ミニルーター(リュータ、ペン型のグラインダー、マイクログラインダー、小型電気ドリル)をお持ちですか? 歯医者で入れ歯を削ったり、ネイルサロンで爪を磨くのに使う道具です。
3Dプリンター、プラモデルなど模型工作をする人やネイルアーティストが使っています。
歯医者では、「ミニルーター、リューター」を、
- 診療用 → マイクロモーター
- 技工用 → (技工用)電気エンジン
と呼びます。商売道具の中でも重要なアイテムの1つです。
安くて使いやすいDREMEL MODEL 2050 ミニルーターの長期使用レポート
- 購入品:DREMEL モデル 2050 フィーノ
- 購入時期:2018年
- 購入価格:6,240円
- 購入先:Amazon タイムセール
ミニルータでできること
小さな物が対象です。
- 穴開け
- 切る
- 削る
- 磨く
ガイド、定規(ジグ)を使わず、手での作業(フリーハンド)になるので、直線や完全な円、水平な面を削り出すことはできません。
こんな方におすすめ
- 3Dプリンターユーザ
- プラモデルなど模型工作をする人
- ネイルアーティスト
- ミニ四駆をやり続けている人
- バードカービングをする人
- ドールハウスなどミニチュア製作者
- 彫金など、ジュエリーやアクセサリーを作る人
- 歯医者ww
DREMEL(ドレメル) って何?
ディスクグラインダーなどDIYをする人に知られているアメリカの工具メーカーです。
ドイツの総合機械メーカー BOSCHの傘下の会社なので、ブランド「ボッシュ・ドレメル」と知られています。
日本には、大阪のホービー工具メーカーブランド「プロクソン」があります。私も学生の頃から、いろいろ買ってきました。
BS放送番組「所さんの世田谷ベース」でプラモデルの改造の話が時々あります。
所さんが、ライフルのモデルガンで、プラのウッドストックをリューターで木目調に加工するなんてことをやっています。
所さんがドレメルの充電タイプのミニルーターを使っているので、ひろく知られるようになったように思います。
ドレメル フィーノ モデル 2050 を写真で紹介
パッケージは、工具っぽさがない おしゃれなデザインです。
MODEL 2050 フィーノの同梱物は、
- ミニルーター 本体
- ACアダプター
- アクセサリー(先に付けるやつ)
- 取扱説明書
です。
ACアダプターは、18V / 0.5Aの定格です。
DCプラグとジャックは、外径5.5mm、内径 2.1mmの汎用DCプラグです。
ACアダプターと本体が直結でないことがポイントです。
正逆を切り替えるボックスを自作してつけるようになっていると思われます。アクセサリーであるのかな?
DCケーブルは、1.8mあるので、机で使う時などに引き回すのに短くて困ることはないでしょう。
DREMEL 本体の主なスペック
- 型番:2050
- 消費電力:18V / 0.5A(最大)
- 無負荷回転数:5000〜22000回転/分
- 過負荷保護機能:負荷がかかりすぎると停止する
- 使用可能軸径:3.2mm
- 本体重量:105g(ケーブルなし)
- 正逆回転切り替えなし
実際に手に取ると、「小さく、軽い」第一印象を受けました。バランスも良いです。
正回転だけですので、注意してください。
過負荷保護機能が動作すると、スイッチをオンオフしないと回復しません。
シャフトロックボタン
先に付けるときに、モーターのシャフト(軸)が回転しては取り付けられませんので、ロックするボタンがあります。
腹に当たる部分に、鍵のアイコンがあるボタンがあって、これをギュッと親指で押さえると、沈み込んで軸を固定してくれます。
電源ボタン
電源ボタンは、人差し指でオンオフすることを想定して配置されているようです。クリック感のある軽めの電源スイッチです。
回転速度 調整ダイヤル
速度調整は、ダイヤルでやります。数字が目安で、1〜5までふってあります。ダイヤルはクリック感はなく、回転速度は無段階調整です。
回転は、無負荷時回転数で、5000〜22000万回転/分とカタログスペックになっています。普通のブラシモーターです。
といっても、ペン型リューターの実用回転域は、5000〜15000回転程度なので不自由なく使いこなせます。
回転数とできる作業について取扱説明書に詳しく載っていますので、ミニルーターを初めて使う人は、じっくりと読んでおきましょう。
ミニルーターは、子供のオモチャではありません。それなりに気を付けて使わないと事故の元になります。
DREMEL アクセサリー
付属品は
- エングレービングカッター、大小 1本ずつ
- コレット 3.2mm径とコレットナット
- ポリッシングホイール、大小2個ずつ
- ポリッシングペースト
- サンディングバンド3個とマンドレール
- ポリッシングホイール用マンドレール
- ドレメルチャックをしめるレンチ
です。
エングレービングカッターは、我々業界では、ラウンドバー(カーバイドタイプ)にあたります。軸の径が3.2mmと太いです。
マンドレールとか、他は同じようなものですね。
マンドレルをフェルトポリッシングホイールに付ける時は、ねじ込み式です。これは、2050が正回転しかしないから、できることです。
我々の使う電気エンジン(マイクログラインダー)は、正逆両方に切り替えられるので、ねじ込み式は使えません。
他のアクセサリーの具体的な使い方は、取扱説明書に丁寧に書かれているので省略します。
DREMEL 2050のチャック
先につけるドリル(アクセサリー)をつかむ部分を「チャック」と言います。汎用のタイプを「ドレメルチャック」と呼んでいるようです。
ドリルの軸の径は、工業規格で
- 3.2mm:エンドミルとか工業用の切削ドリルの細いタイプ
- 2.35mm:歯科用のストレートバーなど、軽作業用のドリルで使う
のものが、主に使われます。
このタイプのミニルーターは、どちらも使えるようになっています。
ルータービット(トリマービット)は軸径的に使えません。
ドレメル チャックを外して、コレットとコレットナットを付けることもできます。
このツメの部分を「コレット」と言います。サヤの部分を「コレットナット」と言います。
軸径別の専用のコレットは別売されています。4個セットで840円。
- 0.8mm(No.483)
- 1.6mm(No.482)
- 2.4mm(No.481)
- 3.0mm(No.1619P11363)
- 3.2mm(No.480)← これは付いている
の5種類の専用コレットがあるので、主に使うドリルの先の軸径で、コレットをつけるようにします。
主に歯科用の2.35mm径のバーを使うのなら、2.4mm径のコレット(No.481)を使うと、高回転時の軸ブレによる音が小さくなるし、バーが滑って空回りしにくくなります。
DREMEL 2050の持ち方
ペン型なので、鉛筆持ち(ペングリップ)が基本です。
取扱説明書の21ページに書かれているので、よく読んでおいてください。
「刃先がおどる」怖さ
ペングリップの弱点は、「刃先が踊る」ことです。
「刃先が踊る」とは、回転につられて刃先があらぬ方向へ向いてしまうことを言います。
先の長いハンドピースでペングリップにする場合、「刃先が踊る」モーメントが大きくなります。
たとえば、脳外科で、鼻腔からのアプローチの時に、骨を削る作業で刃先を踊らせるようなヘマをすると大惨事になります。
動画にしてみました。
取扱説明書では、「平らな面を広く研磨するようなときはゴルフのグリップのように握る」と書かれています。
我々業界では、大きく削除するようなときは、ナイフで鉛筆削りをするような「小刀持ち」をします。
我々が学生の時、解剖学の(臨床家ではない)センセがカービングの実習で石膏刀の使い方を教えていたんですけど、今は違います。
ミニルーターを持つ手を動かさず、削る物をもった側の手を動かす
右手でミニルーターを持つときは、右手を動かさずに、左手で持っている”削るもの”を動かすのが基本です。
ただ、例外も多くて、
- 大きな物を削る時
- 極小のものを削る時
- 削る対象物が動かせない(患者とか)時
は、ルーターを持っている右手を動かします。
切削粉は、邪魔にならない位置から、掃除機で吸うようにしましょう。それでも、切削粉が飛び散って汚くなります。
一通り削れたら、圧搾空気のエアガンで、切削粉を吹き飛ばします。エアブローっていいます。
ドレメル 2050を使って削ってみる
ネイルアーティスト、プラモデル、ドールハウス、フィギュアなどの模型をやる人は、ミニルーターを既に使っている、あるいは、これから使いたい人も多いでしょう。
先に付けるドリル(我々はバーと呼ぶ)の形状の豊富さと、軸ブレしない加工精度の良さから、歯科用を流用するのがベストです。
つまり、2.35mm径の軸のタイプです。
ここ10年くらいは、歯科用バーを作っている町工場が、ミニルーター用にパッケージにして 100均ショップで売るようになったので入手性が良くなりました。
さらに、中華のパチモノにも まともなものが増えてきて、安価に流通するようになっています。
IXO5のケースを削って加工する
手始めに、IXO5 ユーザが一番最初にやるケースの加工をやっつけていきます。
トルクアダプターをつけたままで、ケースにおさまるようにします。
樹脂なので、低回転で粗目のバーを使います。初めての人は、少しずつ削りましょう。
我々のようなプロは大胆に削り込んでいきます。すると、トルクが無いので、止まったり、バーが滑って空回りしたりしました。
なによりも、切削粉が静電気を帯びて くっつくので難儀しました。
スミヨセアダプターとトルクアダプターどちらかを付けて収納できるようにした代わりに、使わないACアダプターは入れないことにしました。スマホ用の充電器で十分対応できるからです。→ 収納できるようにしました。
途中、愛用している KaVoのK11と使い比べてみました。
二十数年前の当時、15万円で買ったドイツ KaVo の K11(技工用エンジン)です。
6年前にセールで買ったGC(ナカニシ)の11万円のブラシレス モータと比べるのはアレなので、同じ旧式のブラシモーターで、使い比べてみました。
6千円と15万円の違いは、
- 低速回転域でのトルクの差
- 高回転時のブレの違い
です。
こういった樹脂を削る時は、熱で溶けるので高回転で回せません。荒い目の刃のついたバーを使います。
クロス ファインじゃない、クロス コース カットですね。コース(粗目)カットタイプは、噛みこみが強いので刃先が派手に踊ります。
より低回転で使うようになるので、低回転域での安定したトルク(粘り)がある技工用エンジン(ルーター)の方が優れています。
日本には、歯科用の切削器具を作るメーカー「ナカニシ」があります。NCの工作機械のモーターも作っています。
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マイクログラインダ|製品情報【株式会社ナカニシ】
株式会社ナカニシの機工事業サイトです。ナカニシのマイクログラインダをご紹介します。医療分野にて培ったノウハウを生かした、手作業用精密グラインダです。
www.nsk-nakanishi.co.jp
歯科用になると医療器具の認可のため割高なんです。韓国メーカーのが安いんですが、一生モンとして考えれば…
グラインダー って何?
物を削る道具の総称です。研削、研磨、切断、穿孔(穴開け)などの作業に使います。
- 旋盤、フライス盤、ボール盤:ドリル、エンドミルで削り出す
- 卓上グラインダ:作業台に取り付ける、左右の軸にディスクやバフを取り付ける
- ディスクグラインダ:卓上グラインダーを手で持てるようにしたもの、最も種類が多い
- トリマー、ルーター:ボール盤を手に持てるようにしたもの、木工の角を落としたり、穴を開ける
- マイクログラインダー/ルーター ← ココ
の位置づけになります。
ミニルーターは、充電式か コード式か
充電式ミニルーター
- どこにでも持って行けるので、結束バンドの角を取るなど、チョットした研磨に便利
- 本体がバッテリー分重く、手に持ったときにバランスが悪いことがある
- バッテリー切れがあるので、パワーや高回転が必要だったり、長時間使う人には向かない
ドレメル MODEL 7760 は、充電式のわりにパワフルだけど軸ブレが大きい。
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ドレメル コードレス ミニルーター LITE(ライト)MODEL 7760 を買って使っているのでレビュー
ミニルーターは、模型工作、3Dプリンター、ネイルなど、細かい部分を削ったり磨いたりするのに使う道具だ。カービング(彫刻)にも使う。 ミニルーターは、リューター、マイクログラインダーとも呼ばれる。 ドレ ...
ケーブル式ミニルーター
- 本体が軽くバランスが良いことが多い
- 電源はコードなので、パワー、高回転などハイスペックなものがある
- 作業机に据え付けて、長時間作業をする場合は、コード式が良い
- コードを重く感じる人もいるので、釣り竿でひっぱりあげるなど、工夫は必要
まとめ
100円ショップのダイソーにも、工具コーナーでミニルータが売られています。500円や800円と100均では高めですね。
800円のヤツを買ってみました。電池式でしたけど、軸ブレがひどくて、音も大きい割にトルクがなくて使い勝手が悪いです。チャックがない構造なので、すぐに滑るようになって使えなくなりました。
ドレメルのミニルーターは、価格も7千円ほどで、そこそこ使えるものです。
往診用としては、すこし心許ないですが、使うセンセもいるかもしれませんね。そもそも、防滴じゃないので、消毒薬で清拭するのには水没故障しないように注意が必要です。
ドレメルの良いところは、
- Amazonで買える
- ミニルーターの種類が豊富
- ACアダプター コード型
- 充電式 コードレス型
- コレットなどアクセサリーも豊富
- 意外と安い
点です。耐久性については、値段相応でしょう。私も期待していません。
あれから6年、今は、カーボランダムポイントを付けて手の指の爪を切って先を丸めるのに使っています。
保管は、100均のケースに入れています。モーターのブラシが錆びないように 湿気には注意しましょう。