消費電力を表示できるACタップを買った。
サンワサプライのワットモニター TAP-TST10Nだ。
都会では、円安と原油/天然ガス高の影響で電気代が値上がりしている。
どの家電が、どれくらい電気を食っているのか?知りたい人も多いだろう。
家電の消費電力をはかる機械は、エコワット、ワットチェッカー… など商品名で、昔から売られている。
データロガー内蔵で1か月分の消費電力数値を記録できるサンワサプライ ワットモニター TAP-TST10N の使用レポート
このTAP-TST10Nには、データロガー機能があって 10分おき(1時間に6ポイント)の測定データを内部メモリに保存している。
- 購入品:サンワサプライ ワットモニター TAP-TST10N
- 購入時期:2022年7月17日
- 購入価格:7,972円
- 購入店:ラジカル(Amazon マーケットプレイス)
消費電力測定について
中学校の理科で習った。「電力=電圧×電流」である。
コンセントに来ている電気は、交流。
壁にあるコンセントの交流は、電圧が ±100V(ピーク時で ±141V)と高く、電流が行き来しているので消費電力の測定がむずかしい。
電流は、最大 15Aまで。
交流と直流の違いについては、↓で解説している。
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電気の AC(交流) と DC(直流) の違い、電源の図説 まとめ
このページは、 電気の交流(AC)と直流(DC)を解説 しました。 電気については、中学校の理科で習います。忘れた人のために解説します。 直流(AC)、交流(DC) って何? 電気には、 交流こうりゅ ...
交流の消費電力の計算については、三角関数や虚数がでてくる 積分の計算になる。
詳しい解説は、トランジスタ技術誌の特集になっているので興味のある人はどうぞ。
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トランジスタ技術 2022年4月号 特集 実験 電子工作回路と数学の世界感
トランジスタ技術 2022年4月号は、電気特性と数学の関係を実験で確かめてみよう的な「初心者向けの電子工作基礎知識」の特集 今月も付録がなくて、900円。 巻頭カラー連載 エンジニアのための宇宙開発ウ ...
2023年4月号の170〜176ページに家電の力価の実測と解説記事があるので参考に。
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トランジスタ技術 2023年4月 特集 世界のマイコン探索団
今月は、別冊がついて 1080円。 トランジスタ技術 2023年4月号は、マイコンの特集 表紙は、電子部品の通販 Digi-Key(USA)。裏は、ラズパイのコンテック(大阪)。 エンジニアのための宇 ...
前は、電流と電圧を測ってパソコンにデータを記録するのに、DMMと電流プローブを使って測る方法でやっていた。
なので、簡単に消費電力を測って数値データを保存できる、ワットチェッカーやワットモニターは便利だ。
サンワサプライ って何?
岡山のパソコン機器の卸業者。
我々、パソコンの黎明期からやってきた爺婆にとっては、身近なブランドとして よく知られている。
大阪のエレコム、名古屋のメルコ(BUFFALO、CFD、玄人志向)の大手に続く、中小の老舗の一つ。
TAP-TST10N を写真で紹介
ワットモニター TAP-TST10Nのパッケージ内容は、
- ワットモニター TAP-TST10N本体
- USBケーブル:microB 1m、USB2.0
- CD-ROM 8cm ミニCD(Windows用ソフト、Watt Monitor USB Program)
- 取扱説明書・保証書(6か月保証)
取扱説明書は、イラスト入りの詳しい説明なので困ることはないだろう。
公式のページは、
https://www.sanwa.co.jp/product/syohin?code=TAP-TST10N
TAP-TST10N の主なスペック
- 定格容量:AC 15A / 100V、1500W
- 定格電圧:AC 90〜110V
- 消費電力:0.5W
- プラグ:2P
- 大きさ:60×45.6(28)×60mm
- 重さ:77g
- ソフトウエア対応OS:Windows 10〜XP
計測範囲 精度
- 消費電力:0.3〜1650W、最大 2%±5W
- 積算電力量:0.00〜9999KWh 最大2%±5W
- 積算電気料金:0.00〜9999円、最大2%±5
- 積算時間:0〜9999時間、30ppm
- 測定周期:1秒、データ保存は、10分に1回
内蔵の時計は、Watt Monitor USB Program の起動したWindowsパソコンとつないだ時に自動で合わせられるようだ。
TAP-TST10N の正面観
測定した数値を表示する液晶画面がある。
ボタンは、3つ
- 料金:↑のキー、電気料金の設定
- CO2:Enterキー、炭酸ガスの設定
- 計測:↓のキー、計測数値の切替
3つを組み合わせて操作する。
TAP-TST10Nのサイズは、
- 大きさ:約 6×6×2.8(4.6)cm
- 重さ:77g
6センチ角なので、壁のコンセントに直接差し込む時は、下のコンセントにつけるようにする。
測定する家電のACケーブルは、下に垂れるようになる。
コンセントを全部おおって、もう一つのコンセントが使えなくなるダメなデザインではない。
ACプラグは、ほこりでショートするのを防ぐ”トラッキング防止”のカバーが付いている。
コンセントに長期間差しっぱなしにしても、火を噴かないようにする配慮だ。
内部メモリーに保存している消費電力のデータをとりだすための microBポートがある。
TAP-TST10N の設定 と 注意点
まず、電気料金を設定しよう。
自分の契約している電力会社の料金表をみて、単価(2022年8月現在、従量電灯B、26.03円/kWh)を入れる。
料金ボタンを長押しで、料金入力になるので、料金(↑)と計測(↓)ボタンを押して、数値をいれる。
真中のCO2ボタン(Enter)キーで入力数値を確定して保存する。
CO2排出量は設定しない。
そもそも、炭酸ガスの排出量なんて わけのわからない市場を作ったのはユダヤ系資本で… 省略。
早速、つないで消費電力を測定しよう。
動作中は、10分おきに消費電力の数値をメモリーに保存している。
放っておいて、数日間の消費電力の推移を記録したデータを回収する。
TAP-TST10N Watt Monitor USB Program で記録されたデータを吸い出す
付属の8cm ミニ CD-ROMにインストールプログラムが入っているので、Windowsパソコンにインストールする。
TAP-TST10N Watt Monitor USB Program ダウンロード版
インストールのやり方も、説明書に詳しく書いてあるので、つまずくことなくできるはずだ。
プログラムを動かすのに必要なSDKは、Windowsが勝手にダウンロードして使えるようにしてくれる。
TAP-TST10NのmicroB USBポートに ケーブルをさしてWindowsパソコンにつなぎ、Watt Monitor USB Programを起動する。
TAP-TST10Nをコンセントにつないで、液晶パネルに表示が出ている状態にして microBをつなぐ
測定するためのマイコンは、microBからの給電だけで動作しない。
「計測データ」ボタンを押して、パソコン側にデータをダウンロードする。
グラフも表示できる。座標の最大値を変更して見やすいようにしよう。
日中の仕事机の自作PC(Windows 10)の消費電力を測ってみた。
アイドリングで 90W前後、TSファイルを圧縮する作業はグラフィックカードのエンコーダを使うので150wを超える。
スリープになると数Wまで減る。
1週間の消費電力を観察するのにちょうどいいスケールになっているようだ。
10日分を表示すると、深夜〜朝7時までは、電源オフで10W。
日中も、動画のエンコをしないかぎり、アイドリングで50〜90W、スリープで5W前後で推移していることが分かる。
1日28円(29円/kWh)の電気代がかかることが分かった。
TAP-TST10N の リセット、初期化のやり方
測定する家電を換える時は、データをリセットする。
- ACプラグはさしたままで、計測する家電のACプラグは抜いて、電源が入っている状態で
- 料金ボタン+CO2 ボタンを同時に3秒以上長押し
- 画面のLCDが、noになるので、料金↑か計測↓のボタンで、YESに変更して、CO2(Enter)を押す
- 積算電力、積算時間、CO2量が0になる(料金単価はリセットしない)
TAP-TST10N を使って分かる 注意点や問題点
15A(1500W)を使う家電をつなぐことができない?
裏の黄色いシールには、「熱器具・調理器具・エアコン・洗濯機など、壁のコンセントへ直接接続することが決められている機器には使用しないでください。上記の機器を本製品に接続した場合、本体が熱くなったり、電源が切れる場合があり、接続不良を起こす可能性があります。詳しくは機器、本製品の取扱説明書をご確認ください。」と書かれている。
1500Wを使う 電磁調理器や電子レンジなどの消費電力を測るときは自己責任で。
10分間隔の測定値なので、細かい電力の変化を記録できない問題
液晶の表示は、数秒に1回の書き換えで表示されるようだ。
データは、10分に1回のため、急激な電力の変化を記録できない。
たとえば、インバータ式のモーターを使う洗濯機は、細かく電流が変化する。
細かい電力の変化を観察したいのであれば、ラトックシステム Wi-Fiワットチェッカー(RS-WFWATTCH1)の方が良い。
家全体の消費電力を測定したい場合は、スマートメーターからの情報を表示する Remo E Liteがおすすめ。
Nature Remo E Liteは、スマートメータの情報を読むだけの機械だ。
スマートメータの分解能は高くて、0.01Aレベルで測定できている。10W程度の弱電な家電1台のオンオフも分かる。
まとめ
消費電力を測るワットモニター。ガジェットブロガー的に、いくつか持っていなければならない。
最近の家電は、細かく電力を制御するので、電流がめまぐるしく変わる。
パッと測って、「消費電力は、○○Wです」とは言えない。
かといって、ずっと測定値を見続けるわけにもいかないので、データを保存する機能を持つ測定器が必要だ。