Dyson V10 SV12(2018年10月購入)を、毎朝(週5日)、使ってきた。
6年間使っている間に、バッテリーが弱って10分しか動作しなくなったり、持ち手のスイッチ下部の突起が折れたり、クリーナーヘッドが壊れたり(互換品に交換)、いろいろ問題が起きている。
今回、トリガー電源スイッチが壊れて、ひっこんだまま 出てこなくなった。
スイッチがきかないので 掃除機のモーターが回らない。
保証期間は とうに過ぎていて 有償修理 2.5万円は、もう払えない。
世界中で売られている ダイソンの掃除機は、中国製パチモンの補修パーツが豊富にそろっている。
自分で交換する需要があるから、売られている。なら、ガジェットブロガの私もやらなきゃ ってことで。
この記事は、トリガースイッチの交換した話をまとめた。
自分で分解修理すると、メーカーの保証や修理は受けられなくなる。
この記事を参考にして 何らかの問題が起きても、私には一切の責任はない。
すべては自己責任の下でやること。
Dyson V10 SV12 のトリガー電源スイッチを交換した感想とコツを紹介
ダイソンV10 SV12 掃除機の電源スイッチ を交換する前に知っておくこと
分解と修理をするのに、必要な物、注意する点を かじょう書きにしておく。
- V10(SV12)のトリガースイッチ(電源ボタン)は、掃除機を完全に分解しないと交換できない所にある
- DCモータ電源ケーブルの丸型端子がL字になっているので カバーが外れない
- L字に曲げられた丸型端子を回転させて すき間を通すのが すごく難しい
- 丸型端子を まっすぐに曲げて引っこ抜き、トリガーを交換した後、元に曲げる手間と力が必要
- 分解するドライバーは、PZ1(ポジドライブ)、T8(トルクスドライバ)で、軸の長さが 75mm のもの
- 掃除機は ほこりだらけで汚いので、分解&清掃用の広めの机と場所を確保すること
- 分解用の金属ヘラ(スパチュラ)やマルチ精密ドライバーセットが必要
トリガースイッチ交換に必要な道具
Dyson V10 SV12を分解するのに 必要な道具をリストにした。
- ポジドライブドライバー PZ1:軸長 75mm以上
- トルクスドライバー T8:軸長 75mm以上
- ラジオペンチ 2本。先が細すぎないもの、先が細いもの
- カバーなどのツメをひきはがすための ヘラ(セメント充填器、セメント練和スパチュラなど)
Dysonの掃除機のバッテリーを固定するネジは、ポジドライブネジだ。
プラスドライバーでやると ネジ溝をナメてしまうので、ちゃんとポジドライバーを使おう。
トルクスドライバー は、T8。ハンドル径が細いものにしよう。
ドライバー類は、大阪のVESSEL(ベッセル)が おすすめだ。
Amazonで PZ1ポジドライブ を見る Amazonで T8トルクスドライバー を見る
ダイソン V10 を分解する手順
まずは、トリガースイッチの交換方法を紹介した動画を見よう。
交換パーツをAmazonで購入してみると、交換方法の説明書はなく、代わりにパッケージにQRコードがついていた。
QRコードで飛んだ先は、交換手順を簡単に解説したYouTube動画だ。
例:https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=QaZPirfYik8
大まかな作業の流れを頭にいれておこう。
- クリアビン(ダストビン)、フィルターをはずす
- バッテリーパックをはずす
- サイクロン部をはずす
- DCモーターをはずす
- ハンドル内の部品をはずす
- トリガーを交換
- 分解の逆、組み立てなおす
クリアビン、フィルターをはずす
吸い込んだゴミを貯める 透明なシリンダー「クリアビン」(ダストカップ)と、フィルターを外す。
かなり汚れているので、外に出て ホコリをブロワーで吹き飛ばして、雑巾で 汚れを拭き取っておこう。
バッテリーパックをはずす
V10 SV12 のバッテリーパックは、3本のポジドライブネジ(PZ1 15mm)で固定されている。
ポジドライブドライバー PZ1 で、ネジをはずしていこう。
しっかりと押さえて 反時計回り(左回り)で ネジをゆるめる。
普通のプラスドライバーだと ネジ溝に先がきちんと収まらず、溝をつぶしてしまう。
PZ1 15mm 3本のネジが外れたら、バッテリーパックを引っこ抜く。
DCモーター用の電源は大電流が流れるので ACコンセントみたいになっている。
電源のON/OFFのスイッチもついている。
「電源の制御は 全部バッテリーパックでやる」仕組みには感心させられる。
サイクロン本体をはずす
サイクロン本体とモーターとハンドル部は、ポジドライブねじ PZ1 15mm 6本で固定されている。
まずは、4本。
ネジ山が、穴の奥底にあるので、ドライバーの軸は 75mm(標準)以上のものを使おう。
ねじ溝をナメないように、しっかりと押しつけて ネジを ゆるめる。
固くしめつけられている。簡単にネジがゆるまないので 焦らないように。
次に、ダストボックス(クリアビン)を滑らせる ビンランナー側のネジもはずす。
このビンランナーのところも、PZ1 15mm ポジドライブ ネジ 2本。
サイクロン本体と DCモーター&ハンドル部を引っこ抜く。
抜けにくい理由は、サイクロン部に この電源供給コネクタが ガッツリささっているからだ。
このDC電源プラグ(メス)を引っこ抜くのをイメージして、ゆっくりとひっぱると抜ける。
抜けない時は、ネジの外し忘れがないか? 確認しよう。サイクロンとモーターをつなぐ ネジは、4+2の計6本だ。
DCモーター をはずす
DCモータの基板を覆う白いカバーをはずす
DCモーターとハンドル部の固定は、基板を覆う白いカバーと一緒に ネジ(T8 14mm)2本で固定されている。
ここからは、トルクスドライバー T8 を使う。
ネジ 2本をはずしても、白いカバー付きのDCモーターは、カバーにしっかりと はまりこんでいて はずれない。
しかも、クリーナーヘッドへの電源コネクタと基板をつなぐ DCケーブルが付いているので むやみに はがして引っ張ってはいけない。
動画でも、ヘラを差し込んで 爪に食い込んでいるところを うかせている。
私も、丸く平べったいツール(セメント充填器)を差し込んで 白いカバーの端を浮かせた。
カバーにはまりこむ出っ張りは、左右にあるので、どちらかをひっぺがすと、バキッとはずれる。
動画では、白いカバーを完全に外さずに作業をしている。
しかし、基板にネジ止めされている電源ケーブルのLに曲げられた端子が、引っかかって うまく外せないので、電源コネクタ部分も外すことにした。
白いカバーと電源コネクタの関係は、ゴムのパッキンではまっているだけである。
このパッキンが がっちりと白いカバーの穴にはまっているので、コネクタを指で押したくらいでは はずれない。
白いカバーの穴に食い込んでいるゴムのパッキンを 先が丸くて平べったいヘラで、かきだすように ほじると外れる。
あるいは、(コネクタの先側から基板側の方向で)コネクタと白いカバーの間のすき間に 先の丸いヘラを差し込んで 押しこんで ゴムをはずしても いける。
ケーブルをはずす
DCモータの制御基板についている ケーブルコネクタをはずす。
- 吸引力切り替え(風量切り替え)の磁気センサー基板へのコネクタ
- センサー(フィルターの装着有無?)の信号用のコネクタ
- DCモーター駆動のDCケーブル
吸引力(風量)切り替えスイッチのケーブルは、ケーブル側に引っ張るとはずれる。
モーター駆動の電源ケーブルは、ネジ(T8 6mm ワッシャー付き)2本で固定されている。
なにかのセンサーのケーブルは、そのまま はまっているだけなので、ピンセットなどの先で 起こすと簡単に外れる。
DCモーターをはずす
基板についている T8 6mm ネジ 2本をはずす。
ワッシャーがついているので、なくさないようにしよう。
ネジを外したら、L字に曲げられている丸型端子を横にねじって、基板下の輪っかを通るようにしてから、ゆっくりとモータ部分を手前にひっぱる。
電源ケーブルのL字に曲げられた丸型端子が 基板したの輪っかに ひっかかって うまく外れない。
他のYouTube動画では、このL字の丸型端子をラジオペンチで曲げて 平らにしていた。
丸形端子を横にねじって(2本重ねて 投影面積を小さくして)穴を通せれば、それに こしたことはない。
ラジオペンチで曲げて 通りやすくしたほうが 早く作業を進められるものの…
ケーブルを引きちぎったり、基板のチップ部品を飛ばして壊したりしてしまうので、自己責任でお願いしたい。
固い電源DCケーブルの丸型コネクタが 輪っかから通ったら、そのままDCモータをひっぱると外れる。
モーターと一緒に、 風量切り替え(吸引力切り替え)スイッチの磁気センサー基板も一緒に抜けてしまった。
ハンドル内の部品をはずす
本体付け根のハンドル付け根にあるカバーのネジ T8 6mm 2本をはずす。
トルクス T8ドライバーの軸長が 75mm以上あれば、カバー上部のフチと干渉しつつも なんとか回せる。
フレキシブルドライバーシャフトがあるのなら、それを使っても良い。
カバーのツメを こじって はずず。固く しっかりとハマっているので 外せない。
爪が 左右の二か所あって、がっちり食い込んでいるので、先が鈍のヘラで押し込みつつ こじって 引き上げるようにする。
ゴムのパッキンが固着しているのも手伝って、外れにくい、固い!
カバーのすき間に 差しこんで こじって浮かせたところで、DCケーブルの下のところを持ち上げて バキッと やっと外れた。
カバーの穴から 丸形端子とセンサーケーブルを通して 外す。
固い電源ケーブルの丸形端子を2本とも横に90度よじって重ねれば、この穴を通るはずなのに、どうしても通らない。
丸型端子のL字をまっすぐに のばした。
製造するときは、L字の丸形端子が 2本とも横を向いていて この穴を通ったんだろうけど…。
金属疲労で L字に曲げた丸型端子が折れる可能性が高いので、あまりオススメできない。
やっと、丸型端子がカバーの穴を通って、カバーが外れた。
やれやれ。
ハンドル(グリップ)内部の部品を引き出す
グリップ(ハンドル)の下側から内部を除くと、ネジ(T8 11mm)のネジが見える。
ここは、軸長 75mm のT8 トルクスドライバーが必要だ。
このネジを回すための T8 トルクスドライバーとトリガースイッチをセットで売っているものもある。
ネジ(T8 11mm 1本)をはずしたら、中身を引っこ抜く。
ラジオペンチでつめる 場所がある。
ここをラジオペンチでつまんで、ひっぱる…。しかし、抜けない。
つかむ場所を そのまま 握りつぶして ちぎってしまいそうだ。
樹脂の板なので、握りつぶさないように手加減しながら、おもいっきり引っ張ると 抜けた。
トリガースイッチが折れているのが分かる。
抜けなかった理由は、ゴムのパッキンが がっちりと穴に はまって くっついていたから。
上から ゴムのパッキンを押しこんでから 力いっぱい引っ張らないと抜けなかった。
トリガースイッチを交換する
グリップハンドル内から抜き取った トリガースイッチを じっくりと観察してみよう。
プラスチックのトリガースイッチが、ぽっきりと折れている。
バッテリーパックのバネ付きスイッチに押し上げられて、トリガースイッチが前にでるカラクリなので、折れてしまっては トリガースイッチは出てこない。
破折部は、凹なところから一番細い所に応力が集中して 破折している。完全な設計ミスだ。
Amazonで買った中国製パチモンのトリガースイッチと交換する。 交換品は、樹脂ではなく 金属製だ。値段も高い千円弱。
交換するトリガースイッチは、元の樹脂製に比べて しなりにくい。
はめ方が わからない人は、インストールガイドの動画で 説明されているのを参考にしよう。
短い足の方の穴を合わせてから、長い足の穴の方をはめ込む。簡単に カチッとはまった。
トリガースイッチにバネをかけるのを忘れないように。
Dysonの掃除機は、バッテリーパックをはずすと トリガースイッチは、バネで引っ込んだままになる。
この外された状態でも、トリガースイッチは 押された状態の(引っこんだ)ままである。
分解の逆、組み立てなおす
元に戻す前に、サイクロン部がホコリだらけなので、きれいにしよう。
せっかく、分解しているのだから サイクロン部も外せるところは はずして、ほこりを取り除く。
歯ブラシでホコリの塊をかき出したり、ブロワーで吹き飛ばしたり…、防塵マスクとゴーグルをつけて 換気の良い屋外で 清掃作業をする。
クリーナーヘッドへの電源ケーブルが外せないので、切断しないように 気を付けて!
電気系のコネクタ、端子、DCモータの基板も清掃&酸化皮膜防止をしておく。
- 直流の大電流が流れる 平形と丸型端子には、コンタクトグリースを薄く塗って余分をティッシュで拭き取る
- クリーナーヘッドへの電源コネクタのオスのプラグ部分に コンタクトグリースを 綿棒の先につけて 少し塗って拭き取る
- DCモータの基板は、エレクトロニッククリーナーをかけて洗浄した後、エアブローで完全に乾燥させる
- 信号線のコネクタは、軽くコンタクトスクレーをかけてティッシュで拭き取り、エアブローで乾かす
基板の清掃中に、モーターへ エレクトロニッククリーナー(アルコール)が流れ込まないように注意!
グリップハンドル内に トリガースイッチ部品を戻す
電源ケーブルと信号線ケーブルの3本を本体側の穴に通しつつ、トリガースイッチ部を ラジオペンチでつまんで 元にもどす。
ゴムのパッキンが穴にキツキツなので、そこそこの力で押しこんでも はいっていかない。
トリガースイッチ部をグリップ内で固定する T8 11mmのネジをしめることで、ゴムのパッキンも押しこまれていく。
グリップハンドルから本体への電源ケーブルとセンサーケーブルを カバーの穴に通すのに 難儀した。
信号線は、電源ケーブルより長く出ていなければならない。ひっかかっている。
電源ケーブル2本、信号線が いいかんじに引っぱり出せたら、カバーを元の位置に戻して T8 6mm 2本でネジをしめて固定する。
丸型端子をラジオペンチで L字に曲げ直す。
DCモータを元に戻す
吸引力三段階切り替えスイッチ(風量切り替えスイッチ)の磁気センサー基板とケーブルを あらかじめ本体に戻す。
磁気センサー基板が、正しく元の位置に戻らず、ねじれたままで固定されると、モーターが最小か最大の回転になって 切り替えられなくなる。
DCモータをあてがって、ケーブルをそれぞれの輪っかから通して いく。
端子、コネクタが 元の位置にもどるように 合わせていく。
電源ケーブルの丸型端子をL字に曲げ直したものを、基板にネジ(T8 6mmワッシャ付き)2本で固定する。
手前が赤で、プラス、向こう側が黒でマイナス? 毎度、確認しながら元に戻そう。
風量切り替えの磁気センサー、フィルターの有無をバッテリーパックに知らせる?信号線のコネクタを元に戻す。
基板を保護する白いカバーを元に戻していく。
クリーナーヘッドのモーターを駆動する電源コネクタを白いカバーに押し込む。
ここもゴムのパッキンになっているので、先の丸い器具で 良い感じに押し込んでおく。
白いカバーをあてがって、カバーのつめを パチンとかませて 元に戻せたら、ネジ T8 14mm 2本で固定する。
白いカバーが はまっているのか?を確認。
クリーナーヘッドへの電源コネクタのパッキンも、白いカバーにきちんとハマっているのを確認。
サイクロン部を取りつける前に、クリーナーヘッドへの電源コネクタに、コンタクトグリスを少し塗って 通電を良くしておく。
サイクロン部の真中で分解して掃除したついでに、クリーナーヘッドへの電源コネクタ すべてに コンタクトグリースを塗って綺麗にしておこう。
サイクロン部をハンドル&モーター部に 差し込んで、ハンドル側の2本のネジ PZ1 15mmで 固定する。
あとは、残りの4本のPZ1 15mmのネジで、サイクロン部とハンドル&モーター部を固定する。
バッテリーを戻して、バッテリーをPZ1 15mmのネジ 3本で固定。
この作業は、とくに難しいことではないので省略。
バッテリーをつけると、バッテリーのスイッチで押し上げられて、トリガースイッチが押せるようになる。
フィルターをつけると、電源が入って モーターが動くのを確認。
やれやれ。
まとめ
2024年の夏は、6月下旬から、10月上旬まで、日中の外気温が 30度を超える真夏日、7〜9月は、35度を超える猛暑日の連続だった。
暑いと、機械も人間も壊れる。
この4か月、葬式やら クレーム処理やら… 諸々のトラブルの対応で奔走。
「あれ? ワシって、何をしなきゃいけなかったっけ?」と 記憶が飛ぶ日々が続いた。
追い打ちをかけるように、今回のDyson V10の故障。バックアップの マキタの掃除機でしのいだ。