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なぜ スマホでメモを取ることがダメなのか? 具体例をあげて解説します。

2018年7月1日

スマホでメモをとる人が増えました。

私も、iPhoneのメモ機能をバリバリに使っています。音声認識も賢くなったので、手で書くよりも正確に早くメモを取ることができるようになりました。

手書きの手帳と音声入力によるスケジューラ
手書きのアナログと音声入力によるスケジューラ管理

iOSとMacが連携する「カレンダー」を十年近く使っていて、この部分だけは、Windows 10に移行できそうにないです。

Siriに話しかけるだけで、カレンダーへの記入、メモ、リマインダーへ書き込めます。車の運転中とか、重宝します。

S爺
S爺
うちに来る70代の患者ですら、次回予約日と時間を Siri に話しかけてカレンダーに登録する時代です。

デスクワークだけで働くのであれば、「ノートとボールペン&スマホの音声認識メモ」がベストな方法です。

「ところが、医療現場では事情が違ってくるよ」という話をします。

臨床実習(ポリクリ)や研修医指導の現場ではメモは取れない

この十年で、個人情報に関する取り扱いが、いろいろと面倒くさいことになっています。

臨床実習や研修医の指導中、患者を実際に治療する臨床の現場で、「診療録など法的に決められたものへの記載以外はできない」無茶なルールを設けているところもあるくらいです。

メモは、頭の中に取れ!

そもそも、「進学高校のエース級、その選抜された学生の集団なのだから、それくらいの記憶力を持っていて当然だろう」なんです。

国公立大学での話になります。忖度やお金で、誰でも裏口入学できるワタクシリツ(私立)の話ではありません。

いまでこそ、不人気で、世襲で推薦入学したボンボンやお嬢が過半数を超えるマッタリとした学生ばかりになりましたけどね。

我々が学生の頃は、卒業後すぐに荒稼ぎできる業種の学部だったので、野心とやる気のある学生であふれていました。すべてにおいて「器用さ」を競っていましたから、いかなる課題や条件を課しても、それを難なくクリアできてしまう学生ばかりでした。

S爺
S爺
エリート集団の中にいるのと、そうでないザコな人間の集団にいるのとは、立ち振る舞いを変えていく「器用さ」が求められます。

モンスター患者(Monster Patient)

大学付属病院にくる患者は、「面倒くさい」人ばかりです。地域医療の旗艦的な役割を担う大規模病院も似たような傾向があります。

今は、大学病院に紹介状を持たずにきた患者からはペナルティ金を徴収するようになりましたから、普通の患者が来なくなりました。

初診時特定療養費

平成28年度から、特定機能病院、一般病床500床以上の地域医療支援病院は、紹介状を持たずに来院した患者に対して、

  • 初診:5000円、歯科は3000円
  • 再診:2500円、歯科は1500円

を徴収する。「かかりつけ医」の普及へのテコ入れである。

普通の”まともな”患者が来ない上に、コンプライアンスの関係で、臨床実習の学生に患者を治療をさせることができません。

昔、大学付属病病院の外来にくる「普通の患者」は、臨床実習の練習台になっていました。

S爺
S爺
臨床実習で配当された女性患者と付き合って、妻にした友人が結構います。

”どうみても、玉の輿 狙いだろう”の 若くて美麗な女性患者が多かったので、学生への患者の配当が楽でした。

適齢(女子高生〜女子大学生)の可愛い子の配当は抽選でしたからね(笑)

当時の学生診療室は、そこはかとなく牧歌的な雰囲気で楽しかったです。

普通でない「面倒な患者」ですから、気をつかいます。

学生にアレコレ教えるときは、患者を待たせて、遮音できる指導室に入り、今診ている患者について小声で学生とヒソヒソ話をし、そしてまた患者の元に戻って、「な? これな。」みたいな目配せみたいなかんじで、指導と治療を行います。

患者の性格によっては、すべてオープンにした方が安心して喜ぶ人もいるので、その場合は、患者の前で、そのまま指導をすることになります。

その人選を誤り、私の性格的に我慢できずに言ってはいけないことを患者の前で連発して… 患者が激怒してしまうことがありました。その場では収拾が付かず、医局長や病院長と共に患者宅へ謝罪に行くなんてことになってしまいました。今なら、記者会見して謝罪みたいなことになるのかもしれないです。

S爺
S爺
今思い出しても冷や汗がでる大失敗だったと思うけど、良い勉強にもなりました。

笑顔を、嘲笑したと勘違いして激怒する患者

問診で、臨床実習の学生が何気なく笑顔をしたことに、あざ笑ったと勘違いをして激怒する患者が時々います。別に珍しいことではありません。

診てもらえる診療所がなくて、精神的にも病んでいる人が紹介状を持って大学病院に来るんです。

大学病院に紹介されてくる患者の大半が癌です。「もはやコレまで」と思い詰めたり、仕事や家族、お金の工面など、これから先の心配事で頭がいっぱいだから、まともな精神状態じゃないんです。

だから、こちらの些細な言動がきっかけで、患者が激高したり、号泣したりすることが当然のように起きます。その怖さを学生は知りません。ましてや、医療人(医療従事者)以外の素人には、想像も付かないでしょう。

聞き耳を立てて、断片的な言葉尻を拾って怒る患者

学生が、「○○がうまく取れませんでした」とか、「○○がダメです。」と微妙な声で、担当指導医の私に耳打ちをすることがあります。

私は、容赦なく足を蹴り上げます。

「ダメ」「悪い」「クソ」とか、ネガティブな言葉は患者の聞こえる範囲で口にしてはいけないからです。神経質になった患者は、その言葉じりに勘違いして激高することがあるんです。

「清潔」、「不潔」も、患者の前での発言に注意してください。

S爺
S爺
人間は、痛い目にあわないと覚えませんから。それも、臨床実習なんです。

臨床実習の現場では、スマホでメモを取ることは禁止

スマホでメモを録ることは禁止
スマホでメモを録ることは禁止

「なぜ、患者を前にした実習や見学の時に、スマホでメモを取ってはいけないのか?」と問う学生がいます。

その答え / 理由は、「患者が、”スマホでメモを取っている学生をみて遊んでいる”と勘違いする恐れがあるから」です

そんな馬鹿なことがあると思いますか? 大学病院に勤めたことのある医療従事者なら、「それは十分あり得る」と誰もが、口をそろえて言うでしょう。

「医学教育のために協力しているのに、あの先生、スマホいじっているよ」って、患者が失望すれば、見学などに協力してくれなくなります。信頼関係が損なわれることは、治療をしていく上で何かと都合が悪くなります。

「スマホでメモをとる」ことが分かっているような、日頃からスマホをメモ変わりにゴリゴリ使う人が、大学病院の外来や入院患者の中に何人いるでしょうか?

白衣のポケットの幅は、iPadの大きさ

医療現場では、電子カルテの端末としてiPadがよく使われています。そのため、白衣(半袖のベンケーシタイプでも)のポケットは、18〜19cmとiPadが入るサイズになっています

医局やナースステーションなど患者のいないところでのスマホへのメモは、個人情報の漏洩にならないかぎり、黙認されるでしょう。しかし、患者のいる臨床現場で、スマホでメモを取ることを許可しているところはありません。そもそも、診療録や看護録以外のメモを取ること自体を許さないところもあるくらいですから。

許可しているとしたら、iPadなどのタブレットや小さいノートに鉛筆やボールペンで書く、手の甲に書くなどです。患者も、iPadなら診療録(電子カルテ)を見ている医者の姿を普段からみているので、違和感を感じません。

S爺
S爺
電子カルテやCT、MRIなど各種検査の予約と結果(画像診断医の所見)の閲覧、薬のオーダーはスマホでもできるのですが、「患者からのクレームを恐れて」便宜上、タブレットを使うようにしているだけです。

それに、インターネットに物理的につながっていない病院内イントラネットなので、音声入力が使えません。

iPadは、とても便利です。保険治療では儲からないので、利幅の大きい自由診療(自費治療)を患者にすすめるためのプレゼン資料は、iPadに入れていて、患者に持たせて説明をします。iPadのおかげで自費移行率アップですw。

Twitterで、医学生を惑わす素人の無責任さ

Twitter/ SNSは、かつての5ch(旧2ch)の様相になってきています。

とあるインフルエンサーを気取る人の書き込みをみて、目を疑いました。

Twitterの書き込みで、

●●@医学生

上から聞いた話。実習中にスマホでメモを取っていると、指導医に「スマホいじるな!」と注意される。メモです、と答えると、メモは紙で取るのが礼儀だろってさ。スマホはSNSか娯楽にしか使えないと思い込んでる老害たち。スマホで…

にRTして、

(スクリーンショットは現在非公開)

  • 「まさに老害……。メモを取るのにスマホの方が便利なのに「礼儀」のために能率を下げて紙にメモをさせるんですかw
  • こういう「老害」と仕事をしなくても、仕事をもらわなくてもいいだけでもわたしの人生は幸せすぎる。
    • 礼儀
    • 建前
    • 義理
    • 面子(めんつ)
  • こういうキーワードを使ってこちらの言動にマウンティングしてくる人たちには、お気をつけください。
  • 可能なら早く手を切るのがおすすめ。

だそうです。

あまりの荒唐無稽こうとうむけいっぷりに、あきれます。

S爺
S爺
まぁ、部外者ってのは、いつもこんなかんじです。

「じゃぁ、君が変わって、この問題を解決してみなさい」、なんの具体案も実績もだせない人ばっかりです。

この人は、「自分よりもバカなヤツに、分かりやすく物事を教えて、すすめて、その紹介料をとる」ビジネスモデルを展開しています。

この人は、「マウンティング」と言う言葉が好きなようです。

マウンティング

猿が交尾姿勢を取ることで、順位の上下を決める行為のこと。

転じて、コミュニケーションにおいて、自分の優位性を相手に示そうとする態度や言葉を使うこと。

こういうブログ記事やSNSで、日常的に行われていることである。

自分が”マウンティング”できるターゲットを的確に狙った商売を展開しています。ヒエラルキーで上の階層を狙ったビジネス展開はできていません

S爺
S爺
まぁ、我々のような「老害」層には、はったりが通用しませんもんね。

この人がターゲットにしているのは、自分よりも下層の「音声認識で検索を覚えた老人や小中学生の子供や、パソコンもろくに使えない情弱とバカにされる人達」です

S爺
S爺
インフルエンサーを気取る人の多くが、ネットを検索して得られる情報や、自らのブログ塾やSNS仲間からの伝聞による情報で物事を判断しています。

各々の分野で、プロフェッショナル(エキスパート)としてやっている人なら、他の分野も形や物は違えど勝手は同じなので、こんな薄っぺらい発言をしません。

まとめ

学生〜研修医の間に、医療人(医療従事者)として一人前になるために、物事の分別や礼儀など、教科書には書かれていないことを先輩や患者から教えてもらいます。それを「老害」と一言で決めつけてはいけません

自分よりもバカなヤツにパソコンやスマホの使い方を教えるのは、勝手にしてください。しかし、

S爺
S爺
医療従事者としての自覚のない学生に、ただの素人が「患者」をむだに刺激して厄介ごとを増やす事をあおってはいけません

我々は、単位時間当たりの保険点数をアップするべく日々効率化をすすめています。

【儲けにならず、ただただ時間をとられるだけの「面倒な」患者とどう対峙するのか?】のリスク管理上、面倒なトラブルを事前に回避する行動をとっているに過ぎないのですからw。

臨床の現場に限らず、「スマホをいじって遊んでいる」と勘違いされて叱責されることがあります。

だからこそ、誤解を受けにくい、

  • 小さなメモノートにボールペンで書き、後でスマホへ音声入力でメモをいれる
  • タブレットPCでメモをとる

など、臨機応変にアイテムを使い分けましょう。

お願いですから、こういう面倒なことをあおる 面倒くさいブロガーとその仲間達は、私の生活圏に来ないでください。







  • この記事を書いた人

SG(S爺)

週末にゲームに興じるジジイです。 提灯(ステマ)記事ではない”本物の”口コミ レビュー記事を書いています。

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