USBの5Vを電源とする機器が増えている。USBケーブルを長くのばしてつなぐこともある。
この記事では、
USB電源ケーブルを自作する方法と問題点と課題をまとめ
た。
USBについて
USBの種類、今主流になっているUSB-C など概要(総論的な)ことは、
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USB-C 、 Thunderbolt 3(USB4)、Thunderbolt 4 の違い まとめ
USB-C(USB Type C)のポートを持つ機器が増えてきました。 スマホ、Nintendo Switch、iPad Proで、USB-Cが採用されたことで、USB-Cの規格が主流になりました。 ...
でまとめてある。
USB電源ケーブルの作り方
データ通信線はつながない。単純に、バスパワーの5V電源だけをつないだもの。
モバイルバッテリーやUSB充電器の中には、信号線のないUSBケーブルに対しては電流を0.5Aしか流さないものがあるので注意されたし。
USB電源ケーブルを作るのに必要な物や道具
- 材料
- USBプラグ、ジャック
- 電源用ケーブル(0.5sq、ダブルコード)
- ハンダ
- スミチューブ(熱収縮チューブ)
- 工具
- ニッパー
- ケーブルストリッパー
- 半田ごて
- リュータ
- 他
USBの自作用プラグとジャックは、Amazonで売られている。中国製パチモンの転売業者から買う。10個入りで千円ほど。
AliExpressで買えば半額以下で安いが、100個単位なので使い切れない。
ケーブルは、自動車配線用のDCケーブルが(最寄りのホームセンターよりも)Amazonで買う方が安いので買って使っている。
ブランドは、エーモン(兵庫)をよく使う。ケーブルの生産国は、ベトナムだ。
USB電源ケーブルの手順
- USBケーブル、USBジャックのカバーの加工
- ケーブルをハンダづけ
- カバーのとりつけ
- テスト
USBプラグ、USBジャックのカバーの加工
USB2.0のケーブルは4芯のUSBケーブルで細い。USBプラグ、ジャックのカバーは、細いUSBケーブルに合ったサイズになっている。
自作するのだから、抵抗値の少ない太いDCケーブルを使いたい。
USBプラグのカバーを加工する。
リューター(マイクログラインダー、電気エンジン)と、適当なバー(ビット)で削る。
電源ケーブルをプラグとジャックにハンダづけする
ケーブルは、ハンダづけして取り付ける。
USBType-Aの結線は、
なので、4つの端子の中から、両端のUSB 5V バスパワーをつなぐ。
正負の配線をまちがえないように、マーカーで、「+」「ー」をあらかじめ書いておこう。
DCケーブルは、ケーブルストリッパーの0.8mmの穴で被覆をカットして、
ひねりながら被覆をむいて、
銅線にハンダを染みこませて、ハンダメッキの下処理をしておく。
プラグ側の端子にも、少しハンダメッキをしておいて、
ケーブルをのせてから、上からハンダこてをあてて温めてやると、ハンダが溶けてハンダづけができる。
ジャック側も同様にハンダづけする。
プラグ側とジャック側のハンダづけする端子の長さがちがうので、銅線側の長さはニッパーで切って適切な長さにすると綺麗に仕上がる。
USBプラグ、USBジャックのカバーをとりつける
熱収縮チューブをヒーティングガンで あぶって被覆の補強をする。
カバーを取り付ける。接着剤ではりつける。
カバーの加工が雑なのでケーブル部分にスキマがあいて、尖った部分ができてしまった。
そんなときは、グルーガンの熱可塑性樹脂で埋めてリカバーする。
USB電源ケーブルのテストをする
USB充電器にケーブルをつなぎ、USBテスターで結線が正しいかを確認する。
正負の配線を逆につないでいると、USBテスターやUSB充電器の安全機能が動作して電流が流れず停止する。
3mのUSB電源延長ケーブルの抵抗値を調べてみよう。
電源負荷装置(ET5410)を、CC(電流一定)モードにして、1Aに設定する。
まずは、USB充電器に直につないで、USB充電器の電流と電圧をチェック。
Amazonで買ったノーブランドの中華パチモンのUSB充電器だが、まともに 5V/1Aで出力されていることが分かる。
自作した延長ケーブル3mを間にいれてつないでみよう。
延長ケーブルの電気抵抗分の電圧が下がるはずだ。
4.7V/1Aになっている。つまり、0.2〜0.3Vの電圧降下があった。(ET5410の電圧電流の数値はいい加減)
E=IR、R=E/Iで、1Aだから、3mの延長ケーブルの抵抗は、0.2〜0.3Ωである。
DMMで、延長ケーブルの抵抗値をはかると、銅線1本の抵抗値は0.12Ωとでるので…。これの等価回路ってどうなるんだろ? → 0.12Ωの抵抗が正負に1つずつ付いたものと同じ?
こんなかんじで、実験してみると分かる。
延長ケーブルを長く伸ばせば伸ばすほど、USBジャック側の電圧が下がってしまう。
屋外におけるATOMCam2のために、USB電源ケーブルを10m以上延長して使いたい。しかし、このままでは4V以下に電圧が下がってしまい、ATOM Camが安定して動作しない。
自作のUSB電源ケーブルは5mまでなら、4.8V以上の電圧が維持できて動作に問題は起きません。
対策として、5V以上を自由に設定できる 延長ケーブル専用のUSB充電器を作れば良いことになる。
適当なDC/DCコンバータ基板とACアダプターを秋月電子に注文することにした。
まとめ
ATOMCamなど、USB電源で動作する機器のための、USB延長ケーブルの作り方を教えて欲しいというリクエストがあった(2020年の暮れ頃)ので、下書きのまま放置してあった記事を公開した。