電子工作をするのに絶対必要な ハンダこて。
枯れた道具なので、毎年Newモデルが発売されるものではない。
2021年12月、gootの新しい温調ハンダこてが発売されたので買った。
結論から言うと、
「コスパの良い温調ハンダこて」なのだが、ACケーブルのバランスが悪い。
ハンダこては専用の台に置かないと安定しない。
300度を超える熱い こて が、うっかり転がって そのまま放置されると火事になる。
ぴったりとハマる専用台とセットで買おう。
- 購入品:goot デジタル温調はんだこて PX-280
- 購入時期:2022年1月
- 購入価格:6,130円
- 購入店:Amazon Japan G.K.
- 購入品:goot はんだこて台 ST-27
- 購入時期:2022年1月
- 購入価格:2,230円
- 購入店:Amazon Japan G.K.
私は、この はんだこてを自分で選んで、自腹で買って試しています。
商品をタダでもらったアフィカスによる提灯・広告動画に不満を持ち、自腹で買った人のホンネとコスパの正直な感想を知りたい人向けに、本当の事を書いています。
メーカー依頼のステマ記事ではないので、値引きクーポンコードはありません。
goot デジタル温調はんだこて PX-280の長期使用レポート
goot(グット)の ハンダこて って何?
goot(グット)は、太洋電機産業(広島県福山市)のブランド。はんだこて専業メーカー。
gootは、ホビー向けで安いオモチャ的なイメージ。
はんだこてのブランドメーカーは、他に 大阪のハッコー、ホーザンがある。
電子工作をする人は、この3大ブランド いずれかの はんだこてを使っている。
その他の電子工作で使う道具については、以下の記事で紹介している。
-
電子工作初心者が必要な道具をまとめて紹介。電子工作を始めたい人向け。
私が買って使っている電子工作に必要な道具一式を紹介 使用頻度の高いものから、リストにしたので参考にしてください。 電子工作の道具はどこで買うの? 道具の購入先は、Amazonです。 モノタロウよりAm ...
goot PX-280を写真で紹介
同梱物は、
PX-280 本体だけ。
パッケージの台紙に、簡単な説明書が裏表に印刷されている。
PX-280 の 注目すべき 性能
メーカー gootがアピールする「はんだこて PX-280」の優れた点は、
- すばやい熱回復力 → 次々 はんだづけしてもコテ先が冷めずに使える
- エルゴデザイン → 持ちやすい?(ACケーブルが重いけど)
- すぐに熱くなる → 350度まで12秒
- キャリブレーション(CAL)機能 → ヒーターとコテ先の温度差を補正する
- 空焼き防止機能:こて台にさした状態で指定した温度まで下げて待機
- スリープ機能:コテ先の空焼き防止、時間、温度を指定できる
- シャットダウン機能:自動電源オフ
- 日本製造
つけっぱなしで放置しても火事にならないように安全装置がついているのが特長。
PX-280の主な仕様
- 定格:100V AC 50/60Hz 80W
- 温度設定範囲:200〜500度
- リップル温度:無負荷時 ± 5度
- 絶縁抵抗:100MΩ以上 500VDC
- ヒーター:セラミックヒーター
- 電気コード:1.5m
- 大きさ:22cm
- 重さ:ACケーブル込み 132g(本体だけ 70g)
電気コード(ACケーブル)のプラグが、アース付きの3Pプラグのタイプは、型番が「PX-280E 」。
マニュアルのダウンロード先は、
https://www.goot.jp/support/manuals
PX-280/280Eの取扱説明書をダウンロードしよう。
PX-280 の操作系
操作パネルは、本体柄についている。
- ヒートランプ(ヒーターへの通電ランプ)
- ダウンキー(下へボタン)
- アップキー(上へボタン)
- 設定キー(設定ボタン)
- 表示窓:LCD 7セグメント 3桁表示
PX-280 の 設定温度 を 変更する
- 設定キーを1回押す。
- 上下キーで任意の温度を設定
- 設定キーを1回押して記憶させる
PX-280 の スリープになるまでの時間の設定
- 設定キーを3秒以上長押し
- 設定キーを押して ct を表示させる
- 上下キーで、設定分数をいれる
- 設定キーを3秒長押しで記憶させる
PX-280 の 設定キーで 変更できる項目・パラメータ
設定キーを3秒以上長押しで、各種設定項目が表示される。
設定項目が7セグメントで簡易表示される。設定値と交互に表示される。
設定値、項目は、設定キーを押すことで順繰りのループ。設定数値は、ダウン&アップキーで変更する。
- 設定温度 pt:(スリープ温度SSt +50度)、〜500度
- 温度補正 cAL:-50〜 50 度
- スリープ温度 SSt :100〜、設定温度pt -50度
- スリープ開始時間 ct:000〜999分
- スリープ感度 dIF:1〜10 (加速度センサー)
- シャットダウン開始時間 SUt:0〜999分
- 温度表示 摂氏・華氏:c、F
- 低温側の補正 2PL:-199〜199度
- 高温側の補正 2Ph:-199〜199
- 起動モード Pon:On / oFF
- バージョン ver:(ファームウエアアップデートはできない)
その他、設定を変更できないように暗号キーを設定してロックすることができる → 取扱説明書に書いてある。
設定値をリセット(工場出荷状態に戻す)
- ダウン、アップ、設定 3つのボタンを全部を5秒以上長押し
- lnt と5回点滅
PX-280 の オプションや交換部品
交換部品
- ヒーター:PX-28H 1,134円
- ヒーターパイプ:PX-60HP
- ナット:TQ-77NUT
- スペーサー:PX-28SS
- コテ先:PX-28RT-S2C 770円
オプション
- キャップ:TQ-CAP 356円
- こて台:ST-27 2,230円
PX-280 のコテ先について
ハンダこての先には、いろんな種類があって各自好みで使い分ける。
トラ技 2023年5月号の付録 エンジニア手帳 180pに、コテ先の形の分類、用途が簡潔にまとめられているので参考にしてほしい。
コテ先は、C/BC型(棒を斜めに切った切り口のような形状)か、D型(マイナスドライバーの形)が使いやすい。
gootのコテ先は人気の高いB/BC型(斜めにカットした形状、ハッコー T18-Cシリーズ)のコテ先 PX-28RT-S2Cがついてくる。
PX-28RT-B が、型番通りのB型(円錐形の先の丸い)で、昔ながらのハンダこての先、標準型である。
はんだの達人のDVDをみていたら、ハッコーのこてに標準でついている B型(円錐形で先が丸いやつ)を使っていた。
あれこれ試して自分が使いやすいものを使えば良い。
先の形状が違う温調はんだこてを2本使うのもありだろう。
プロ用のステーション型はんだこて は、こてを2本つないで使えるようになっていて、それぞれ温度が設定できる。
0.65mm ピッチのICの足を一気にハンダづけする動画は、トラ技の動画で…
はんだを こて先につけて ひと塗りするだけでハンダブリッジにならずに均一に盛れるって…。
ハンダこて台 ST-27
グット PX-280用 純正のこて台。
ずっしりと重い。
スポンジは使う前に、水を含ませてぬらしておく。
交換部品
- 耐熱スポンジ:ST-53ST
- こて受口(調節ねじ付き):ST-27MS
- 金属クリーナー(2個入り):ST-40BW
金属クリーナーは、ホームセンターで売っている「真鍮ウール」を買ってきて同じ大きさに切って使おう。
PX-280を使ってみてわかった 感想と問題点
コントローラ部とこてが分かれているステーション型(セパレートタイプ)と比べて致命的とも言える問題は、こての取り回しが悪いことだ。
いままでは、ヒーターの温度制御をするマイコンや電源基板を収めるボックスが必要だった。
それが、ハンダこての柄の中に全部収まるのは、すばらしい事だ。
しかし、
gootの公式サイトで、PX-280の特長の1つとしてグリップからコテ先までが短くて操作性が向上したってことだが…
私が愛用している FX-888と比べても、グリップ部とコテ先までの長さは同じだ。
FX-888は、PX-280と比べて軽く、ペングリップで作業するのに、ケーブルとのバランスが良い。
PX-280の”持った時に感じるバランスの悪さ”は、太い電源コードが直付けされているのが原因である。
AC電源コードが直付けされることで、千円ほどで買える 安いハンダこてと同じ”悪い”操作性になってしまう。
まとめると…
PX-280はペングリップ(鉛筆持ち)で使いづらい。
- 電源コードの曲がりくせがあるので
- 電源コードの重さを感じる
- 3PコードのPX-280Eの電源コードはさらに固い
マイコンを使った電子工作は避けて通れず、SMD(チップ)部品に合わせて 配線パターンが細く、間隔(ピッチ)が狭く(0.65mm)なった。
拡大鏡でみながらの はんだづけは、コテ先の操作性が重視される。
電源ケーブルの重さをかんじないように、ケーブルをつり上げる工夫をすると良いだろう。
使い込みながら、自分の道具の弱点を工夫で改善していく。
物づくりの基本だ。
こて先の温度は、何度にしますか?
- 作業机の温度、何をハンダづけするか? で温度をかえる
- 鉛はんだ は、330度
- 錫ハンダ(鉛なし)は、350〜380度
実装チップのLEDのハンダづけは、鉛はんだで、低温でさっと溶かしてくっつけたい。
仕事で使っている 30年前のドイツ/スイス製の機器の電源基板は、コテ先の太い方がやりやすい。ハンダの量が多いので、吸引器が一発で詰まるし…。
ハンダづけしながら、自分の好みに調整をしよう。
まとめ
PX-280は、電子工作初心者にこそ使って欲しい ハンダこてである。
こんな方におすすめ
- ハンダこてを初めて買う
- 男性でごつい指の
- コスパ重視
- 電子工作机の上にのらない大きめの機器、基板の修理に
- マイコンの0.65mmピッチはしない
加速度センサーで使っていないことがわかるようになっていて、消し忘れても自動でオフにしてれる機能は、すばらしい。
コンセントにさして20秒で使えるようになる急速加熱。
鉛フリーの溶けにくい錫ハンダも余裕で溶かせる370度まで一気にあげられる。
日本製とうたっているが、パッケージの漢字が中文なのが気に入らない。
コテ先だけは広島県内で作っているんだろうけど、本体はマイコンがあるので純国産というわけにもいくまい。
物づくりは、中国依存から、早急に我が日本国に戻さなければならない時が来た。
物づくりの基本である工具も日本製でなければならない。電子工作も日常的にできる人が日本でも増え続けることを願っている。
日本国国民の国防への意識が大きく変わってきた。
私も、そのスタンスでやっていく。
中露(メーカーやブランド)のブローカー、それらを買いあおるユーチューバーやブロガーに注意しよう。
ニッチな商品でユーザも限られているので転売屋の商材になり得ないと思っていたら、ユーチューバーが紹介していたのか。
PX-280(定価6,900円)を転売価格で高く買うくらいなら、取り回しの良い ハッコー のFX-888D(こて台付き 1.2万円)を検討しよう。
gootのACケーブルが直付けのはんだこては、指に力が入るので肩こりの原因になります。