をしてください。
2021年11月現在、10020.zipが最新のようです。
英語のマニュアルしかなかったのですが、日本語マニュアルも用意されました。
Windows 10 では、ドライバーのインストールは必要ありません。
最初にファームウエアアップデートをする
2024年 2月時点で、最新ファームウエアは、V1.00.64 です。
日本語マニュアルもあります。
トリガー(通電)で測定開始、停止ができるデジタルオシロみたいな使い方ができます。
USB-CのPowerDelivery(PD)の20V、15Vの電流と電圧をデータロガーでグラフや、測定数値データを保存できます。あとで、読み込んでグラフ表示もできます。
AVHzY CT-2 使い方
- 購入品:AVHzY CT-2 USBレジスター付き
- 購入時期:2018年秋
- 購入価格:7777円
- 購入店:AVHzY(Amazon マーケットプレイス)
CT-2は、旧モデルです。CT-3と比べると機能が少ないです。
USBレジスター(USBダミーロード)と、CT-2のセットでした。
CT-2のメニュー
取扱説明書は、日本語で翻訳された紙切れが入っていました。
「レバープッシュ ダブルクリック」で元に戻る ことが多い。
レバープッシュ の1回押しで
ホーム画面 → 全体表示 → データ線電圧→簡単表示→画面消灯 のループ
レバープッシュ 2回短押し(ダブルクリック)
全体表示から、
レバープッシュスイッチ 右
- Cerve Create New
- Curve Brows
- Curve Delete
- Curve Delete All
- Curve Settings
オシロ機能のサンプリングデータの消える
Power DeliveryのPDO情報
USB-Aプラグ側にレバープッシュスイッチを倒して、メニューを出して測定。
CT-2の主なスペック
- SoC:STM32 F072
- ディスプレイ:TFT 1.44インチ 128×128ドット
- 測定電圧:4〜26V
- 分解能:0.0001V
- 測定電流:〜6A
- 分解能:0.0001A
- 精度:0.1% +2d
- 対応急速充電プロトコル
- QC2.0:5V、9V、12V、20V
- QC3.0、4.0、PPS
- トリガー機能
- パソコン接続機能あり
CT-2 をパソコンとつなぐ
公式のサポートからダウンロードします。
https://forum.avhzy.com/forum.php?mod=viewthread&tid=1
zipファイルで全部展開すると、フォルダ内にアプリケーション「KotomiApp」ができます。
シリアルドライバーも同梱されています。上のメニュー「ドライバ」を選べば、インストーラが開くのでwizardに従ってドライバーをインストールしてください。
ファームウエアもアップデートしないと使えません。「高度なオプション」→「ファームウエア更新」を選択してください。
2020年現在で、V1.79.6 です。
グラフは、積算電力のグラフ(緑)はいらないのでオフにして使います。
まとめ
この記事は、自分のためのメモでした。
私のブログ記事「USB 電流 電圧テスター/チェッカーの選び方とまとめ」のAmazonアフィリエイトリンクからCT-2やCT-3を買ってくれた人から、「買ったけど使い方がわからないので使い方の記事を書いてくれ」と要望があったので、公開しました。
USBの電源関連の記事からの参照先になるページです。