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容量詐欺?大容量バッテリー 24000mAh、LED残量表示、USBポート3つの中華バッテリーの紹介

2019年5月7日

Amazonのタイムセールで売られている、中華のモバイルバッテリーには、容量が標記されているものよりも少ないものが、たくさんあります。

24000mAh 大容量バッテリーで 2千円? 24000mAh だけあって大きさ、重さもある… しかし、「値段が安すぎる!しかも3ヶ月の保証って… これは偽物だな」と思ったのでブログネタとして買いました。予想通り!

Amazonのタイムセールで買った 24000mAhのモバイルバッテリーが、半分の12000mAhしかない容量詐欺だった

ので紹介します。

典型的な容量詐欺?のモバイルバッテリーです。

PowerBank PS-019 を写真で紹介

PowerBank PS-019の同梱物

同梱物は、

  • PowerBank PS-019 本体
  • 巾着
  • microBケーブル
  • 取扱説明書
  • 「Amazon 商品レビューを書け」 カード

です。

PSEマークはついている

一応、PSEマークが付いています。

Matakul合同会社 って中国っぽいですね。PowerBank MODEL PS-019が正式名のようです。

Amazon 商品レビュー を書けと促す カード

500円のギフト券でステマを書かせる

これが、うわさの Amazonの商品レビューにステマを書かせる 500円キャッシュバック システムです。

販売促進方法の一つで、こういう販売業者から請け負うステマPR会社は、昔からあります。

ご購入いただいた商品が到着後、本カードと同梱された商品レビューを書いてくださったお客様に、数量限定でAmazonギフト券の形で500円をキャッシュバックさせていただきます! ぜひ、ご感想をお寄せください(ギフト券1枚に付き、このキャンペーンが1回のみ利用できます)

皆様に商品レビューを投稿する前に、写真や動画でご投稿いただければ大変助かると思います。

また、万が一、商品に問題がありましたら、評価ではなく、販売店にご連絡ください。

つまり、

  • Amazonの商品レビューに「 この商品は、すごく良いです!」と書いて
  • 指定のメルアドに、ステマを書いたことを知らせて、
  • Amazon ギフト券の500円 のコードを送ってもらう
  • 商品の重大な問題に気がついても、口コミに「ダメ! 買ってはいけない」と書くなよ
  • 不具合や偽物だと気がついたユーザには、返品返金か商品交換をしてやる

ということです。

モバイルバッテリーのテスト PowerBank PS-019

モバイルバッテリーを買って最初にする作業は、検品です。

  1. 電源がはいるかどうか
  2. 各ポートが使えるかどうか
  3. 電気を完全に使い切ったらどうなるか?
  4. いっぱいになるまで充電してみる
  5. 満充電の積算電力量をメモる
  6. ローダーをつないで、放電テスト
  7. 放電時の積算電力量をメモる
  8. 過負荷テストで、3A以上流すと自動で止まるか?

テストしてみました。

  • 電源:OK。LEDで55%表示
  • 各ポート:USBテスターで表示したのでOKにする
  • バッテリーを使い切ったら電源が落ちる 確認済み
  • 満充電してみる:過熱、焦げたニオイなど異常所見なし
  • 過負荷テスト、USBポート2と3で、2.2A以上で保護回路動作で停止を確認

以下、容量確認の作業を解説します。

バッテリーの容量を測る

2回ほど、満充電からゼロになるまで使います。

バッテリーの状態が、最も良くなるのは、2,3回の充放電を繰り返した時です。

とりあえず、USBテスターをつけた状態で、iPhone XRを充電してみました。

モバブとiPhoneXRの充電で計測テスト

iPhoneの「設定 / バッテリー 」の項目で確認しつつ、16% → 100%まで充電してみました。iPhone XRのバッテリー容量は、15Whなので、その80%、12Wh以上になるはずです。

iPhone XRは充電できたが…

USBテスターで、積算電力量をみると、約12Whになりました。

このPS-019は、LEDで残量表示をします。55%→8%って、減りが想定以上に大きいです。おかしいですね。

24000mAh(88.8Wh)なら、iPhone1台(15Wh)充電しても、20%程度減るはずなんですから。30%とLED表示がでなきゃいけません。

満充電に必要な電力を測ってバッテリーの容量を推測する

それでは、いつもどおり、空欠のバッテリーから、満タン充電するまでに必要な電力を測ります。そのためにDMMで電流と電圧をデータロガーで記録します。

結果をグラフで表示します。9時間かかりました。

PS-019の満充電で必要な積算電力量は、56.4Whしかない

24000mAh の大容量バッテリーなら、計算上は、

24000 mAh × 3.7 V ÷ 1000 = 88.8 Wh

になります。しかし、実際に充電する電流と電圧の変化を測って計算したら、

  • 5.1 V × 1.3 A × 8 h ≒ 53 Wh:8時間分
  • 5.1 V × 0.9 A × 1 h ≒ 4.6 Wh :ラスト1時間の電流は平均 0.9Aとする

合計で、約58Whとなりました。56〜58Whは電力がかかったことになります。

もし、バッテリーが、24000mAh(88.8Wh)であれば、5.1V / 1.3Aで充電したとして、

(88.8 Wh ÷ 0.8(20%の損失分))÷(5.1 V × 1.3 A)≒ 16.7 h

※ 充電するときの5V→3.7〜4.0VへのDC/DCコンバータの損失分を20%にします。

計算では、17時間ちかくかかることになります。

S爺
9時間で充電が終わった時点で、「これも偽物か…、ブログネタ的にめっちゃ美味しい!」とほくそ笑んでしまいました。

Amazonの口コミレビューでも、「9時間で充電できた」という内容のものがあることから再現性はあると判断します。

これで、このPowerBank PS-019のバッテリーは、24000mAhよりも少ないことが決定的になりました。

充電にかかった電力から、本当のバッテリー容量を推測する

このモバブの充電に必要だった電力は、多く見積もっても 58Whです。

3.7Vの充電池へ充電するために、5V → 3.7Vへ降圧するための、DC/DCコンバータ回路を通します。その時の損失が、過去の経験から15〜30%あることが分かっています。

実質1500円のモバイルバッテリーに、5〜10%という低い損失の”高級な”DC/DCコンバータ回路(値段が高い)が組み込まれているはずがありません。15〜30%の損失が起きていると思われます。

バッテリーの充放電回路ICで30%もロスするようなチップは今時ないと思うので、20%のロス(損失)で計算します。

58 Wh × 0.8(20%の損失)= 46.4 Wh

46 ÷ 3.7 × 1000 ≒  12400 mAh 

12400mAh? それに近い「12000mAhのバッテリー」つまり、半分の容量しかないようです。

S爺
本物のモバイルバッテリーは、標記された容量よりも少し多めの容量(3.7Vを3.9Vまで充電するから)になります。

12000mAh のモバイルバッテリーなら、Amazonで 2000円前後で数多く売られているので、つじつまが合います。

USB Register テスターを使って 残量0まで放電させて積算電力量を測る
USB Register テスターを使う

充電から、放電をします。つまり、USBから出力できた積算電力量を調べます。

予測としては、20%のDC/DCコンバータの損失を考えて、

46 Wh × 0.8(20%の損失)≒ 37 Wh 

になるはずです。

テスト時間を早めるため、USB抵抗器の設定を、5V / 1.5Aという急速充電の状態にしました。

PS-019からのUSBの電流と電圧

DC/DCコンバータが安物のチップと回路が使われています。1Aを超えると、電圧が下がります。1.5Aにすると 4.7Vしか出ません。

4.7Vでは、5時間以上かかることになります。→ やっぱり、でも、5時間半も持ちませんでした。

もし、本物の24000mAhのバッテリーなら、5V/1.5Aで、12時間出力し続けます。

4.7 V × 1.5 A × 5.25 h ≒ 37 Wh

これで、12000mAh のモバイルバッテリーであることが、ほぼ確定したと言えます。

USB出力は、リプルがひどくて使えない

実は測定中、DMM(デジタルマルチメータ)の表示に目を疑うものがありました。

交流成分は、数十アンペアが普通

電流 1.5Aのうち、交流電流が1.2Aもあります。DC/DCコンバータの昇圧回路がおかしいということになります。

これは、完全な脈流です。こんなので、スマホに充電しては、スマホの電源を壊してしまいます。

って、iPhone XRは1回だけの充電だったので耐えたようです。

直流の電圧をあげるためには、

  1. 直流を発振させて交流に変換
  2. コイル(インダクタ)とコンデンサ(キャパシタ)を使って電圧を上げて
  3. 平滑回路で直流に戻す

という手順になっています。

これらの一連の回路は、バッテリーの充電放電コントローラのICチップで包括されていて、そんなに差はありません。

ICチップの周辺部品をケチると、性能が悪くなります。性能が悪いと、リプル(漏れ交流)が発生してしまいます。

テクトロのトイオシロで、USBの出力電圧を見ます。

脈流になっていて、まともなアップコンバートができていない

脈流ですね。0.5Vの幅で発振が取り切れずに漏れ出ています。発振周波数は、31.7KHzだということも分かります。

どおりで、近くでラジオがノイズで使えなくなるのは、粗悪なDC/DCコンバータ回路が原因だったか…。

以上のことから、このバッテリーは、偽物であることが分かりました。

それに、1.5Aを5時間も出力したら、バッテリー全体が熱を帯びるのに…

バッテリの表面温度は、40度を超えることがない

下半分があまり熱くなりません。ボディの割に、中のバッテリーセルは小さいみたいですw。放熱してないということもないでしょうし。まさか、下半分はバッテリーセルがないってことはないですよね??w

参考までに、Amazonの売り文句を並べておきます。

【大容量】24000mAhのバッテリー容量は380gで持ち運びが便利で、同時に3つの機器を同時に充電でき、2.1A+2.1A+1A出力ポートを装備しています。本体を1回満充電することで、iPhone 8約7回、Xperia XZ1 約5 回、Ipad Mini約1回の充電ができます。

【LEDディスプレー】デジタルスクリーン付きから、バッテリーの残量をひと目で確認、暗所での作業や暗い夜道の歩行等に使用可能ですLEDスクリーンで正確な表示できて、字がはっきりです。

【安心安全設計】高品質と長寿命のポリマー電池を採用して、過充電保護/過放電保護/過剰電圧防止/過電流保護/パワー過剰防止/高温防止/短絡保護/漏電保護など各種保護機能があります。500回の充放電サイクル後でも総容量の70~80%のままであるな高密度リチウムポリマー電池を使用します。

【高級感&コンパクトな設計】黒と赤の色合いで、綺麗で高級感に溢れているモバイルバッテリー。

【パッケージ内容】重量:380g。→ 実際は、420g

殻割り

分解して、バッテリーセルや回路基板などをチェックします。

フタを外して充電してみる

バッテリーは、18650でしょう? 3.7V、8本はいっています。極性は、両端がプラス、真中がグランドです。

PS-019のセル

電池(セル)のサイズを計ると、18.3mm径、65mmなので、18650です。

電圧は、0%で、2.5V、充電を始めると徐々にあがっていきます。

24000mAhだと、3000mAhのセルのはずです。たぶん、2000mAh以下の年代物、中古のセルでしょう。

PS-019の基板部

この基板の裏側に、LEDの表示部があります。汎用の充電コントローラICチップと昇圧回路のインダクターがあります。

造りとしては、中華バッテリーとしては普通の部類です。セルも粘土じゃないので、ブログネタ的に残念でした。

まとめ

この記事は、

  • Amazonのタイムセールで売られる激安モバイルバッテリーは偽物が多い
  • 本物のガジェットブロガーは、偽物かどうかを自分で確かめる道具を持っていて検証できる

の2点をアピールするための記事です。

S爺
二千円の投資は、この「モバブの容量詐欺の検証記事」が書けたことで元がとれました。

中華のステマ業者が、ガジェット系ブロガーにモバイルバッテリーを無償提供してステマ記事を書かせています。PR提灯記事用に無償で提供されるモバブは、本物です。

中華のステマ業者は、依頼するアフィカスのガジェットブロガーを選んでいます。アフィカスは、アフィリエイト(商品紹介手数料)で儲かればいいので、無償提供されたバッテリーの何も確かめもせずに言われるがままの記事を書きます

私のように、検証して嘘を見抜ける「本物の」ガジェットブロガーには、中華のステマ業者はコンタクトしてきませんw

2018年の暮れ頃、日本の輸入業者から、「無償提供するから(ソーラーと手回しハンドル付きの)モバイルバッテリーを紹介してくれ」というメールをもらった人も多いでしょう。もちろん、私は受けませんでしたよ。

その後、そのモバイルバッテリーを紹介した記事をたくさん見かけました。それらのブログ記事で、誰ひとり実際に積算電力量を測っているヤツがいませんでした。しかも、そろいもそろって、私の定義する「アフィカス」でした

2019年10月2日にNHKで放映された「クローズアップ現代+」のやらせレビューの番組後、自分の記事はウソではないとか、信頼があるブランドということで、AnkerやRAVPowerなど、無料で配布してレビューを書かせる中華メーカーの製品をすすめています。

S爺
かつて、日本国内で通用しなくなったビジネスモデルを東南アジアに持っていって荒稼ぎするのが日本のビジネスマンでした。

今は、中国人の方が高学歴で賢い人が多いですから、ゆとりの低学歴の頭の悪い日本人たちをどうだまして儲けるか? って時代なんです。

ネット上の口コミ情報はステマだらけで使い物にならないことを嘆いても、何も始まらないので、私が記事にしました。

モバイルバッテリーの紹介記事を書いているブロガーで、実際に、積算電力量を測っていないブロガーは、99%アフィカスであり、嘘つきであると警戒してください。

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モバイルバッテリーは、名の知れたメーカーブランドでも偽物があるので、実際に自分で調べて使わなければならない」ということを、ご家族、ご友人にウンチクとして語ってあげてください。

以上を踏まえて

Amazonで 12400mAhのモバブ を見る

  • B!