ヘッドフォン(以下、ヘッドホンに統一)を選ぶ時、「付け心地」「装着感」が重要なポイントになります。
どんなに良い音が再生できるヘッドホンでも、キツすぎて数分しか かぶることができなければ使えません。
ヘッドフォン(以下、ヘッドホンに統一)は、耳を両側から押さえつける構造をしているので、どうしても頭をしめつける力がかかります。
人の頭の大きさは、みんなぞれぞれ違いますから、同じヘッドホンでもキツい人もいれば、緩くてズレると言う人もいます。そこで、
”つけごこち”や”装着感”を左右するヘッドホンの側圧の はかり方 をまとめ
ました。
ヘッドホンの口コミ・レビュー記事を書いていて、
- ヘッドホンがゆるい
- ヘッドホンがきつい
- ヘッドホンにはさまれて耳が痛い
- ヘッドホンで耳が蒸れる
- イヤーパッドのあとがつく
と言う個人の主観的な感想とは別に、物差しのような絶対的評価になる方法が確立されていないので、ここに私が定義します。
必要なモノ
- 箱を壊したダンボールとハサミと定規
- 1Kgまで測れるデジタルはかり
- 厚さを確保するためのスペーサー(箱や木の切れ端)
簡単な流れ
- 自分の頭の幅をはかる
- ヘッドホンの重さをはかる
- ヘッドホンを自分の頭の幅だけ広げた時の重さをはかる
- ヘッドホンの重さを引いたものが、ヘッドホンのしめつける力になる
- 他のヘッドホンと比較する
自分の頭の幅、耳の幅を測る
まず、自分の顔の幅、耳と耳の間の長さをはかります。
顔の幅が測れる大きなクランプやノギスがあれば、それを使います。
無い場合は、ダンボールでUの字型のゲージ(ジグ、物差し)を切り出して、頭にあてがってみましょう。
男性は、16〜18cm、女性は、15〜16cmくらいの幅です。
ダンボールに物差しをあてて、16cm幅に切ります。頭(両耳のところ)にあてがって、両耳の付け根あたりの幅がおなじかどうかを調べます。食い込むほど当たるのなら、すこしずつ切って幅を広げて、ぴったりの幅を見つけます。
頭の外周「頭囲」は、頭がい骨の形は真円ではないので、顔の幅の物差しになりません。
頭囲で、側圧のキツいユルいを語ってはいけません。
ヘッドホンの締め付けをはかる
先に作った顔の幅のゲージをあてがって、計りと机の厚さと間いれるスペーサーの厚さを調整します。
計りの天板の沈みシロは、誤差の範囲(5%以下)にとどまるようにします。
はかりは、重力方向にしか使えません。なので、ヘッドホンの重さも一緒にはかります。
まずは、ヘッドホンの重さを量ります。ケーブルが外せるものは外しましょう。
ケーブルが外せないものは、ケーブルも一緒にはかります。
私の顔の幅は、17cmです。机の厚さ+スペーサー+計りの厚さ=17cm になるようにスペーサーを調整します。
Razerのヘッドホンの箱のサイズが、11.5cm弱で、机の厚さと計りの厚さを足して、17cm弱になるので、これでいきます。
量りと机の下にヘッドホンをはさんで、重さを量ります。
CFI-ZWH1Jは、645g前後。
ケーブルが机やスペーサーにかからないように、注意しましょう。
はかりに表示された重さから、ヘッドホン(とケーブル)の重さを引けば、ヘッドバンドが頭をしめ付ける力が重さとしてわかります。
CFI-ZWH1Jの重さは、295gなので、645 g - 295 g = 350 gの側圧です。
実際にヘッドホンの側圧をはかる
SONYのPS4用のワイヤレスヘッドホンで、
- ワイヤレスサラウンドステレオヘッドセット(CUHJ-15001)
- プレミアムワイヤレスサラウンドヘッドセット(CUHJ-15005)
- ワイヤレスサラウンドヘッドセット 2018年モデル(CUHJ-15007)
の側圧(ヘッドホンのしめつけ力)を計ってみました。
自分でかぶって感じた ヘッドホンのキツさの順に、
- ゴールドワイヤレスヘッドセット CUHJ-15001
- プレミアムワイヤレスサラウンドヘッドセット CUHJ-15005
- ワイヤレスサラウンドヘッドセット 2018年モデル CUHJ-15007
です。
何度か計って、平均値を取ります。
ヘッドホンの名前 CUHJ- | 15001 | 15005 | 15007 |
ヘッドホンの重さ g | 300 | 270 | 230 |
計りの重さ g | 730 | 560 | 490 |
側圧 g | 430 | 290 | 260 |
結果は、ヘッドホンを被った時に感じた「しめつけの強さ」と同じになりました。
CUHJ-15001で「洗濯ばさみで締め付けられるようで頭や耳が痛い!」を不評だったクレームを受けて、プレミアム(CUHJ-15005)では、洗濯ばさみに挟まれる感覚を少し緩めたつもりだったんだと思います。
さらに、「プレミアムでも重い!」と評判が悪かったので、2018年モデルでは、本体を軽くして、側圧もゆるめにしたと思われます。
交互に装着して比べると、締め付ける側圧とイヤーパッドの形や当たり方の違いでも印象が変わってくることが分かります。
旧ワイヤレスサラウンドヘッドセット(CUHJ-15001)の方が1番キツいのに、イヤーパッドの形状が違う15005とつけ比べて、耳を締め付けられかんじを少なく感じます。
ヘッドホンの側圧と顎関節症(筋症状)について
「ヘッドホンが顎関節症の症状の悪化につながる」というデマが昔からあります。
顎関節症の中でも筋症状がある人は、咬筋や側頭筋に圧痛(押さえて痛みを感じる)があるので、側圧のキツいヘッドホンをすると痛みを強く感じます。
30年以上、日々の臨床の中で顎関節症も治療している私からのアドバイスとして、「ヘッドホンは顎関節症に関係ないので気にするな!」です。顎関節症は、ヘッドホンが原因ではありません。
むしろ、イヤホンの方が、難聴や不潔による外耳道炎を引き起こす原因として害があります。
すでに「顎関節症は病気ではない」という結論が出ていて、保険治療でできるし、儲けにならないので、だれも本気であつかう人はいません。やっぱり、インプラントの方が儲かりますからw
つまらないデマを流す人は、間違いなく 嘘つきアフィリエイト(アフィカス)ですので、だまされないようにしましょう!
まとめ
音楽のプロではなく、一般のユーザがゲームや音楽を聞くために使うヘッドホン
ヘッドホンの音の善し悪しが決まる”ドライバー(スピーカー)”自体は、すでに完成の域に達していて、音の善し悪しを大きく左右するほどの差はありません。
ヘッドホンの善し悪しは、音よりも、装着感の方に重点がおかれます。
ヘッドホン装着時の快適性は、ヘッドバンド部の頭をはさんでしめる力(側圧)が大きく影響します。
さらに、その力を耳の周りに分散して押さえつけるイヤーパッドの柔軟性など、いろいろな要素が加わって装着感が決まります。
ヘッドホンを使う人間の顔の幅、耳の形、頭のカタチなど、不確定要素が多すぎました。
誰でも簡単にできる再現性の高い側圧の計り方とその基準が無かったことが、ヘッドホンのオカルト化に拍車をかけていました。
この方法をみんなに知ってもらって、ブログでヘッドホンの締め付け具合を計るベンチマークにしてもらえると、個人差や主観的な評価(思い入れ)を排除することができます。
ぜひ、この方法を使って、他のヘッドホンのキツさを評価してください。
ヘッドホンレビュー記事で使われる側圧のスタンダードにしたいので、よろしくっ