帯状疱疹(たいじょうほうしん)にかかって、その症状や経過をメモしたので紹介します。
帯状疱疹(たいじょうほうしん)とは、どんな病気?
一言で言えば、皮膚に水疱ができて熱と激しい痛みをともなうウイルス感染症です。
帯状疱疹の原因菌はウイルスです。このウイルスは、みずぼうそう(水疱瘡)、水痘(すいとう)と呼ばれ、体中に水疱(水ぶくれ)ができて高熱がでる病気の原因菌【水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)】です。
ほとんどの人が、子供の頃に水疱瘡ウイルスに感染します。かかりつけだった近所の内科の先生に「顔のかさぶたは傷として残るから掻いたらいけない」と再三の注意を受けたにもかかわらず、まだ小さい子供だったため、掻痒感(そうようかん:かゆみ)を我慢できず、何度も爪で深くえぐるようにひっかいてしまいました。
その後、風邪を引いたり下痢したりして、その内科の先生にかかる度に、その額の傷(瘢痕:はんこん)を見て「あのとき、もっと厳しく注意しとけば良かったな」と繰り返し言われたので、今でも覚えています。
帯状疱疹は、「日和見感染」症
日頃は体のどこかに潜んでいて、人の免疫力が弱ったときを見計らって増殖して人に害を与える感染症を日和見感染と言います。この帯状疱疹は日和見感染症の代表例です。
水疱瘡は、託児所や保育園などの小さい子供が集まる場所で流行します。他の子供の水ぶくれがはじけて、流れ出る体液に大量に含まれる水疱瘡ウイルスに触ることで感染します。
水疱瘡ウイルスは、人に感染すると神経細胞の中に組み込まれ、感染した人(宿主、ホスト)と共に一生を神経細胞の一部として過ごします。
その人(宿主)の免疫力が低下すると、神経細胞の中で活発に増殖し神経線維をつたって体の表面にでてきます。そのウイルスが皮膚にでて来る時に水ぶくれ(水疱)を作ります。これを帯状疱疹と呼びます。
水疱の中にウイルスを大量に含んだ体液が貯まっていて、はじけて、その体液が他の人に触れることで感染していきます。
接触感染
VZVウイルスは感染力の弱いウイルスです。それでも、濃厚な接触をすれば感染します。水疱瘡にかかったことがある人は、免疫があるので大丈夫です。
ヘルペスウイルスは、水疱瘡(帯状疱疹)と同じ日和見感染の仲間
風邪を引いた後、睡眠不足で疲れがたまったときに、唇に水疱ができることがあります。これは、ヘルペスウイルス(ヘルペス シンプレックス1型)感染の症状です。
頭蓋骨の裏側に、三叉神経(眼神経、上顎神経、下顎神経)の塊(三叉神経節)があるんですが、ここに、ヘルペスウイルスが寄生しています。
陰部神経節に、同じペルペスウイルスが潜んでいる場合を、ヘルペス シンプレックス2型と言い、STD(sexually transmitted disease、性病)の一つとして扱われます。
帯状疱疹の発症する年齢は、50歳以上で発症する率がたかくなる
中年以降の人(爺、婆)なら、帯状疱疹を本人自身か家族、同僚などが経験したことのある人が必ずいるくらい身近な感染症です。
「帯状疱疹になって…」と話題を振ると、みんな「あー、ワシもなった」あるいは「うちの爺さんが〜」って話が盛り上がるネタになるくらいです。
体の免疫力が著しく無くなることで帯状疱疹は発症しますから、年を取れば取るだけ発症する確率が高くなります。年間の罹患率は、0.5%(千人中3〜5人の発症率)だと言われています。
帯状疱疹の水疱がでやすい場所(好発部位)は?
帯状疱疹の主な症状である水疱と痛みの出る部位は、頭、背中、脇、腹、尻、足です。
多くの人が症状を出す体の場所を「好発部位」と言います。
帯状疱疹は、神経節(神経の塊)に感染し寄生していますから、その神経が通っている(神経の走向)ところにそって皮膚の表面に水疱を作って出てきます。
神経の走向に沿って「帯状」に水泡ができるので「帯状疱疹」の名が付けられています。
帯状疱疹の好発部位は、背中から脇、腹にかけての肋間神経にそった場所です。私もそうでした。
肋間神経は、背骨(脊椎)から、背中、肋骨の間を通ります。肋間神経は左右で別々です。なので、右か左のどちらかにでます。不思議なことに左右両方にでることはありません。
帯状疱疹で最も危険なのは、頭の三叉神経に沿ってでてくる水疱!口唇ヘルペスと同じように、水疱瘡のウイルスが三叉神経を伝って顔に水疱を作ってでてくることが、極まれにあります。
三叉神経と三叉神経節
頭蓋骨の裏側に神経の塊「三叉神経節」があって、そこから、
- 額、目と目の周りに走向する眼神経
- 上あご、上唇に走向する上顎神経
- 顎、下唇へ走向する下顎神経
の3つに分かれます。
この3つのうち、眼神経系へ水疱瘡ウイルスが発症すると、最悪、目を失明することがあると教科書に書かれています。
今でこそ、特効薬(抗ウイルス薬)がありますから致死率は下がりましたが、当時の古い教科書には頭頸部への発症の場合、致死率は数%とかかかれていたような記憶があります。さらに、顔面神経痛として顔が歪む後遺症が、昔は高頻度で起きていました。
私も皮膚科の講義で、皮膚科の教授が開口一番に「帯状疱疹の頭部での発症のリスク」について、熱く語り始めたのを今でも覚えています。
ただし、めったにお目にかかれない症例なので、見つけたら症例写真を一杯撮って、仲間内の症例報告会で、「出くわしたぞ〜」、みんなが「おお〜」と驚くインパクトがあります。いや、本音は、「見逃さず、救急で皮膚科に紹介できたから訴訟にならなくて良かった ホッ」です。
先にも述べた、口唇ヘルペスと水疱瘡のウイルスは親戚関係にあり、人間の体に寄生する仕組みも症状も似ていることから鑑別診断が難しいんです。
「高熱」、「偏側顔面痛や歯痛」、「顔半分が触ったらおかしい」などの複合症状の場合で、口の中の親知らずなどの歯が腫れて痛くなければ、皮膚科、内科を救急レベルで受診することをおすすめします。
症状としては、
- 眼神経系なら、眉、目の下あたりに痛みや水疱ができる
- 上顎神経なら、上唇に水疱と上の歯が痛くなる
- 下顎神経なら、下唇に水疱や歯痛がする
高熱と激しい傷みを伴う水疱が出た時点で症状は相当進んでいることになりますので、救急レベルに格上げです。
そもそも、三叉神経は、運動神経、知覚神経混在型なので、水疱が出る前に、その神経が担当する皮膚の感覚が他と違ってきます。
ウイルスが免疫力を上回り増殖をはじめると知覚神経がやられます。その神経が担当する皮膚部分が他の皮膚の触られる感覚と違って、風にあたると「すーすー」する、毛髪や体毛に触ると「ぞわぞわ」、「ひりひり」、「ぴりぴり」、「ひやひや」、「むずむず」と、何とも言えない、他と違うかんじがすると、患者は訴えます。
発症してしまうと、顔半分が赤黒く変色とボコボコの水疱ができます。まさに、「疱瘡」で「怪談のお岩さん状態」になります。症例写真もインパクトがあります。
頭部への帯状疱疹は、後遺症として顔面麻痺が起きると半年〜1年くらいは治りません。
舌神経に障害が残ると味覚異常や顔面麻痺と舌運動障害で発音障害がでることが極まれに起こります。
聴神経をやられると 聴力障害。視神経をやられると失明です。
治るまで待つ。悲観的にならずに気長に構えておきましょう。
帯状疱疹がおきる原因(トリガー)
- 水疱瘡に子供の頃感染した。
- 睡眠不足が数ヶ月続いている。
- 感情の高ぶり、激高する等強い精神的ストレス
- 何か他に消耗性疾患(感染症、癌など)に罹患して(かかって)いる。
- 旅行、引っ越し等の生活環境の大きな変化、冠婚葬祭等の行事が続いた。
- 以上のため、免疫力の著しい低下が起きた。
日和見感染の起きやすい条件です。覚えておくと良いでしょう。
免疫力が落ちている状態が長く続くことは極力避けるようにしなければなりません。
SNSで「コロナワクチン接種後に帯状疱疹がでる」とのウワサが広まっています。
ヘルペスウイルスには特効薬があります。まだ特効薬のないコロナのワクチン接種を優先してください。
以上を踏まえた上で…
帯状疱疹の具体的な症状と経過を私の実体験で解説
帯状疱疹であることに気がつく、10〜2日前
半年〜数ヶ月前:
連日、午前零時を回って風呂に入って寝る。睡眠時間は、4〜5時間と厳しい日々が続いていました。
本業や家族の介護問題など、いろいろとやること、心配事があったからです。
10日前:
仕事上で、私の大きな勘違いによる ブチ切れ事件が勃発。一日中、怒鳴り散らすなど、ここ近年にない 怒り狂うことがありました。
翌日、自分の完全な勘違いであることに気がついて猛反省…。精神的感情の起伏が大きくなることがありました。
3〜4日前:
背中に、手で触るとかゆみを伴うポツポツとした丘疹を手で触って感じました。汗疹(あせも)?、寒い時期に?? 電気毛布による低温火傷?と思った程度で、すぐに忘れるほどでした。
上半身、とくに右側に筋肉痛のような皮膚を押さえたときの痛み(圧痛)と皮膚を手で擦ったときの感覚が違うような気がするときがあったと思います。
脳卒中? 目を閉じて、両手を前に出してっていうヤツをしてみたけど、特に問題はありませんでした。そもそも、脳出血なら”頭の中を指で力いっぱい つねられるような”ひどい頭痛がするはずです。
2日〜前日:
風呂で、ナイロンたわしで体をこすった時、背中から右脇腹、右肩、右上腕あたりの皮膚が、「ゴワゴワ」、「さわさわ」と違和感を感じます。
まるで、インフルエンザにかかった時に体中の節々が痛んで、皮膚を撫でたときに毛が逆立つような違和感です。
背中にブツブツができているのを手にふれていました。
背中に発疹?丘疹? いや、脇に水疱ができている!
帯状疱疹だと気づいた初日
脇に細長い分布で、小さな水疱と紅斑がでてきています。
背中にかゆみと軽い痛みを感じる丘疹ができて、脇に小さな水疱がでているのに気がつきます。そこで、帯状疱疹であることに気がつきます。
体温は微熱で、36度。私は、日頃が36度より低い(筋肉量が少ない)ことが多いので、すこし熱があるかな?と感じていました。
上半身が、明らかに痛いんです。とくに、右側の体の皮膚に触ると何かおかしい。右背中から脇にかけて押えると痛みがある。皮膚の感覚が「ザワザワ」「ヒリヒリ」と痛みではない違和感がありました。
本来なら、この時点で、すぐに皮膚科を受診し、抗ウイルス薬(バラシロクロビル)の点滴か服用薬をもらってくるべきだったんです。
バルトレックス錠500mg(バラシクロクロビル塩酸塩錠)、薬価は2020年で一錠354.2円/錠円(ゾロ薬で131.2円)、42錠入り1箱で1万5千円弱です。
バルトレックス錠は、口唇ペルペスなどの治療薬としても処方します。水疱瘡、帯状疱疹にも効く抗ウイルス薬です。主な副作用は腎臓障害ですが、特に毒性の強い薬ではありません。
口唇ペルペスの特効薬として、アフィカスがサイトを作って、ネットで販売する薬局へリンクしていましたが、2017年12月のGoogleの検索アップデートで、圏外に消え去りました。
ネットで処方箋の必要な薬を販売するサイトを見つけたら、厚労省に報告しましょう。
医薬品医療機器等法違反の疑いがあるインターネットサイトの情報をお寄せください
せっかく高い保険料を払っているんだから、保険医療機関の皮膚科、内科を受診しましょう。とくに、帯状疱疹は症状が悪化する前に、バルトレックス等の抗ウイルス薬を飲めば、回復も治癒も圧倒的に早くなります。
皮膚科医院の某君へ受診して点滴をしてもらおうと思ったのですが、体力的に、さほど消耗しているかんじもなかったので、自力で治してしてみようかと思ったのが間違いの始まりでした。
ブログネタ的に美味しいと思って、EOS Kiss X8iで妻に撮ってもらうことにしました。
体力を落とさないように、睡眠時間を長めにとるべく午前11時までには床につくように、仕事の制限を始めました。ここ半年で体重がドンドン増えて、弛んだお腹が邪魔なのでダイエットをしようかと思っていたんですがダイエットは無し、とにかく「欲しいものは、たらふく食って寝る!」でスタートです。
とりあえず、ダイコンおろしを食いました。大根おろしのダイコン臭い息がでるくらい食べれば、喉が痛いなどの風邪のウイルスなら増殖を抑えることを期待できそうです。ものは試しです。
近年、「風邪など感染症で、体の免疫システムを対ウイルス(抗体製造)に注力させるために腹一杯食べることは好ましくない」考えになりつつあります。
水分補給を十分にしつつ、自分の食欲と相談して、食べる量を決めてください
2日目、水疱が右脇から胸部へ拡大、右脇が痛い!
背中をさわったかんじが、明らかに違います。皮膚を押さえた時の痛みが増してきます。
朝起きたら、右脇が触ると痛い。明確な水疱ができていました。皮膚を撫でて、ぴりぴりとする知覚異常の違和感が、背中から右脇、胸、右腹、鼠径部あたりまで広がっています。右手も上腕が皮膚の感覚が変わっていることがわかります。服にふれた皮膚の感覚が大きく違ってきます。
微熱の36.5度で少し熱っぽい?かんじです。
まだ、この時点で皮膚科を受診して、抗ウイルス薬を点滴か服用すれば、ダメージは最小限に抑えらえれたと思います。
水疱にはウイルスが含まれていると思われるので、家族と風呂などのタオルの共有は止めます。
3日目 水疱の部分がさらに拡大。
水疱の範囲が治まるどころか、拡大していきます。
36〜37度と微熱が出続け、体中の節々がむずがゆい、痛いような気がします。
インフルエンザにかかった時のように、「全身にウイルスが回って、体の免疫反応が活発化してきた!」かんじがしてきました。
上半身がじわじわと痛いです。とくに、右側がひどい。免疫力をアップするために、ビタミンC、完熟バナナを食いながら、無理をしないように早めに寝て体力を温存します。大根おろしをスプーンですすくって食います。
夜、目が覚めるほどの痛みになってきています。
4日目 水疱が拡大、痛みも増大中
微熱36.8〜37度、水疱部の自発痛が上昇してきていました。痛みで目が覚めるのは「疼痛(とうつう)」になります。
自発痛(じはつつう)
ほっといても、ずっと痛いことを、自発痛と言います。医者に痛みの状態を伝えるのには、「触らなくても、動かさなくても、何もしなくてほっといても、ずっと痛い」と言えば伝わります。
「ズキズキ痛い」は、心臓の鼓動に合わせて痛みが増減する「拍動性(はくどうせい)の痛み」と言います。
背中から右脇、腹、右そけい部あたりまで、知覚神経の異常による、じわりと痛いかんじがします。
時折、ピリピリとした「走る」痛みがでてくるようになりました。夜明けに、寝汗をかいたので、下着とパジャマを着替えました。熱が出ています。
体は、ウイルスに対する抗体を作るべく炎症を起こし始めているようです。
徐々に症状がひどくなっていきます。痛みは、「ピリピリ」から「キリキリ」と刺す痛みになってきました。朝よりも昼、昼よりも夜が痛いです。急性化しています。
肋間神経の知覚神経が壊れたようで、皮膚の触られた感覚が、「キリキリ」刺す痛みとして感じるようになります。
知覚神経の痛覚の閾値(感じる感度)が極端に下がる(軽い刺激でも大きな痛みの信号を伝達するように故障した)状態になっています。
肋間神経(ろっかんしんけい)
肋骨の間を走向する神経なので、それに合わせて水疱が綺麗にラインになります。
臨床症状的に分かりやすいです。
仕事中も、痛いので集中力が落ちてきました。昼間も眠いです。明らかに睡眠不足になってきています。
5日目 水疱がさらに拡大、痺れ、神経痛、痛みが我慢の域を超える。
夜、ウトウトするくらいで、ぐっすりとねむれません。熱は微熱程度で、高熱がでる気配はありません。皮膚の水疱とその痛みに加えて、「キリキリ」刺すような痛みに変わっています。
水疱ができて腫れ上がった皮膚自体も痛いですが、それ以上に、肋間神経の知覚神経が伝達異常を起こしています。痺れているのに、針で刺すような痛みがやたら伝わってきます。シャツが水疱のある患部皮膚に触れるだけで、キリキリと針で刺す痛みがします。
上半身の右側が、全て痛くかんじます。背中〜脇〜胸、腹、さらに、右の腕全体がどこを触っても、ヒリヒリするような軽い痛みのように感じます。
やっぱり、早めにバルトレックス(バラシロクロビル)を飲んでおけば良かったと後悔することになります。ここからが、本当の地獄が始まったのです。
たまらず、ロキソニンを飲み始めます。ロキソニンを飲んで効いている間だけ、皮膚表面の炎症による痛みは和らぎます。
6日目 痛みは耐えられないレベルに到達!
ロキソニンを飲んで2時間ほど眠って、痛みで目が覚めて、うなされるため、実質の睡眠時間は数時間もないでしょう。
水疱は、赤黒く変化してきて、触ると飛び上がるぐらいの激しい痛みになります。触覚が完全に痛みとして伝わっています。
体幹の右半分が触れた感覚がおかしいです。とくに右背中から脇、胸、腹にかけてのキリキリと刺されるような痛みが広範囲にでています。強い痛みになれていない人なら、死ぬんじゃないかと恐怖におののくでしょう。
写真を撮るために腹を膨らませた状態で、この程度の皮膚の緊張でも、ザクザクと剣山を突きさすような痛みが広がってきます。これはマジで痛いです。
睡眠不足による眠気と頭痛がしますが、ロキソニンを飲むと頭痛は止まり、微熱は下がります。
しかし、神経の痛みは、ロキソニンではまったく効きません。肋間神経の知覚神経がウイルスによって破壊され、ただしく信号を送れなくなっているようです。いわゆる痛覚の閾値がストーンと落ちてしまって(センサーの感度が最大限になっていて)、どんな刺激も針を刺す、切り裂くような最大級の痛みとして脊髄へ信号を送るようになっています。
こうなってくると、中枢神経系に作用する鎮痛薬が必要になります。2010年に認可のでた神経伝達系に作用する鎮痛薬、新薬のリリカ(プレガバリン)が第一選択になるでしょう。それでもダメなら、鎮痛薬の最終兵器、モルヒネ、フェンタニル(オピオイド系鎮痛薬)とかを静注してもらえば、ぐっすりと眠れると思います。この時点で、入院するほど消耗していないので、なんとか耐えることにします。
仕事にも支障がでるレベルの痛みです。仕事を先送りにしました。
ところが、1週間程度の先送りでは回復しなかったんですよ。
7日目 痛みは続き、キリキリと刺す痛みのため眠れない。夜が明けるまで目を閉じて耐える。
皮膚の症状は、水疱が赤黒く変色してきました。徐々に終息方向へ動きはじめているかんじです。ロキソニンを飲んで痛みが治まる皮膚に関しては、広がりが止まりました。それでも微熱は続き、37.2度と、睡眠不足なので、「眠くて、しんどい」です。
それ以上に、ウイルスによる神経繊維の破壊が起きたためか、触感、冷感、温感が、痛感として変換されて、脳が感じます。
下着が触れるだけで、「痛ててて」。まだ、右腕の皮膚を触っても、知覚異常のため、触られた感覚がおかしいです。
休日も寝て過ごしたいところですが、痛い以外、なんとか動けるので、家事を手伝いつつ、車での送迎他、今の自分にできることをこなします。
そうでもして気を紛らわせていないと、痛みで気が狂いそうになります。
8日目 痛みが続く、いつまでこの痛みが続くのか?
赤黒い水疱が、白く膿疱に変化してきました。
水疱の治癒過程
- 発赤、紅斑
- 水疱形成
- 膿疱(のうほう) ← 今 ココ!
- 自壊(自潰)して
- 膿瘍(のうよう)
- 糜爛(びらん)
- 痂皮(かひ)瘡蓋(かさぶた)
やっと、次のステップに入ったなと思いつつも、痛みはまったく治まる気配すらありません。
水疱以外のところは、乾いてカサカサになったかんじで、かゆみもでてきました。
とにかく、痛い。眠れない。すべてが痛い。仕事も集中できない。「一週間先送り」にした仕事は、「3週間先送り」にするべきだったと後悔しはじめました。
寝ている時の痛みは、5分程度でキリキリと刺す痛みがでてきます。その痛みがでる皮膚をそっと手を添えてシャツの上から撫でてやると治まります。すると、他の場所がキリキリと痛み出す。
痛む箇所に手を当てて、なでながら、「【痛み】で信号を返すんじゃなくて、【触られた感覚】で信号を正しく返しなさい、脳もそれをただしく受け取りなさい」と脳に暗示をかけながら、ウトウトする浅い眠りを三十分サイクルで、数回しているうちに夜が明ける…。
9日目 膿疱が自壊、糜爛(びらん)、膿瘍にならないように消毒開始
膿疱の表面の痛みはロキソニンを飲めば治まりますが、キリキリとする神経の痛みに耐えられず、なぜか痛いところを下敷きにして寝ると、三十分程度は眠れることに気がついて、右側にむいて寝るようにしていました。すると、体重で膿疱(の水疱蓋)がはじけて、中の汁がシャツに付いています。
シャツはゴワゴワとして、皮膚にひっついているところもありました。すべての膿疱が自壊(自潰)してしまうまで、まだ、ウイルスがでていることになりますから、風呂やタオルの併用は水平感染(家族間で感染すること)を避けるべく対処しましょう。
皮膚が破れて、「瘡蓋、痂皮」ができています。感染が起きると膿瘍、糜爛になりますから、ここからは、細菌感染で皮膚の状態がわるくならないように、消毒が必要になります。
痛みは、皮膚の痛みが再び増してきて、神経の突き刺すようなキリキリとした痛みと共に激しさが緩みません。
ロキソニンを飲まずには過ごせない状態が続きます。
11日目 背中は麻痺して、右脇から腹にかけての刺す痛みが続きます。
風呂上がりに、感染を防ぐべく、妻にイソジンを塗ってもらい、痂皮の部分は、早くなおってもらいたいので、テラコートリル(テトラサイクリンのステロイド軟膏)を塗ってみました。
感染はおきていないようです。
膿疱がはじけてなくなっていくのは、背中からで、脇や腹は下敷きで寝ることがないので、なかなか自壊しません。
皮膚自体は、かゆみ(掻痒感、そうようかん)が強くなる時もあります。しかし、それ以上に、刺すような神経痛が5分おきにやってくるのがつらいです。
連日の痛みによる睡眠不足で精神的に弱ってきた
睡眠不足が続くので、徐々に精神的にまいってきました。「やっぱり、皮膚科を受診して、バルトレックスを飲めば良かったな」と。
いや、自分のところのを飲めば良いんですが、まぁ、一錠が500円超(発病当時の薬価)の高い薬なんで我慢したのが、アレでした。
もう、ウイルス自体は体の免疫力によって抑えられているようなので、今さら抗ウイルス剤を飲んでも、この刺すような神経痛は治りません。
背中は、痛みではなく触っても感じない、つまり、麻痺しています。知覚神経が破壊されてしまったようです。脇がとにかく痛い。
皮膚に症状のない、水疱も紅斑もなにもでていないところに、刺すような痛みが走ります。それも5〜10分サイクル。痛みの箇所を左手でなでて、さすってやると、痛みがすっと消えます。これの繰り返しをかれこれ4日ほどやっています。まさに、「手当」。
リリカ(プレガバリン)だけでも、処方してもらうかと思いつつも、我慢します。
12日目 痛みは続く
夜眠れないまま、体力、気力ともに低空飛行状態です。右手の皮膚をさわったかんじがおかしいのが続いています。まだまだ、ウイルスが体内、神経をあちこち駆け巡っているようです。
腹の部分の痛みが増しています。背中は痺れたままですが。
ロキソニンを飲まずに日中が過ごせるほど、痛みになれたのか? 皮膚の痛み自体が減ってきたのか?です。
神経がズダボロに傷んででいるのなら、ビタミンB剤を飲めばマシになるのかな?と思って、飲んでみました。おそらく、麻痺するほどやられた神経には、効果が期待できると思いますが、神経が異常な信号を送り続けているため、ビタミンBを飲むと、刺されるような痛みも増大する気がします。
とにかく、この刺される痛みがある程度治まるまで、ビタミンB剤は飲んでも効果がないような気がしたので、様子を見ることにしました。
14日目 瘡蓋(かさぶた)ができて、かゆみが増してきた
背中の麻痺と脇から腹にかけての刺されるような痛みはあるものの、背中の痛みは半減しました。痛い箇所の面積が減ると、こんなにも楽になるのか?と実感できます。
痛みの次に、掻痒感(そうようかん)がおそってくるようになりました。 瘡蓋(かさぶた)の固いやつを爪でかきむしりたい衝動に駆られます。
神経痛はまったく治まる気配すらなく、かゆみが共にくるので、夜は眠れません。
16日目 皮膚症状はよくなっているが、神経痛が良くなる気配がない
背中は、ほぼ瘡蓋(かさぶた)だけになって、皮膚のかゆみがましてきています。
背中は痺れたまま、脇から、腹にかけての神経痛だけが残り、激しく痛みます。睡眠不足が2週間もつづいてくると、もう諸々が、どうでも良くなってきます。
仕事もなぜか暇にならずに、じゃんじゃん予約の電話が入るので、「新規の客は断れ!」と叫ぶ精神状態になりました。
20日目 皮膚の症状はほとんど治癒してきたが、ひどいかゆみと神経痛で眠れない
皮膚の表面は、ほぼ治りました。しかし、かゆみが治まる気配がありません。激しい掻痒感に襲われるため、シャツの上から、いつも手でかきむしるような手癖になってしまいました。
もう50歳の爺さんなので、子供のように爪を立てないものの、手でさすることで紛らわせます。
刺されるような帯状疱疹神経痛も、手で撫でてやると治まります。神経繊維が破壊されて、痛みの閾値が下がっているからなので、神経繊維が修復されるか、新たに伸びてきて代替えが効くようになるまで、痺れやこの異常な痛みは止まることはない と、あきらめなければなりません。
長期戦になる覚悟です。
痛みで目が覚めるので、三十分刻みのウトウト睡眠でしたが、徐々に、1時間睡眠を3セットとか、まったく眠れない状況から脱却しつつあります。
23日目 明け方激しい痛みで目が覚める
すさまじい掻痒感は、あいかわらずあります。
寝る前にロキソニンを2錠飲んで寝ていましたが、今朝は痛みで目が覚めました。つまり、そこそこ眠っていたことになります。ちなみに、カロナール錠だと6錠くらい飲まないと、効きません。
キリキリと刺されるような帯状疱疹神経痛は、ロキソニン、カロナールは全く効きません。リリカや麻薬系オピオイド系鎮痛薬でなければならないようです。
リリカを飲もうか、ずっと考えています。でも、リリカって、効能書きに、「副作用に常習性あり」の記載があるので我慢することにしました。
帯状疱疹後神経痛(PHN)に移行しました。