日本製のヘッドホン ASHIDAVOX(アシダボックス) ステレオヘッドホン ST-90-05を買った。
前々から、アシダ音響のイヤホン/ヘッドホン自慢を あちこちから聞かされていたので、自分も1つ2つは持っていないと…。
結論から言うと、
レトロなデザインなのに音が良い 小さくて装着感も良いのは当然として、”持っている”自慢ができる。
- 購入品:アシダ音響 音楽用ヘッドホン ST-90-05-H
- 購入時期:2022年7月
- 購入価格:7,212円(6,600円+送料 612円)
- 購入店:ASHIDAVOX オンラインショップ(直販)
カナル型イヤホンで 耳の穴に炎症(外耳道炎)を起こして 痛くなる人に おすすめの 家のヘッドホンです。
アシダ音響 ヘッドホン ST-90-05の使用レポート
アシダ音響 って何?
スタジオで使われる業務用ヘッドホンの老舗メーカー。
電話受け付けセンターなど 業務用ヘッドセットのブランドでもある。
リモートワーク需要で入手困難だったが、直販オンランショップで買えるようになってきた。
ST-90は元々音声用のヘッドホンだったと記憶している。(アマチュア無線の)シャック自慢の記事で見かけたことがある。
イヤホン EA-HF1(5,500円)も人気だ。
中国製パチモンメーカーのDACをいろいろ買って聞き比べている人であれば、EA-HF1をリファレンス(基準になる)のイヤホンとして持っているはず。
アシダ音響の 一般向けのイヤホンやヘッドホンも、円安による部材の高騰の影響をうけて値上がりしている。それでも、他の音響メーカーのヘッドホンやイヤホンと比べてコスパが圧倒的に良い。
ヘッドホンって何? など ヘッドホンの総論的なことは、こちらでまとめている。
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ヘッドホンの基礎知識をまとめて、ヘッドホンの選び方を解説します。
ヘッドホンやイヤホンは、耳に直接音を送り込む音響機器です。このページでは、 どんなヘッドホンが良いのか?と悩んでいる人への選び方についてまとめ ました。 ヘッドホンをヘッドフォンと表記することもありま ...
ASIDAVOX(アシダ音響)ST-90-05を写真で紹介
ST-90-05のパッケージ内容は、
- ST-90-05本体
- 取扱説明書/保証書(1年)
だけである。
装飾のないダンボール箱に入ってくる。
徹底的にムダを省いているのが、マニア心をくすぐる。
ST-90-05の主な仕様
- ドライバータイプ:オーバーイヤー(開放型のスリットがないので密閉?)
- 形式:ダイナミック型
- ドライバー:φ40mm
- インピーダンス:40Ω ・1kHz / 1mW
- 音圧:104 dB/mW
- 最大入力:1000mW
- 再生周波数帯域:5Hz〜40kHz
- コード長:約1.5m
- プラグ:3.5mm径ステレオミニプラグ
- 重さ:110g(ケーブル込み142g)
- ハウジングの色が、黒と灰色の2色から選べる
- 生産国:日本
ドライバーの径は、見た目の小ささのわりに、4cm。おかげで、低音もよく響く。
耳を完全に覆っていないので、「オープンエア型」に分類されるのかもしれない。
城下工業のSW-HP300もドライバーの径が4cmだが、ハウジングの大きさが全然違う。
SW-HP300の方がイヤーカップが大きく耳をおおうだけ遮音効果も大きく、低音が響くような気がする。→ 低音が違うけど音はどちらも好み。
夏場は ST-90-05の方が耳が蒸れないので、ずっと着けていられるのが良い。
インピーダンスは 40Ωと高めで、iPod touch 7のイヤホン端子に挿して聞くときは、ボリュームを少し大きめに… と思ったが、音が大きく鳴るので 逆に音量は下げた方が良い。
ドライバーが耳の穴近くにくるので、音量をしぼっても よく聞こえる。
結果、音もれが ほとんどない音量で使えるのが良い。
ST-90-05の大きさは、
他のヘッドホンと比べても小さいことが分かる。
ST-90-05の正面観
ケーブルは、左側につく。
シンプルな形で、見た目は、好みが分かれる。
むだな装飾は一切ない。
ST-90-05のケーブル
からみにくい シリコン被覆のケーブルだ。
太さは、4mm弱。長さも1.5m。
プラグは、L字型の3.5mm径 ステレオミニプラグ、金メッキ。
DAPやDACにつないで使うのに L字型のプラグの方が都合が良い。
ST-90-05のハウジング部
ケーブルが付いてる 左側のハウジング部だ。
アジャスター部とハウジングの関係がよく分かる。
左右の区別をする Leftが ASHIDAVOXのロゴの下に小さくあるだけ。
右側への配線も、むき出しだ。
イヤーパッドの”かがり縫い”が、装飾になっている。
耳の真中を部分的におおう形なので、周りの音は聞こえるし、ヘッドホンの音も漏れる。
コップを耳に当てると聞こえる音「ゴー」音はする。(密閉型の特徴)
ノイズキャンセル機能はついていない。
イヤーパッドは小さく薄く耳を完全に覆わないので、内外どちらからの遮音効果はない。
周りに音がない、静かな場所で使うためのヘッドホンである。
布団バサミで頭をつままれるようなゲーミングヘッドホンと比べれば、あまり蒸れないし、長く着けられます。
ST-90-05のヘッドバンド部
頭頂ハゲの私が、1番チェックするところw
2本のワイヤーとケーブルを弾性樹脂でおおう構造になっている。
ヘッドホン自体が軽いので、ヘッドバンドと頭頂部が接触して重さを支える必要がない。つまり、非接触で装着する。
頭頂禿げを気にする人には、うれしい仕様である。
合成皮のスポンジではないので破れる心配がない。クギやネジに引っ掛けておけるので えんりょがいらない。
ST-90-05のヘッドバンドとアームの長さや角度の調整
ヘッドバンドの長さの調整は、左右 それぞれ5cmある。
左右合計で 10cmも長さが調整できるヘッドホンは、他に あまりないだろう。
無段階に調整ができるので、自分の都合の良い長さに調整できる。
顔の小さい女性から、大きな幅広顔の大人まで対応できる。
ヘッドバンドとハウジングの間に回転する関節機構はついていない。
6千円チョイの安いヘッドホンだから、コストのかかるメカはない。
ヘッドバンドの長さの調節とイヤーパッドの弾力で、自分の耳に合わせる。
関節がなく折りたたむことができないので、持ち運びはできない。
そのかわり、破折する部分がないので丈夫だ。関節がうごいてカチャカチャとすれる音がしない。
ST-90-05のイヤーパッド部、ドライバー開口部
- 大きさ:直径6cm、かがり縫いを含めると 6.8cmの円型
- 深さ、厚さ:約1.5cm
- イヤーパッドの幅:1.8cm
と、これまたシンプルである。
こんなので、耳に合うのか?と不安に思うが、かぶってみると… 良い感じに耳にはまる。
とても大切なことなので、繰り返すが…
側圧がちょっと強めで、耳の上に押さえつけるかんじで挟み込むので、ヘッドバンドと頭頂部が接触して重さを支えなくて済むのが良い。
イヤーパッドは、ひっぱると簡単に外れる。
着脱は簡単だ。
イヤーパッドは、左右セットで 送料込みの 1,540円と安いので、夏が過ぎたら新しく買って付けかえよう。
ST-90-05の側圧について
ST-90-05の側圧は、約180gで 締めつけは普通。
ヘッドホンが軽いので、装着感は良い。
耳も真中だけをおおうので、蒸れにくい。快適である。
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ヘッドホンの側圧(ヘッドホンの頭を左右からしめつける力)を調べる方法
ヘッドフォン(以下、ヘッドホンに統一)を選ぶ時、「付け心地」「装着感」が重要なポイントになります。 どんなに良い音が再生できるヘッドホンでも、キツすぎて数分しか かぶることができなければ使えません。 ...
ST-90-05の音響測定
iPhone / iPod touch 6 のイヤホン端子 からのテスト信号でとアプリで音響テストをした。
まずは、正弦波を20Hz〜20kHzまでを バイノーラルマイクCS-10EMで iPod touch 6のマイク入力の分解能範囲内で再生してオクターブバンドモードで観察してみた。
マイクが録り込める音域が高い音は20kHzまでで、20kHzまではしっかりと音が出ているのを確認した。20kHzまででていれば、ハイレゾ再生できる。
低音は、40Hz以下が出ていない。これは、4cm径のスピーカーでは再生しても聞こえる音量まで鳴らないからだ。
ピンクノイズ(低音から高音までをランダムに再生)を再生してオクターブバンドで観察してみよう。
元々が無線機のヘッドホン、人の音声が聞こえやすい音域を鳴らすのに適したハウジング(スピーカー部分)なので、その特徴がよく分かる。
オクターブバンドを見るかぎり、”女性ボーカルが映える”、”女の子がいっぱいでてくるアニメ”、ゲームなどに適した形だ。
800〜1.6kHzが強くて、その倍音が 高音域に2コブ作って、響きを強くしている。
全体の音域が平らに再生される「フラットな音」ではない。
なのに、鳴っていないはずの低音はよく響いて聞こえ、高音も強いはずなのに、嫌みな音として鳴っていない。
”中高音域が飛び出ていて、その倍音が高音域に2コブ作る”形は、「音が良い」と評価されるものが多いです。
スピーカーやカスタムイヤホンを自作する人は、この形を目指してチューニングしよう
矩形波を再生して オシロスコープモードで観察してみた。
1kHz以上は、ノコギリ波になっていて、普通のスピーカーであることがわかる。
FFTで倍音をみても、高音域にむけて倍音が減衰しつつでているところからも、よく響くヘッドホンスピーカーであることが分かった。
値段を考えて、この鳴りなら、文句をいう人はいない。
ASHIDAVOX ST-90-05を聞いた感想、問題点
Nintendo Switchのような携帯ゲーム機との相性も良い。
サラウンドと違って、音の前後が分からないが、左右だけははっきりと分かる。
あつ森を遊んでみると、海岸のアサリの潮吹きの音、夜空の流星の音、風船の飛んでくる音、石をたたいていて 出てくる金鉱石の音などがはっきりと聞こえるので、分かりやすい。
ST-90-05は、低インピーダンスで クセのない音が鳴るので、DACやヘッドホンアンプも ちゃんとしたものを選ぼう。
旭化成のDACチップを使ったFiiO K7(3.3万円)につないで聞くと… サブウーファーのない 良質な卓上スピーカーで聞いているような音がする。
最近、TOPPINGやFiiOなど中国パチモン オーディオメーカも 強気の価格帯のDACアンプを出している。
良質なヘッドホンで聞き比べをすると、DACやアンプの値段の高い安いって何だよ? って オカルト オーディオに気づきますね。
ST-90-05の良いところ
- 1万円以下で買える
- 軽い
- ヘッドバンドは頭頂部に、わずかに触れるか浮いて非接触
- イヤーパッドは、安価に交換できる
- 小さいのに、低音が鳴るし音が良い
耳をすっぽりと覆うのではなく、耳の穴をふさぐオーバーイヤー型のヘッドホン。
周囲の音は聞こえるし、音も大きくすれば漏れる。
ヘッドホンドライバーがよく鳴るので、音量はかなり抑えることができる。静かな室内環境で聞くのに適している。
顔幅が広い人にも対応できる。側圧は180g前後と普通。
パッドが小さく薄いのに、いいかんじになじんで(ゲーミングヘッドホンに比べれば)耳が痛くなりにくい。
1時間ごとにヘッドホンを外して、5分は耳を休めましょう!
イヤーパッドが安価なので、スポンジがへたってくる前に おしげもなく交換できる。
この辺は、さすが業務用ヘッドセットメーカーの製品だけある。
ST-90-05の悪いところ
- 見た目が悪い、ブログやInstagramで買った自慢ができない
- ケーブルが太くて、ケーブルタッチノイズが気になる
- 折りたためないので、持ち運んだ先で使えない
ケーブルのタッチノイズは、有線ヘッドホンの宿命なので、このヘッドホンに限った問題ではない。
軽く装着感が良いので、ST-90-05を着けたままで、歩いたり軽作業をしたりする。その時、左肩や腕にあたるケーブルからの音が気になるかもしれない。
机に向かっての作業中にこのヘッドホンを使うのであれば、測定器のプローブやハンダこてのケーブルの重さを牽引する 釣り竿のようなアームで、ケーブルをつり上げる仕組みを作るのもありだろう。
ヘッドバンド部は、金属のフレームを樹脂で覆う業務用ヘッドセットならではの構造。コンパクトに折りたためない。
当然のことながら、耳に付けたままで 街中を歩くことはできない。
密閉型ではないし、耳も中途半端におおうので 扇風機などの強い風が当たれば風切り音がする
ST-50-05 と ST-50-07の違いはありますか?
2022年11月、値上げバージョン の ST-90-07(税 送料込み 9,632円)が届いた。
レビュー記事を書いていたが…、ケーブルが違うだけで、音、装着感 諸々が全く同じなのでボツにした。
ケーブル(1.5m)を換えただけで音が変わることはない。
「HISAGO DENZAI」のロゴが入っている。3千円分の値上げの言い訳みたいなもんだw
値上げしても1万円に抑えてあるのでヨシ!
まとめ
「アシダ音響のヘッドホン ST-90 」は、軽い小さくて、静かな場所で音楽を楽しむ 小さめのヘッドホンだ。
見た目は、ブログやInstagramなどで”映え”ることはないが、実用性は極めて高い。
デスクツアー(パソコン机自慢)の写真や動画で、ヘッドホンがちらりと映り込む。そのヘッドホンが、レトロなST-90であれば、「こいつ、オーディオが分かっているヤツだな」と”にわか”や”付け焼き刃”感を払拭できるオーディオアイテムである。
Amazonや楽天経由の e☆イヤホン なら、公式オンラインショップの7,282円より、Amazonへの手数料分だけ少し高い。