ドイツ ゼンハイザーのBluetooth密閉型ヘッドホン HD 450BTを買ったので、長期使用レポート
結論から言うと、
HD 450BTは 第一印象の音が良くて気に入ったけど、側圧がキツいので1時間しか使えない
- 旧モデル HD 4.50 BTNCの改良版
- エアコンや換気扇の音を打ち消すノイキャン機能付き
- ゲームプレーや動画を見るのに適した低遅延のaptX LLコーデック対応
- 低音から高音まで不自然な響きをあまり感じない
こんな方におすすめ
- 音が遅れない Bluetooth aptX LL 接続タイプがほしい
- エアコンやパソコンのファンの音を小さくするノイズキャンセル付きがほしい
- 購入品:ゼンハイザー HD 450BT BLACK・508386
- 購入時期:2020年3月3日
- 購入価格:24,200円
- 購入店:Amazon Japan G.K.
ゼンハイザー(SENNHEISER)って何?
SENNHEISERは、ドイツの音響メーカーです。
車などドイツメーカーを信仰するジジイの間では、人気のオーディオブランドです。
2022年3月、スイスの補聴器メーカー ソノバに センハイザーの一般向けヘッドホンやイヤホン事業を買収されました。
販売・サポートは、「Sonova Consumer Hearing Japan株式会社」に移行
aptX LL(aptX Low Latency)って何?
無線のBluetoothで音声を送る時の規格です。
データを圧縮して電波で飛ばして受信した圧縮データを元に戻す「コーデック」の1つです。
音が遅れて聞こえないのでゲーム機につなぐために使います。
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ゼンハイザー HD 450BTBT のスペック、特長
- アマゾンで気軽に割引きで買える。2.4万円
- 形式:密閉型・ダイナミック式
- 無線形式:Bluetooth 5.0、Class 1
- 対応コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX-LL
- 有線接続:3.5mm径→ 2.5mm径 専用ケーブル付き
- インピーダンス:?Ω
- 周波数特性:18 〜 22000Hz(-10dB)
- 音圧感度:108dB(1kHz/0 dBFS)
- 重量:241g
- バッテリー:Wh
- アクティブノイズキャンセル(Active Noise Cancellation、ANC)付き
です。
旧モデル HD 4.50 BTNCとの差を簡単な表にしました。
HD450BT | HD 4.50 NTNC | ||
アマゾンから購入価格 |
24200円 | 24764円 | |
形式 | 密閉型、ヘッドホンアーム、ダイナミック | ||
無線接続 | Bluetoothバージョン | V5.0 | V4.0 |
対応コーデック | SBC、AAC、aptX、aptX LL | SBC、aptX | |
有線接続 | あり、専用ケーブル | ||
音圧感度(1kHz/0 dBFS) | 108dB | 113dB | |
周波数特性 | 18〜22000Hz | ||
バッテリー | 2時間充電、30時間 | 2時間充電 19時間 | |
充電端子 | USB-C | microB | |
アクティブノイズキャンセル ANC | あり | ||
付属品 | ポーチ、充電ケーブル、有線ケーブル | ||
重さ | 241g | 238g | |
側圧 | 360g | 370g |
主な違いは、2つ
- 価格、形式、重さなど、ほとんど同じ
- 対応コーデックが、aptX LLとAACに対応した
HD 450BT の写真レビュー
同梱物は、
- HD450BT 本体
- 専用ポーチ
- 有線専用ケーブル:3.5mm径 3極ミニステレオ → 2.5mm径4極ミニプラグ、1.5m
- USB-C - USB-A 充電ケーブル、1m
- 取扱説明書、保証書
です。
説明書は、マルチリンガル(19カ国語)になっていて、イラスト中心の一見分かりやすそうで、分かりにくい説明書です。
専用ケーブル
HD 450 BTに付属しているアナログオーディオケーブルは、1.5m弱で、3.5mm径 3極ステレオミニプラグ →2.5mm径 4極ミニプラグです。
有線接続する時は、HD450BTのマイクは機能しません。
電源がはいっていなくても音がでるので、普通のヘッドホンとして機能します。
2.5mm径のヘッドホン側に差すプラグが、かなりキツいです。抜き差しに指先の力が必要です。ケーブルを引きちぎる、断線させないように注意しましょう。
ヘッドバンドの調整
ヘッドホンのアーム部分(ヘッドバンド部)の調整は、スライド式です。クリック感があり、しっかりと止まります。
調整幅は、0〜36mm、1クリックで2mmの幅の調整ができます。
イヤーパッド
イヤーパッドは、旧モデルのHD 4.50BTNCと同じです。変更された感はありません。
- デザイン的に完成されている
- 中華のメーカーとの価格競争でコストアップになることを避けたい
ためだと思われます。
HD 450BTの側圧は、あいかわらず キツめ
HD 450BTをかぶってみたら、締めつけられる力は、前モデルの HD4.50BTNCと同じに感じました。
ヘッドホンが頭をしめつける力「側圧」をはかってみました。私の顔の幅は17cmです。
測定方法は、
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-
ヘッドホンの側圧(ヘッドホンの頭を左右からしめつける力)を調べる方法
ヘッドフォン(以下、ヘッドホンに統一)を選ぶ時、「付け心地」「装着感」が重要なポイントになります。 どんなに良い音が再生できるヘッドホンでも、キツすぎて数分しか かぶることができなければ使えません。 ...
で解説しています。
結果は、
顔の幅 17cmで測定 |
側圧(g) |
ヘッドホンの重さ(g) |
HD 450 BT |
360 |
241 |
370 |
238 | |
SONY MCR-1R |
210 |
233 |
260 |
230 |
で、ほぼ同じことがわかりました。
350g超えは、かなりキツめの側圧です。1時間以上つけていると、耳が蒸れたり、コメカミ(側頭部、側頭筋部)が痛くなってきます。
眼鏡のツルは?
眼鏡のツルは、細いものなら干渉しません。
樹脂の太いツルだと、耳(耳介)が、ヘッドホンのイヤパッドとの間にはさまれて痛いか、メガネが浮き上がります。側圧がキツめのヘッドホンの宿命です。
ポーチ
付属のポーチは、前モデルの時と同じものが付いています。
内部にケーブルをいれる網袋がついています。
付属のポーチは折りたたむことで収納できます。HD450BTの折りたたみは、HD4.50BTNCと同じです。
HD 450BTの使い方・操作方法
HD 450BTの操作ボタンは、右に集中しています。基板が、右側のハウジングにあるからです。
左右の区別は、左右のアームの付け根にあります。
右のハウジングの前ガワに、通話用のマイクの穴が開いています。
HD 450 BT 右ハウジング 前下面観
操作は、ヘッドホンをかぶった状態で、右手で操作します。前から、
- マイクの穴
- マルチボタン
- 電源 ON/OFF
- ペアリング開始
- アクティブノイズキャンセル ON/OFF
- LEDランプ
- 有線ケーブル用ポート:2.5mm径
- USB-C 充電ポート
マルチファンクションボタン と LEDランプ
- 電源のON/OFF:2秒長押し
- ON:LEDランプ 青 3回点滅
- OFF:LEDランプ 赤 3回点滅
- アクティブノイズキャンセルON/OFF
- 1秒短押し ON/OFF
- ペアリング開始
ペアリング方法
- つなぎたいスマホやBluetoothトランスミッターを20cmに近づける
- つなぎたいスマホやBluetoothトランスミッターのペアリングを開始しておく
- HD450BTの電源がOFFの状態から、マルチボタン(電源ボタン)を4秒長押し
- LEDランプが、赤青の交互に点滅
- ヘアリングに成功すると、「ペアリング」と音声で言う、LEDランプは赤く3回点滅
- 「コネクテッド」と音声で接続完了。LEDランプは、青で3回点滅
HD450BT 右ハウジング 後下面観
後から、
- 音声アシスタントON/OFF
- Siri、OK Google
- 再生ボタン、スティック
- 押す
- 音楽の 再生、一時停止
- 電話がかかってきたら、出る、切る、長押しで不在
- 後に倒す:前の曲へ戻す
- 前に倒す:次の曲へ進める
- 押す
- 音声ボリューム
- 突起のある方:音量大
- 突起がない方:音量小
- USB-C充電ポート
音声アシスタント
音声アシスタントのボタンは押しにくいです。
1秒の短押しで、マイクがONになって声が聞こえるようになります。スマホ側は音声認識画面になります。
再生スティック
スティックコントローラは、便利です。普段は音楽の再生停止、先送り、逆戻りに使います。
電話がかかってきたら、ボタンを押して電話に出たり、切ったりできます。
着信拒否は、2秒長押しです。
HD 450BTの充電
充電中は、LEDランプが赤く点灯します。USB-Cです。向きがないので老眼に優しいです。
充電しながらでも聞けますが、LEDランプは消えます。
スマホやパソコンとつなぐ
Bluetoothでつなぐ方法と、アナログ端子で有線ケーブルをつなぐ方法があります。
スマホやタブレットは、みんな日頃からつないでいるので省略します。
Macに HD 450BTをつなぐ
最近のMacは、Bluetooth V5.0なので、つながります。
古いMacだと、Bluetoothのバージョンが古くてつながらない、つながっても音が悪い、マイクが使えないことがあります。
右上のメニューバーのBluetoothのアイコンからプルダウンメニューから、Bluetooth環境設定を開いて、
ペアリングのHD450BTを選択してつなぎます。
システム環境設定 / サウンド設定で、音声出力と音声入力で、「HD 450BT」を選んで、テストしてみましょう。内蔵マイクもなかなか良い音を拾っています。
音量もヘッドホン側からコントロールできます。15ステップです。
Windows 10のPCにつなぐ
設定のBluetoothデバイスで認識できれば使えます。
Bluetoothのバージョンが新しければ、特に問題なくマイクとと共に使えます。
Bluetooth トランスミッター BT T100につなぐ
テレビの音を無線で飛ばす Bluetoothトランスミッター につないで使えます。深夜に家族に迷惑をかけないようにゲームをするのに便利です。
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ゼンハイザー Bluetooth オーディオトランスミッター BT T100 レビュー。光デジタルでテレビのワイヤレス化、aptX LLで低遅延、無音 スリープなし。接続方法 を図説。
テレビの音声をBluetoothのヘッドホン / イヤホンで聞くためには、送信機(トランスミッター)をつけなければならない。 これは、ゼンハイザーのBluetooth オーディオ トランスミッター B ...
Smart Control Appを使う
ゼンハイザーのワイヤレスヘッドホンやイヤホンは、『SENNHEISER SMART CONTROL』アプリでイコライザの調整ができます。
認証のため、音声アシスタントボタンと再生/停止/通話ボタンを同時に4秒長押しをさせられます。
単純に、イコライザを設定できるだけのアプリです。
ボタンを指でドラッグすると、イコライザの調整曲線を変えられます。低音強調、高音強調、中音重視などを自分で作れます。
ゼンハイザーは、クセのない音を再生するように作られているので、イコライザーをいじる必要性はあまりないでしょう。
ゲームで、足音を聞き分けるのなら、1000〜4000Hzの周波数を大きめにするように設定しておきましょう。(元々、4〜6KHzあたりは強めになっています)
HD 450BTの音質について
低音から高音まで、ジジイの耳で聞こえる範囲では、心地よく響きます。
スマホを使った簡易音響測定で具体的に見てみましょう。イコライザは標準のフラットなままです。
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- 音響分析アプリのオクターブバンド表示
こんもりとした「かまぼこ形」です。高音で、4k〜6kHzの落ち込みがありますが、測定環境の影響かもしれません。
正弦波での周波数では、60〜18000Hzあたりまで出ています。
Bluetooth、有線ともに、ほぼ同じオクターブバンドの特性です。
HD450BTの倍音特性
矩形波の倍音特性をみてみましょう。矩形波の音が、そのスピーカーやヘッドホンイヤホンの音味になります。
入力するのは、440Hz(ラ、A)の矩形波です。正弦波では音響機器の響きがわかりません。
ノコギリ波になっています。ピークが1つだけで、まともな響きをしていることが分かります。
「濁りがない」「自然な響き」として表現できます。
アクティブノイズキャンセル機能(ANC)について
HD450BTにも、周りの騒音を小さくする「アクティブノイズキャンセル機能(ノイキャン)」が付いています。
ノイズキャンセルの仕組みは、
- マイクで周辺の音を拾ってデジタル回路に取りこみ
- 逆位相の音を作成
- スピーカーから逆位相の音を再生して打ち消す
と手間がかかっています。
ノイズキャンセルの逆位相騒音とスマホなどソースからの音声は別系統で、最終段階でミックスされるため、昔のようなひどい音声の遅延(音ズレ)はなくなりました。
しかも、ヘッドホンやイヤホンのBluetoothの音声、アンプ、ノイズキャンセル制御回路は、一般化(汎用性)されたICチップセット(SoC)を組み込むだけで簡単にできるようになりました。
中華の1万円前後のノイキャン・ヘッドホンとの差を聞き分けるのが難しくなってきています。たぶん、同じものでしょう。
このHD450BTのノイズキャンセル機能も良くできています。
- 初期のBOSEのヘッドホンのノイズキャンセルより不自然さがない
- ゴーという連続する騒音を打ち消すのは得意
- 人の声や音楽のように、音の高さが大きく変化するものは聞こえる
- ヘッドホン自体が密閉型で遮音性が高い
- キーボードの「カチャカチャターン」の音は消せない
- 耳の拍動性の音(ドクドク)は消えない
- 静かな場所では、ノイズの「シュワシュワ音」が耳障りになる
などの特長があります。
ヘッドホンを被ると換気扇やパソコンのファンの音が、スッと聞こえなくなるのは良いですね。
ヘッドホンで再生する音楽やゲーム音自体のボリュームを小さくできるので、耳を傷めにくくなっています。
HD450BTを使っていて気がついた問題点、欠点
HD 450BTのトラブルシューティングです。
ノイズキャンセルでシュワシュワする音がする
ノイズキャンセル機能が働くことで発生するノイズです。
ノイズキャンセルのテストをするのに、あつまれ どうぶつの森の博物館ロビーのピアノののんびりとした曲がかかっているのが都合が良いです。
ピアノの音にまとわりつくように「シュワシュワ」ノイズがでます。これは、ノイズリダクションの特徴になります。
周りの音が静かなところで目立つようになります。
ノイズリダクションをOFFにすると、ゴーというエアコンの音が大きくなって、シュワシュワ音が消えます。
ブツッと音が入る
ワイヤレスのヘッドホン/イヤホンには、音の最初が遅れて出なかったり、ブッと音がしたりするものがあります。
このHD450BTも、Bluetoothの接続時、無音からの突然の音がでる時などに音がします。仕様なので、防ぎようがありません。
電源が入らない
電源ボタンを、音声ガイダンスボタンや再生スティックとかんちがいしていませんか?
このヘッドホンは、前に電源ボタンがあります。
バッテリー切れになっていることもあります。充電してください。充電しながら聞けます。
音がおかしい、途切れる
Bluetoothの電波は、2.4GHz帯の混信しやすい周波数を使っています。
USB3.0ケーブルやゲーム機のコントローラーなどと混信して使えないことが良くあります。
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Bluetooth接続のマウスやキーボードが反応しない とぎれとぎれでつながっている パソコンのスリープ(スタンバイ)ができない Wi-Fi(無線ラン)が、とぎれる などの症状で、何が悪いのか?と相談 ...
ペアリングのコーデックが合わない時、キュルキュルと変な音になります。
ヘッドホン、つなぐBluetoothトランスミッターやスマホを再起動したり、ペアリングをし直してみましょう。
ドキドキという心臓の音が、ヘッドホンをすると大きく聞こえる
ヘッドホンやイヤホンをつけていると心臓の拍動(ドクドク)の音が気になる人は高血圧です。
血圧を測ってみましょう。下が75mmHg以下、上が125mmHg以下にならない人は、循環器内科を受診して高血圧治療を受けましょう。
家の前で遊ぶ子供のキャーという声が聞こえなくなりますか?
新型コロナウィルス(武漢肺炎ウイルス)のまん延で、子供たちが家の前で大きな声で遊んでいます。キャーという声がうるさく、イラついている人も多いでしょう。
アクティブノイズキャンセルは、人の声を完全に消すことができません。子供らの声を消し去ることはできません。
ヘッドホンをかぶるだけでも、子供の遊ぶ声や足音、ボールをつく音が小さくなります。
エアコンや換気扇の音が消えるので、静かにクラッシック音楽をかけて読書をすることができます。
耳が蒸れてコメカミが痛くなるまでの1時間は静かに音楽を聞けます。
たった1時間ですが、その間、くつろげるのであれば、アクティブノイズキャンセル機能のあるヘッドホンを使うのもアリです。
まとめ
中華のBluetoothヘッドホンは、アクティブノイズキャンセル機能が付いて、60ドルで売られています。
それに対抗するために、ゼンハイザーのような”高級ブランドメーカー”も価格を抑え気味で販売しています。
HD450BTは、側圧がキツいため長くつけることができません。
装着感が悪いのは、難聴を防ぐ「60:60セオリー」の観点から都合がいいので「ヨシ!」としましょうw。
音に関しては、アクティブノイズキャンセルをONにしても、あまり不自然な音できこえない点が評価できます。遅延をほとんど感じないのでゲーム用としてもおすすめです。
ただし、2万円以上する価格が欠点です。
アクティブノイズキャンセル機能がないモデル『HD 350BT 508384』は、1.2万円で売られているので、それでも良いかもしれません。