ここ十年で、乳幼児のむし歯は激減しています。私の住む自治体では、3歳児歯科健診で治療の必要なむし歯のある子は、50人中1人いるかいないかです。
「むし歯のある子とない子の差は?」と良く聞かれるのですが、答えは一つ「親の生活水準や文化水準の差」です。
私のブログを見に来てくれてAmazonで買い物をしてくれる人の中に、子供が生まれたようなので、
歯医者さんが、子供のむし歯の予防の本当のことを教えます!
現役開業歯科医による、子供の虫歯予防の真実と現状を解説します。
参考にしてください。
子供のむし歯は、100% 親の責任
子供がむし歯になるのは、親、爺婆、など子供を育てる保護者の管理ができていないからです。
自治体が実施している
- 1歳半児歯科健診
- 3歳児歯科検診
に行って、この二十年でむし歯のある子は激減しました。二十年前は、どの子も泣いて口の中を開けて見せてくれない子が多かったです。
今は、乳歯に穴の開いたむし歯がある子はいません。親が日頃から仕上げ磨きをしているので、上手に口を開けて歯を見せてくれる子ばかりです。
一歳半でむし歯のある子の親はネグレクト(育児放棄)で通報
三歳児、一歳半歯科健診で、治療をしないまま放置したむし歯がある子を見つけると、育児放棄(ネグレクト)の疑いがあるので保健師さん耳打ちします。
あとは、親子で別室に呼ばれて、自治体の担当者が個別に話を聞く手はずになっています。
「三歳までは歯科治療ができないこと」を親は知らない
お母さん(お父さん)から、「何歳からむし歯の治療ができるんですか?」と良く聞かれます。
教科書的には、「うがいができるようになったら」歯科治療ができます。うがいができるのは、だいたい3歳くらいですよね。
「自分の口の中にいれた液体を言われるがままに吐き出せる」行動ができなければ、まともな歯科治療はできません。
1〜2歳の子供には、サホライド(フッ化ジアミン銀)を塗って、銀イオンを歯に付けて黒くすることくらいしかできないんですよ。三歳まで成長するのを待ってから、本格的に歯を治していきます。
衛生士の給料をかせぐために、意味のない3歳未満の乳幼児にフッ素塗布をすすめる歯医者のブログやTwitterの宣伝にだまされないようにしましょう。
乳幼児の歯科治療中の死亡事故報道
歯科治療でも事故が起きれば死にます。医療過誤で裁判になります。面倒なことに誰も巻き込まれたくないんですよ。
歯科治療中におきる死亡事故の中でも3歳未満の乳幼児の事故がマスコミで大きく取り上げられます。
「3歳未満の子供の虫歯治療はできない」→「詰めなければならないむし歯が、3歳までできないように予防する」
努力を、我々歯科業界はやってきました。そして、実現できたのです。
2歳未満でむし歯だらけの子供は診たくない
二歳未満でむし歯があるような子供を育てる親は、なにかと難癖をつけて脅してくる面倒な親である確率が高いです。
経済(経営)的に余裕のある開業歯科医は、手間がかかるわりに儲けが少ない子供の患者を嫌います。経済的に困窮していないかぎり、面倒な患者を無理して診ようとはしません。だから、うちも小児歯科の標榜は掲げていません。
しかし、保険医である以上、応召義務があるので「診てくれ」と患者に言われれば断ることができません。だから、「小さい子供を診てあげますよ」と積極的な宣伝はしません。
以上を踏まえて、子供のむし歯を作らない方法を解説します。
プリントアウトして、冷蔵庫にでも貼ってください。
子供のむし歯を作らない方法
- むし歯は、歯みがきでは防げません!
- 食事(甘い物)の頻度が多いとむし歯になる
甘い物の食べ方の徹底した管理
最重要ポイント
- 「おやつ」は、「食事」
- 「おやつ」は「甘い物」ではない
- 飲み物は、「薄めたお茶」か「白湯」
- 牛乳や果汁、ジュースは、「食事」
甘い物は食べて良い
朝、朝のおやつの時間、昼、夕方のおやつの時間、夕食の1日5食は、食事です。
「おやつ」は、朝ご飯の残り、昼ご飯の残りです。「おやつ」は甘い食べ物ではありません。
「食事」として、チョコレートやケーキ、ホットケーキ、パン、クッキー、アイスキャンディなど食べても良いです。
「食事」に限って、牛乳や果汁ジュースなど砂糖の入った甘いものを飲んでもかまいません。
食事とおやつの間は、甘い物を一切口にさせない
むし歯菌の餌は、口の中にある糖類です。だから、飴、グミキャンディなどは、子供に味を覚えさせないようにします。
小さい子供がいる家庭に、飴やガム、グミキャンディがあること自体、おかしいと思ってください。
半年も放置すると根っこのむし歯「歯頚部齲蝕」になって全部抜歯して総入れ歯(総義歯)にした症例も、過去に何度か経験しています。
ザラメなどの砂糖菓子、クッキーなど歯にこびりついて甘い状態が続く場合は、軽くブラシでこすって、口の中に甘いものが残らないようにしましょう。
風呂上がりにジュース飲んだり、アイスを食べたりして、すぐに寝るような習慣の人は、むし歯が止まりません。
子供が飴(キャンディ)の味を覚えたのでどうした良いのか?
「飴と鞭」っていうでしょ。人間は、甘い物を本能的に欲します。麻薬中毒患者が、また麻薬に手を出すのと同じです。
味さえ覚えなければ、存在自体を知らないので欲しがりません。
「三歳になるまで、コンビニやスーパーに連れて入らなかった」家庭もあります。
今の”賢い”お母さんお父さんは、飴やガムを食べる”情弱”親子を嫌います。
「むし歯菌がうつるから、一緒に遊ぶのをやめなさい」と子らに言う親も。
味を覚えたら、むし歯になるのを止めることができません。
「1年間、週一で歯医者に通う」くらいの気合いをいれて治療するしかないです。
注意ポイント
「子供が飴をのどにつまらせたときの対処方法」なんて体験談を元に記事を書いているような、親の情弱っぷりを披露している人も見かけます。そんな記事を書いているような若い親は、まぎれもないアフィカスです。
ガムの害
- かむ練習にならない
- クチャクチャとガムを噛んでいる姿が、かっこう悪い
- 顎が発達して角張った顔になる原因の一つ
- そもそも…(自粛)
ガムは、昔から効果について疑問視されていました。私は、ガムに関しては、一貫して懐疑的な考えと立場をとっています。
特に、成人のガムを噛む習慣は、歯を無駄に摩耗させ歯周組織に咬合性外傷を与える悪影響しかありません。
害はあってもメリットはないです。キシリトール? ガムで噛まなくても、キシリトール100%の飴でもいいんじゃないかな?
そもそも、そこまでして食べなきゃいけないのですか?
飲み物の管理
- 喉がかわいて飲むのは、「カフェインのないお茶」、「麦茶」、「白湯、水」
- 食事は、牛乳、ジュース、スポーツ飲料など制限なし
この大原則を守っておけば、子供はむし歯になりません。
大人、子供問わず、むし歯ができて治療にくる家庭は、この飲み水の管理ができていません。
ただの炭酸水ですら、酸性なので軟かい乳歯を溶かすからと飲ませない親がいます。そこまで神経質にならくても良いですよ。
離乳
- 母子手帳を繰り返し読んでください
- 離乳時期の確認を
離乳の時期の重要性
離乳の時期は、前の歯が生えてくる頃が目安です。歯が生えるのに早い遅いがありますから、母子手帳で確認して、その時期を前後して始めます。
離乳を急ぐことで起きる問題
- 咀嚼と嚥下ができない子供になる
- 腸内細菌叢が安定せず便秘になる
咀嚼をしないで”まるのみ”をする子になる
嚥下と咀嚼
- 嚥下(えんげ)とは、咀嚼してゴクンと飲み込むこと。
- 咀嚼(そしゃく)とは、上下の顎を動かして歯でかむこと。
離乳食をつくるのが面倒な親が、手を抜いて大人と同じものを早く与えるようにすると、子供は「丸のみ」を覚えます。
咀嚼と嚥下ができないまま成長してしまいます。
その結果、
- 白玉団子
- こんにゃくゼリー
- 大きめのグミキャンディ
- ピオーネ、巨峰など大粒のブドウ
を喉に詰まらせて死んでしまう子になります。
乳幼児の気管は細いので、大人の小指の爪先半分の大きさ(小さいかたまり)でも詰まります。
離乳食は、通販やコープ生協の宅配で、瓶詰めやレトルトパックの美味しいのが大量に売られているので買って食べさせてください。自分で作らなくても良いです。
胃癌の原因菌であるピロリ菌、むし歯菌、歯槽膿漏菌を子供にうつさないように、口移しで食べ物を与えることはしません。
便秘になる
母乳からの離乳食をうまく切り替えれば、腸内細菌が育って、子供は便秘になりにくいと言われてきました。
良く聞く話で、「離乳時期の手抜きをした親の子供は「便秘」や「むし歯」が多い」があります。その辺を疫学的に調べた論文も探せばあるかもしれません。
「うちの子供は、むし歯があって、便秘がひどいんですよ」なんていう親がいたら、「!」と思うママ友、パパ友も多いでしょう。
偏食がひどいのは、
- 腹ぺこにして
- 嫌がる野菜をうまく調理し(離乳食を買ってき)て
食べさせなかったからでしょ。
離乳を遅らせることで起きる問題
- 上の歯のむし歯がたくさんできる
- 飲みこむときの舌の動きの悪い癖がついて、出っ歯になる
上の歯がむし歯になる
寝る前に、むし歯の餌になる甘いもの(ミルクも)を飲んだり食べたままにしておくと、上の歯がむし歯になります。
ランパルトカリエス症候群だっけか、そんな名前があります。昔、乳酸菌飲料のヤクルトを哺乳瓶にいれて飲ませる家庭が多くて、子供達がひどいむし歯になりました。
歯医者の黄金時代に貢献しました。
舌運動の異常による歯列不正
乳首を吸って飲み込む「哺乳」と、歯を使ってかんで飲み込む「咀嚼と嚥下」の舌の動きは別になります。
断乳してから、離乳時期に、よくかんで飲み込む訓練をしないままにしておくと、舌の動きがおかしくなります。
4人に1人くらいの頻度で、舌が飲み込むときに前に飛び出るクセが残っています。
- 舌が巨大化して発音が変になる(滑舌が悪くなる)
- 出っ歯
- オープンバイトといって、そうめんが前歯でかみ切れない
- 食事の度に口から食べ物がこぼれて、汚い
- 下の顎(おとがい)が、梅干しのように凸凹したシワになっている
- 唇にいつも異常な力がかかるので、唇が大きくぶ厚くなって
人相がわるくなります。
出っ歯になるために
- 口が閉じないので、食べる時にクチャクチャと音がする「クチャラー」になる
- 口呼吸をしてしまうので口臭がひどい
- 口呼吸のために、風邪を引きやすい。毎年、熱を出して倒れる。
仕上げ磨き
- 歯みがきは、虫歯予防にはならない
- 自分で歯みがきができるようになるのは、10歳(小学生高学年)
- 仕上げ磨きは、儀式
急増している小さい子供のいる父親母親が書くアフィカス・ブログで、「子供のむし歯予防に歯みがきが大切」と大々的に書いて、歯ブラシや歯磨き剤の紹介記事を書いています。
全部、嘘です。
「歯を磨いてむし歯が防げる」なんて、完全なデマなんです。我々業界人は学生の頃から知っています。
本当の事がみんなに広く知れ渡ったら、歯医者として商売が成り立たないので、大きな声で言えないだけです。
ってか、歯磨き剤を作るメーカーや歯ブラシを作るメーカーにも大打撃ですからね(笑)
子供の仕上げ磨き って何? 意味は?
他人の指や機械が入っても、上手に舌(ベロ)をよけたり、えずいたりしないための訓練です。
えずく
嘔吐反射(おうとはんしゃ)、オエェェェ と吐いてしまうこと。食べたものをはきだすこと。リーバスとも言う。
子供の歯を磨く意味は、ただ一つ、むし歯になったときに歯医者で治療できるように訓練をするために、仕上げ磨きをすることなのです。
むし歯の予防のために、仕上げ磨きをするのではありません。
歯ブラシは、奥歯が生えてから使う
生後半年頃から、前歯が生えてきます。まずはガーゼや不織布で、軽く歯を拭きます。
いきなり歯ブラシで前歯をこすってはいけません。痛いだけなので「仕上げ磨き」を嫌うようになります。
子供が自分で歯みがきができるようになるのは十年先ですから、それまでは親が管理します。
一歳半で、第一乳臼歯(D)が生えてきますから、それを子供用の小さいブラシで、親が磨きます。
- 上の奥歯は、ほっぺた側(Dの頬側)
- 下の奥歯は、ベロ側(Dの舌側)
を5秒程度小さく5mm程度の幅で揺するように擦ります。左右上下で1人あたり二十秒で十分です。
- 立たせて
- 股にはさんで子供の胴体を固定
- 明るい照明側に口を開けさせ
- 上からのぞき込むようにして
- ブラシを当てて
- 小さく5mm幅で揺するように
歯をこすります。
3人いても、風呂上がりのドタバタ中に1分チョットでできます。
慣れてくると、子供らも
- 大きく口を開けたままで、ツバを貯めることができるようになる
- 舌をうまく避けて、歯みがきをしやすいようにしてくれる
- オエェっとえずいて吐くのもツバだけになって、胃からのゲロを吐くことは減る
永久歯が生えたら 歯医者で定期検診を!
永久歯の生え替わり時期は、永久歯のむし歯予防と歯並びのチェックで、定期的に歯医者に通うようにしてください。
定期的に歯医者でレントゲン写真を撮って確認してもらってください。
歯医者に通う間隔の目安は、
- 5〜14歳は、年3回以上
- 15〜18歳は、年1回以上
- 甘いジュースやお菓子を良く食べる子は、毎月、隔週
- 兄弟がいたら、下の子ほど検診の間隔期間を短く
永久歯に充填物(つめもの)がなくて、「白い歯で、綺麗な歯並び」が当たり前の時代になりました。
永久歯に銀歯が入っている子は、少なくなりました。
出っ歯、受け口(しゃくれ)、ガチャ歯、八重歯の子も、ある一定の生活水準以上の家庭の子供には、もういません。
矯正歯科の技術と材料が良くなって、治療期間も短くなった結果、料金も35万円〜100万円と安くなりました。経済的に厳しい家庭の子供以外は、矯正歯科治療(自由診療)も普通に受けられるようになりました。
まとめ
「歯みがきすれば、むし歯が防げる」なんて記事を書いているヤツは素人です。
コンビニよりも多い数の歯科医院があっても、我々歯医者が食っていけている理由は、歯みがきではむし歯の予防ができないからです。
小さい子供を抱える若い親が副業のために金儲けを最優先にしたブログを立ち上げています。
おかげで、あることないことデタラメの記事が氾濫してしまい、まともなソースの記事がなくなってしまいました。
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2015年あたりから、金儲け「個人の口コミを装ったステルスマーケティング販売業」目的でブログを書く人(Webライター)が急増しています。 その結果、パクリ記事やフェイク広告記事が検索エンジンの上位を占 ...
子供のむし歯の予防対策についても、若い母親が虫歯予防になりそうな食品やグッズを販売するアフィリ記事として書いているものが散見されます。全部嘘です。
せめて、私のブログを読みに来てくれている若いお父さん、お母さん、孫のむし歯の心配をしている爺婆のために、ほんとうの虫歯予防のやり方について知ってもらいたいので書きました。
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