テレビの音声をBluetoothのヘッドホン / イヤホンで聞くためには、送信機(トランスミッター)をつけなければならない。
これは、ゼンハイザーのBluetooth オーディオ トランスミッター BT T100 だ。
Bluetooth トランスミッター(送受信機)は、中国製パチモンの独擅場だ。日本メーカーブランドも中国のOEM品しかない。
SoC基板が同じのためか、操作も性能も どれも似たものばかりだ。
今回買ったBT T100は、同じブランドのワイヤレスヘッドホン HD 450BTとの相性も良くて気に入っている。
低遅延のaptX LLで接続するので、スプラ3のようなゆるいTPSゲームなら音の遅れを感じない。
- 購入品:ゼンハイザー Bluetooth Audio Transmitter BT T100
- 購入時期:2022年1月
- 購入価格:8,120円
- 購入店:Amazon Japan G.K.
SENNHEISER Bluetooth Audio Transmitter BT T100 の使用レポート 使い方 問題点などまとめ
ゼンハイザー BT T100 って何が違うの?
BT T100の主な特長を3行にまとめると
- テレビ接続する送信専用でバッテリーを内蔵せずUSB給電だけ
- 無音が長いシーンを見ていて起こる 無音スリープ機能のプチ切れ問題がない
- 低遅延のaptX Low Latency(aptX LL)のコーデックに対応
Bluetooth トランスミッターって何?
音を2.4GHz帯のマイクロ波で送る送信機のこと。
昔は、FMラジオに電波を飛ばしていた。今はイヤホンやヘッドホンにデジタルのマイクロ波で送る。
Bluetooth トランスミッターと接続する機器の関係を模式図にすると…
↑こんなかんじ。中国製パチモンのBluetoothトランスミッターは、バッテリー内蔵で送信と受信のどちらでも使えるものが多い。
メーカーが違っても共通の基盤(SoCチップセット)を使うので、どれも同じだ。
ゼンハイザー って何?
ZENNHEISERは、ドイツの音響メーカーで、ヘッドホン HDシリーズが有名だった。
ヘッドホンなどのコンシューマー向け製品を扱うコンシューマーエレクトロニクス(EC)部門は、2022年3月に、スイスのソノバ(Sonova Holding AG、補聴器メーカー)に売却された。
ヘッドホンのゼンハイザーブランドは、スイス ソノバの傘下になった。
販売・サポートは、「Sonova Consumer Hearing Japan株式会社」に移行
無音スリープ機能って何?
「無音スリープ機能」、「自動ミュート機能」は、入力される音がある一定の音量より小さい状態が5秒(〜30秒)続くと自動的にスリープ(節電)する機能。次に大きな音が入力されるとスリープ解除になるが、冒頭の音1秒弱が送信されないため音が途切れて聞こえる。
Bluetooth トランスミッター/レシーバのSoCチップセットの機能の一つで、致命的な問題である。
たとえば、パソコンの音声出力をBluetoothトランスミッターで使っている場合、プレーヤでBGMをかけていない 無音での作業中、警告音や操作時の効果音が聞こえない。
映画、アニメ、ゲームで 静かなシーンや無音の映像だけのシーンの後の1発目の音の冒頭が出ない。
aptX LLって何?
aptX LL(Low Latency)は、音声のデジタル伝送の方式の一つで、0.05秒以下の遅れで済むのでゲームや動画をみるのに違和感を感じないのがメリットだ。
Bluetoothは、デジタル音声信号をアナログ音声に変換する処理「コーデック/デコード」に時間がかかるので、どうしても遅れる。
標準のSBCコーデックは、0.2〜0.4秒の遅れがあるのでゲーム音を聞くのに使えない。
他にも、低遅延の規格でFastStreamなどがある。
ゼンハイザー Bluetooth オーディオ トランスミッター BT T100 を写真で紹介
BT T100のパッケージ内容は、
- Bluetooth トランスミッター BT T100
- USBケーブル:1.2m
- 光デジタルケーブル:角形 1.5m
- アナログオーディオケーブル:1.6m
- クイックガイド / 安全に関する注意事項
日本語のマニュアルが付いていないので、ゼンハイザーのサイトからダウンロードしよう。
https://assets.sennheiser.com/global-downloads/file/10285/BT_T100_Manual_JA.pdf
電源は、USB充電器を別に用意して使う。
パソコンの音声出力をアナログで取り、そのパソコンのUSBから電源を取るとグランドループノイズがはいるので注意!
BT T100の主な仕様
主なスペックをざっくりとリストにしておく。
- 型番:BT T100
- 入力
- 光デジタル入力 角形:PCM、44.1、48kHz / 16、24bit
- アナログ入力:3.5mm径 ステレオジャック
- 周波数特性:20Hz〜20kHz
- 電源:microB ジャック、5V / 500mA
- Bluetooth
- バージョン:4.2 Class1
- 周波数:2402〜2480MHz
- プロファイル:A2DP
- 出力:10mW
- コーデック:SBC、aptX、aptX LL
- 同時接続数:2
- 送信チャンネル 79
- 占有帯域:1MHz
- 大きさ:9.3×9.3×2.7cm
- 重さ:85g(実測 81g)
- 中国製造
Bluetoothのバージョンも4.2で古く、デジタルも対応周波数は、最大で48kHz/24ビット。
コーデックは、Apple系のAACに対応していない。
最大8台のヘッドホンやイヤホンとペアリングできて、同時につなげられるのは2台まで
どのコーデックでつながっているのか?をLEDランプで知ることができないのが残念。
BT T100の背面観 ポート部
左から、
- アナログ入力:3.5mm径 ステレオミニジャック
- 入力選択スイッチ
- 光デジタル入力:角形
- 電源ポート:microB USB
大きさは、9.3cm角の厚さが3cm弱、重さは81gと軽い。中身はスカスカだろう。
BT T100の正面観
BT T100はテレビに付けることを意識したデザインだ。
前面は、操作のための、マルチ機能ボタンと動作確認LEDランプだけ。
マルチ機能ボタンと動作確認ランプの操作
動作ランプとマルチ機能ボタンの挙動で、主なものをまとめた。
- 電源が入っていない状態での2秒長押し:電源ON、赤点灯
- 電源が入っている状態で、3秒長押し:電源OFF、消灯
- 電源がOFFから、4秒長押し:ペアリングモード、赤青交互に点滅
- ペアリング成功で、点滅して、3分間青で点灯後消灯
- 二台のペアリングしたヘッドホン/イヤホンをONにして、1秒長押し:二台がつながると、紫に3分点灯し消灯(aptX でしかつながらない)
BT T100を実際に使ってみての感想と気づいた問題点
BT T100は、トランスミッター(送信)専用である。
まずは基本的なつなぎ方で試した。
テレビの音をネックスピーカーやヘッドホンで聞くためにBT T100を買った人が多いはず。
Bluetooth トランスミッターには、無音で勝手にスリープになる省エネ機能がついていて、音の頭が切れる問題がある。
このBT T100は、小さな音が長く続くシーンが多い映画や ゲームで音の頭が出ない「Bluetoothトランスミッターの致命的な問題」がない。
BT T100 と ブラビアXR の光デジタルをつなぐ。
音声切替は、3Dサラウンドにする。ネックスピーカーは、サンワサプライの400-SP090だ。
ネックスピーカー 400-SP090 は、Bluetoothのバージョンが 5.0と新しいので、BT T100とのペアリングができないのか?と思っていたが、ペアリングできた。
aptX LLで接続できているようで遅延がほとんど気にならない。
ブラビアXRの場合、3Dサラウンド処理で2秒ほど映像と音が遅れるので、ゲームが遊べない。
ゲームをしたいのなら、3Dオーディオは使わないように。
それでも、シビアな操作が必要な格闘ゲーや、リズム系、シューティングゲームでは、気になるレベルの遅延がある。
aptX LLのイヤホンやヘッドホンをつなぐ
aptX LLでつながる イヤホンやヘッドホンを一通りつないで、音楽を聞いたりゲームをしてみたりした。
BT-B10をレシーバにしてペアリングしてみた。接続状態は”LL”にランプがついているので、aptX LLでペアリングしていることが分かる。
その他、aptX LLのイヤホンやヘッドホンの紹介は、↓の記事で。
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アマゾンで 1万円以下で買えるゲーミング ワイヤレス イヤホン/ヘッドホン・aptX LL(音が遅れない)のおすすめを紹介
「ゲームに使える 音が遅れない 低遅延(aptX-LL)のワイヤレス ヘッドホンやイヤホンを紹介して欲しい」というリクエストに応えて、おすすめのヘッドホンとイヤホンのリストを作りました。 おすすめのゲ ...
SBCでつながると音が悪いので、すぐに分かる。
aptXかaptX LLでつながっていれば、音は良い。
光デジタル、アナログ音声ともに音質は良好だ。特にノイズが混じることもない。
Macからのアナログ出力も問題なし。
Mac mini からUSBでつないだ、FX-D03J+からの光デジタル接続では、「Audio MIDI 設定」フォーマットを 48kHz/24bitまで落とさないと音がでない。
Bluetoothのコーデックも、aptX LLまでなので、ハイレゾ対応とはいかないから、48kHz/24bitのDVD音質で十分である。
BT T100 のノイズはどうですか?
BT-T100には、目立つ ノイズが混じることもない。
パソコンのUSBから電源をとってもノイズが混じらない。そもそも、光デジタル入力ならノイズは混じらない。
パソコンのUSBを電源にして、パソコンのアナログ音声をつなぐと、グランドループノイズ「ブーン」が起きる可能性がある。
たとえば、モニターの電源をさしているACコンセントにUSB充電器もさして、BT T100の電源をとっている場合も"ブーン”ノイズがはいるはずだ。
グランドループノイズは、BT T100に関係なく 電源のつなぎ方が悪いと起こる現象なのだから。
ホワイトノイズ「サー」やとぎれとぎれの音、こもった変な音、ジリジリ音になるのは、Bluetooth接続でコーデックが合わない、接続が不完全な時に起きる。
BT T100の問題ではありません。
ノイズ対策がされていない激安のUSB充電器につなぐと、ノイズが混じるだけでなく、BT T100本体も壊すかも知れないので注意しよう。
ゼンハイザー BT T100 につながらない! BT T100とペアリングできない問題
BT T100は、Bluetooth バージョンが V 4.2と古いため、V5以上の新しいバージョンのイヤホンやヘッドホンとペアリングできないことがある。
ゼンハイザーのブランドでそろえたり、スマホアプリが必要だったりは、ペアリングのしやすさに関係ない。
BT T100は、8個もペアリングできることが、新しくペアリングする時の障害になっているようだ。
以下の4点に注意して BT T100とのペアリングを試してほしい。
- 既にペアリングしたイヤホンやヘッドホンの電源を全てオフにしておくこと
- ペアリング中は、BT T100本体にヘッドホンやイヤホンをくっつけるくらい近づけてしばらく待つ
- BT T100のLEDランプの赤青交互点滅とヘアリングするヘッドホンのペアリング時のランプの表示を確認する
- 他の 2.4GHz帯Wi-Fiを使うIoT機器やBluetooth機器の電源を切る
2.4GHz帯の電波の混信対策をしないと、つながらないので!
BT T100は、二台同時につながって同じ音をきくことができる。だだし、aptX LLではなく、両方とも aptX になる
BT T100は、耳が遠くなった 難聴の老人と一緒にテレビを見るのに使えますか?
使える。Bluetooth接続のネックバンドスピーカーやBluetoothのイヤホンとセットで使う。
テレビに録画用のHDDをつないでいないのなら、そのUSB端子からBT T100のUSB電源をとろう。
難聴の親にイヤホンかネックスピーカーをつけさせて音量を調整する。
テレビの音と、光デジタル出力音声は両方同時に出せる設定にするのを忘れずに!
健常な耳をもつ家族と、難聴な親と一緒にテレビを見る時の音量調整は、これで解決する。
ゲーム機につないだ Sound Blaster X4 の光デジタルをBT T100につないでワイヤレスで聞く
SoundBlaster X4を持っている人なら、こんなつなぎ方も可能だ。コメントにいただいたので。
4K 120Hz HDR VRR出力で、光デジタル音声を分岐できるHDMIスプリッタがないので、USBからゲーム音をとるのであれば、USB-DDCとしてX4を使う。
まとめ
低遅延のコーデック aptX LL対応のBluetooth トランスミッターは数多くあるが、ゼンハイザーブランドだけあって、まともに動作する。
テレビに付けるBTトランスミッタを探している人は、このBT T100も候補にいれて検討すると良いだろう。
8千円と高いことをのぞいて致命的な問題はない。
私は、2.4GHz帯の混信に気を付けて、極力有線化した書斎でテストしている。
Bluetoothトランスミッターの問題「ブツブツ切れる、無音スリープへの時間が短すぎる、音が悪い」は、ほとんどない。
あったとしても、再接続や再起動で復帰できている。
BT T100のまともな使用レポートがネット上に存在しないので、私が書いた。
参考になれば幸いだ。