光デジタルケーブルの話。
オーディオで使う 光デジタルは、30年前、CDプレーヤのデジタル出力として使われていた。
この30年間、光デジタルは、テレビの音声出力についているくらいで 身近なものではない。
テレビゲーム機の音声出力「HDMI音声スプリッター」で使われているので、ゲーマーなら見聞きしたことがあるだろう。
この記事では、光デジタルケーブルに関する情報をまとめている。
光デジタルケーブル の 使い方、選び方の解説
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光デジタルケーブル って何?
光ファイバーケーブル。中に 透明なアクリル樹脂の線が入っている。
端子は、東芝が開発した「TOS-Link」と呼ばれる光ファイバー用コネクタが主流だ。
銅線の音声ケーブルは 電流で音を送るのに対して、光デジタルケーブルは、赤い光でデジタル化した音声信号を送る。
この赤い光が、超高速に点滅することでデジタル信号を伝える。
今でも、テレビの音をオーディオシステムで聞くために 光デジタルケーブルが使われている。
このデジタル音声の規格は、コアキシャルケーブルと同じ「S/PDIF」である。
S/PDIF 規格 について
S/PDIF(エスピーディーアイエフ)は、Sony Philips Digital InterFace(ソニー フィリップス デジタルインターフェース)の略。
その名の通り、日本のSONYとオランダのフィリップスが決めたオーディオ用デジタル伝送規格である。
35年前(1987〜1989年)の古い規格で、高級CDプレーヤーの音声出力を デジタルでDAC内蔵プリアンプに転送するために作られた。
S/PDIFの音声規格は、4種類。
- Linear PCM2ch
- Dolby Digital
- DTS Digital
- AAC
最大で、6.1chサラウンド(7ch)まで。
ビットレートは 2〜3Mbps。DTSデジタルで、6ch(5.1chサラウンド)になる。
詳しい規格は、こちらを参照のこと。
光デジタルケーブルのメリット、利点
光デジタルケーブルの良い点を3つあげると、
- グランドループノイズ(コモンモードノイズ)が入りにくい
- デジタルなので、ケーブル内での信号の劣化が ない
- (35年前の当時としては)高音質を送ることができた
光デジタルケーブルは、グランドループノイズ / コモンモードノイズが 入らない
オーディオ機器で、誰もが一度は聞いたことがある 雑音「ブー」「ジー」「キー」などと表現される。
これらの雑音は、グランドループノイズ、コモンモードノイズ、ハムノイズと呼ばれる。
原因は、コンセントの交流の周波数(50Hz/60Hz)の倍音が 音声回路に入りこんでノイズになってしまうから。
例をあげて解説しよう。
ゲーミングモニターのイヤホン端子(3.5mm径ミニステレオジャック)を中華のデジタルアンプ&スピーカーにつなぐと、「ブーン」と変な音がする。
AVアンプには、各種ノイズが混入しないよう 電源や入出力にフィルターが入ってるが…
イヤホン端子にヘッドホンやイヤホンを直接さして聞いたら ブーン音はほとんど聞こえない。
なぜアンプとスピーカーにつなぐと ブーン音が大きく聞こえるのか?
これを、模式図で示すと、
壁のコンセントにつないだ機器、モニター(テレビ)と音をスピーカーにするアンプの間が、グランド(アース)で全部つながった循環回路になっている。
グルグル回る回路は発振回路になる。音波が勝手に作られてしまう”発振”現象を引き起こす。
このグランドループノイズを防ぐには、回路を絶縁体(電気を通さない)ケーブルで断ち切れば良い。
アナログ音声線を銅線ではなく、電気を通さない光ファイバーで 音声をデジタル信号で送ることで解決できる。
テレビに向かって右側の端子がいっぱいのところを見てみよう。
「光デジタル音声出力端子」が ちゃんと付いている。
30年以上前の古い規格なのに、まだ この光デジタル音声出力端子があるのは、光デジタル音声入力対応のアンプ(とスピーカーシステム)につなぎたい人が、いるから。
私のブラビアXRの光デジタル音声出力端子には、ネックスピーカーSRS-NS7のための送信機 WLA-NS7が付いている。
光ファイバーケーブルでつなげば 音の劣化は ないのか?
デジタルデータなので、音のデータがすべて伝わる限り 音の劣化はない。
音声のデジタルデータは、外付けのHDDやSSDのデジタルデータ転送のようにデータの正誤を確認することがなく、そのままの垂れ流し「ストリーム」なので、データの欠落があってもエラーがでない。
35年前のオーディオ規格なので、送れるデータ量も、〜2Mbpsと少ない。
良い音、高音質の音はデータ量が大きい。光ファイバーは力不足である。
光ファイバーで送れるサラウンド音声も、圧縮したDolby Digital、DTS Digitalの5.1chサラウンド(6ch)まで。
もう、時代遅れの規格である。
なお、「電磁波の影響を受けない」といった利点をあげる記事を書いているアフィカスがいるが、今の、MHz、GHzの電磁波(音の周波数を遙かに超えた高周波)は、耳で聞こえる音に影響を与えない。
そもそも、耳に聞こえるブーンノイズは、Wi-Fiルーターが原因ではない。
光デジタルケーブルの欠点、デメリット
光デジタルオーディオケーブルの欠点は、2つ。
- ケーブルを折り曲げると中のガラス芯が折れる → 断線
- アクリル樹脂の芯(ファイバー)なので劣化してしまう
今は、専用ICの処理速度があがったので 遅延はありません。
光デジタルケーブルの芯(光ファイバー)が折れやすい問題
昔は、無機ガラス(石英ガラス)線を使っていたので、取り扱いが雑だと すぐに折れて使えなくなった。
光ファイバーケーブルの値段も高くて、折れたら ショックで落ち込むくらいだった。
今は、アクリル樹脂(有機ガラス、PMMA)なので、取り回しで 90度以下に曲げないようにすれば、折れることはない。
被覆樹脂も良くなって、多少 踏んづけても折れる心配は 減った。
何より 値段も安くなった。2mで千円以下なので、惜しげもなく買い替えられる。
PMMA:ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂、有機ガラス
光デジタルケーブルは、劣化する
昔の光ファイバーは、インターネットの光回線ケーブルと同じ「透明度の高いガラスの細い線」が使われていたので経時的劣化はないと言われていた。
しかし、20年も経てばガラス線を保護する被覆樹脂が劣化してボロボロになって断線してしまう。
高価なガラスの光ファイバーケーブルを買っていても、20、30年と使えない。
ここ15年くらいは、アクリル樹脂製(有機ガラス、PMMA)の光ファイバーになったので、安価で手軽に買える。
アクリル樹脂製の光ファイバーの弱点は経時的劣化があるってこと。
4,5年経つと 透明だったはずの線が にごってきて 通す光が暗くなってしまう。
5年経った光デジタルケーブルは、新品と交換しよう。消耗品だ。
光デジタルケーブルの種類
オーディオ用の光デジタルケーブルは、コネクタの形が2種類ある。
- 角形:光角形プラグ、TOS-Link
- 丸型:光ミニプラグ
光角形プラグ(TOS−Link)
東芝のテレビやオーディオ機器では、光デジタル音声出力端子を TOS-Link と呼んだ。
5角形っぽく見える「角形」。
光デジタル音声出力端子を持つオーディオ機器の大半が、この形のジャック(接続端子)である。
2mの角形プラグの光デジタルケーブルを何本か持っておこう。
光ミニプラグ、丸型プラグ
昔のMacBook や Mac mini の3.5mm径ミニジャック(イヤホン端子)は、この光デジタル 丸型ミニプラグに対応している。
形は、3.5mm径ステレオミニプラグと同じで、先にファイバーの開口部があるのが特徴だ。
我々昔からの本物のマカーなら 身近な存在だ。
携帯型デジタルオーディオプレーヤの3.5mm径ミニステレオプラグが、光デジタル兼用ってことがあるので、手持ちの機器があれば確認してみよう。
この丸型ミニプラグ端子は、角形から変換するアダプターを使うことが多い。
つなぐ機器側の光デジタル出力、入力端子の都合で、丸型ミニプラグ端子に変換するアダプターが必要になる。
何個か買って持っておくと いざという時に使える。
光デジタルケーブルの選び方、コツ
中のガラス線の材質については、現在、売られている音楽用光ファイバーは、アクリル樹脂(PMMA、有機ガラス)が、ほとんど。
わざわざ、高価な無機ガラスの光ファイバーを買う必要はない。
利点は、コスパ、入手性ともに良いこと。欠点は、経時的に劣化するので、5年ほどで新品に交換するようにするだけ。
光デジタルケーブルの長さは?
Amazonで価格をみると、2m(1.8m)が、安い。税送料込みで 千円しない。
机の上でHDMI音声スプリッターとミックスアンプをつなぐ時は、ミックスアンプに付属の光デジタルケーブル1mを使おう。
余ったケーブルを折り曲げて小さく丸めることができないので、必要なら 0.5mの短いものを選ぼう。
直角に曲げられないので、ケーブルの取り回し分のスペースが必要だ。
端子の金メッキは? 金メッキだと音が良くなるの?
光デジタルケーブルは、電気的な信号のやり取りをしないので、端子の金メッキの意味は全くない。
金メッキだから、長持ちする、ノイズが入らないなんてのは、嘘なので、だまされないようにしよう。
電気的な接点がないので、コンタクトスプレーを絶対に端子にかけてはいけない。
光ファイバーの先が、コンタクトスプレーのオイルで曇ってしまう。光が届きにくくなり、音が悪くなる。
プラグの成型加工がダメで、ゆるくて すぐに外れるものがある。
Amazonで買うのなら、返品交換。
安いものなので、メーカーの違うものを何本か買って 相性のよいものを使うようにしよう。
私は、AmazonオリジナルブランドのAmazonベーシックを使っている。
光デジタルケーブルを実際に使う例の紹介
ゲーマー的に 最も 光デジタルケーブルを使うシーンで…
グランドループノイズに悩まされている人は、光デジタルケーブルでつないで ノイズがなくなるか? を試してみよう。
光デジタルケーブルでゲームの音をミックスアンプに入れれば、ノイズが発生しない。
光デジタル出力の音は、16bit/48kHzで CD程度の 今となっては あまり良くない音であるが、ノイズがないだけで、ゲームの音は良く聞こえる。
ゲーミングモニターの3.5mm系ステレオミニプラグからとるアナログ音声を ミキサーに入れると ほぼ 100% ブーンというノイズが入ってしまう。
このグランドループノイズは、マイクのアンプに紛れ込んで、マイク側のノイズになるから 厄介なのだ。
この↑ ミキサーに入るノイズを止める方法は、
- コンセントのUSB充電器にミキサーをつながない
- USB電源ケーブルに 電源セパレータ、ノイズフィルターアダプタを間にいれる
- コンセントにつないだパソコンのUSBにつながない
- バッテリー駆動するノートPCからのUSBにつなぐ
- チャット音声を入れる スマホは、バッテリー駆動にする
- マイクのケーブルは、XLRのケーブルで
まとめ
光デジタルケーブルについて、ちゃんとまとめた人の記事が検索ででてこないので、私がまとめた。
私の記事内からの参照に使う。
参考になれば幸い。