任天堂のWii UやNintendo Switch 、PS3以前の据え置きゲーム機には、PS4 や Xbox One X のようにゲーム機本体だけでプレー動画を動画サイトに配信するブロードキャスト(ライブストリーム)機能がありません。

ゲーム機の録画、配信の基本配線図
無料のOBS(Open Broadcaster Software)を使ってYouTube(gaming.youtube.com)にプレイ動画を配信(ライブストリーム)するため方法を紹介します。
ゲームのプレー画面を配信するための、OBSの導入手順、OBSの基本設定と、配信に起きがちな不具合やトラブルシューティングを中心にまとめました。
パソコン用のゲーム配信(ブロードキャスト)ソフト
パソコンの主な基本ソフトは、Windows 、macOS(Mac OS X)です。
それらに対応したソフトは、
- OBS(Open Broadcaster Software)とLadioCast(無料)
- Wirecast 7(495ドル)
- Ustreem Producer(299ドル、549ドル)
の3つくらいしかありません。
Windows 専用として、XSplit Camecaster(無料は720p以下、3年ライセンス90ドル)というのがあります。
HDMIキャプチャデバイスのメーカーがそれぞれ提供するソフトがあります。例えば、AVerMedia のRECentral3などです。
私は、Ustream producerとWirecast Play(1000円)を使っていました。しかし、Verアップが無くなり、対応するキャプチャデバイスを制限されたりして、300ドルの有料版への誘導が激しくて使い続づけられなくなりました。
かつて、低機能で設定が難しく”ポン付け”で使えなかった無料のOpen Broadcaster Software(OBS)が、徐々に進化して使い勝手も良くなり、対応するキャプチャデバイスも増えて、立派に使えるようになりました。
OBSを使ったゲーム配信例(ブロードキャストの録画)
これは、Nintendo Switchのあつ森のプレイ動画です。2020年11月1日の日曜日の朝の作業ゲームの風景ですw 昨夜のハロウィンの片付けをしなきゃいけない…

当時のYouTubeは、ファイルサイズが2GBに制限されていたので、ライブ中継でしか長い尺の動画をアップすることができませんでした。
今のYouTubeは、「128GB以下、12時間以内のいずれか小さい方」なので、ライブ中継しなくても長尺の動画をアップできます。
ゲーム配信に使う機材

UHD(4K)環境が稼働せず、元に戻す Orz…
- 配信したいゲーム機とソフト
- パソコン(SkyLake以降のCore i5以上、GeForce 1050以上)
- HDMIキャプチャーデバイス
の3つをそろえます。以下、それぞれを解説します。
1)配信したいゲーム機とゲームソフト
PS4やXbox Oneには、プレイ動画を配信できるブロードキャスト機能が付いています。あらかじめ登録した動画サイトにライブを送信できます。
それ以外のゲーム機、任天堂のNintendo Switch、Wii U(Wii)、ミニファミコン他、PS3以前の古いゲーム機は、パソコンに映像と音声を入力して配信ソフトを使ってライブを中継します。
ゲーム機は、HDMIで映像と音声を出力するものが扱いやすいです。具体的には、Wii U、Nintendo Switch 、クラッシック ミニファミコン、Xbox360等です。
HDMIにHDCPのかかっているPS3やそれ以外のアナログ出力のゲーム機の場合は、アナログ(D4:720p/60)→HDMI(720p/60→1080p/30)のアップコンバータを使います。変換に遅延が起きるので、シューティングゲームなどには支障をきたします。そこで、D端子スプリッターを使って、テレビ(ディスプレイ)と分ける工夫が必要になります。
今回は、HDMI出力であるゲーム機(Nintendo SwitchやPS3、PS4)を例に紹介しましょう。
2)パソコン
OBS Studioは、Windows 10、macOS、Linux版があります。
スペックは、
- 第6世代(SkyLake)以降のIntel Core i5 以上のCPU
- Radeon 500系
- GeForce 1050以上
であれば、問題ないでしょう。
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Macについては、2014年以降で発売されたもので、MacBook以外なら、どのMacでも良いです。Thunderbolt、もしくはUSB3.0のポートがあればHDMIキャプチャーデバイスにつなぐことができます。
MacBook Pro、iMacが無難です。もちろん、Mac ProもOKです。OSは、OS X El Capitan(10.11.5)以降、macOS Sierra(10.12.3)、macOS High Sierra、Mojaveと、新しいモノにしておきましょう。
3)HDMIキャプチャーデバイス
BlackMagicDesign社のものをおすすめします。
選び方やおすすめの機種のまとめ記事は、
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手持ちのHDMIキャプチャーデバイスは、
- Intensity Pro 4K
- H.264 Pro Recorder
- Intensity Shuttle for USB3.0か、Intensity Shuttle for Thunderbolt
- Ultra Studio Mini Recorder
- intensity Extreme
等があります。
Elgato 4K60 S+については、
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それぞれ買って実際に使っているのでレビュー記事を参考にしてください。
OBSのやり方 インストール手順
- HDMIキャプチャーができる状態にする。
- OBS(Open Broadcast Software)をインストールし使えるようにする。
- YouTube ライブストリームへの接続設定をする。
- OBSからの音が欲しい場合は、LadioCast(ミキサー)をインストールし調整する。
パソコン上でHDMIキャプチャーができるのを確認
こんなかんじで、Macにゲームの画面が録り込めている状態までしておきます。そのためのセットアップは、それぞれの環境で違うので、自分のゲームで遊ぶ環境に合わせて組み上げてください。
PS4は、本体に録画、ブロードキャスト機能が標準装備なので、Nintendo Switchで必要になることが多いと思います。

Nintendo Switch のプレイ動画配信基本配線図
MacでHDMIキャプチャーをするための方法は、こちら。←リライト中
Intensity Pro 4Kの場合はこちらを(修正加筆&移行済み)
- UltraStudio Mini Recorder
- Intensity Shuttle for Thunderbolt
対応解像度が、1080p/30までなので、1080p/60fpsの録画や配信ができません。HDMIの映像を1080pから720p/60fpsにダウンコンバートして使います。
AVアンプなどを使う本格的な配線方法については、シリーズ物として準備中。
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OBS(Open Broadcaster Software)をインストールして設定
大まかな手順、
- 最新のOBS(アプリケーション)をダウンロード
- パソコンへインストールして設定する。
- 調整する
最新のOBSをインストール
https://obsproject.comで、最新のOBSをダウンロードしてください。
2020年11月現在で、Windows 版が26.0.2、Mac版が26.0.3、Linux版が26.0.2です。
Mac版のファイル名は、「OBS.app」です。Windows 10は、OBS-Studio-26.0.2-Full-Installer.exeです。
Macの場合は、アプリケーションフォルダにドラッグ&ドロップでコピーします。
アンインストールは、アプリケーションフォルダにあるOBSをゴミ箱にすてて再起動します。
Windows 10版は、インストール後、ウイザードが開いて、ブロードキャスト向け、単に録画するだけの用途別に最適化した設定が自動でできます。
OBSを起動しプレイ動画の録り込みキャプチャデバイスを設定
インストールしてから、起動すると、macOSから、警告がでます。
- マイクを使おうとしている
- キーの監視をしようとしている
- 各通知をしてくる
など、macOSのセキュリティが警告を出します。システム環境設定で変更をして、それらを許可するには、パスワードが必要です。
ゲームキャプチャボードやキャプチャーデバイスを使ってゲームの配信をする場合、音声をパソコン側でいろいろやらないかぎり、システム環境設定の変更や許可はいりません。
設定のガイダンスが出ます。
設定は、独自にやるので、ここは、キャンセルで構いません。
そこで、「ソース」の「+」をクリックして、開いたメニューから、「BlackMagic デバイス」を選択します。
ソースの新規作成で、名前を適当に付けます。私は、キャプチャデバイスの「Intensity Pro 4K」にしました。「Intensity Shuttle」なら、「Intensity Shuttle」にすると良いでしょう。
プロパティのウインドウが開きます。
ここで、デバイスは、「Intensity Pro 4K」を選択します。
モードは、解像度のことです。
キャプチャーしているHDMI映像が、
- PS4やWii Uは、1080p / 59.94fps なので「1080p/59.94」
- Nintendo Switchは、1080p / 60fps なので、「1080/60」
を選択します。でも、これだけでは映像がでません。
ピクセルフォーマットを、「8ーbit BGRA」にすると映像が出ます。
映像がでますが、全体表示の1/4の表示になります。
その理由は、OBSがMacのデスクトップ画面を認識して、UHD(3840×2160)で表示し、実際に録り込む画面は、フルHD(1920×1080)なので、1/4の表示になるからです。
もし、ディスプレイが、フルHDの1920×1080なら、そのまま全体表示になりますし、iMac 5Kなら、同じように1/4の部分表示になります。
そこで、OBSの認識する画面を全体に広げます。赤い枠で囲まれているので、右下の角をドラッグして全体に広げます。
1/4表示になっている時のOBSの映像の設定状態です。
基本(キャンパス)解像度が、3840×2160 というUHD表示になっています。さらに、出力(スケーリング)解像度が、1920×1080のフルHD表示になっているために、1/4表示になるということです。
基本(キャンパス)解像度で、1920×1080に変更しても、ドラッグしたのと同じになります。
配信先の設定:YouTube Liveの配信設定
YouTubeのアカウントは持っていますよね? なければ、Googleアカウントを取得して、YouTubeのアカウントももらってください。そうすれば、YouTubeに動画をアップロードができます。
詳しいやり方は、こちらで解説しています。
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YouTubeライブの始め方と設定方法について詳しく解説します。
グーグル傘下の動画配信サイトのYouTubeには、個人が世界に向けてライブ配信するためのYouTube Liveというサービスがあります。個人でも自由に動画をリアルタイムでYouTubeに送って、みん ...
左のカラムに「クリエイターツール」が表示されているページなら「ライブストリーミング」のタブを開きます。
そこで、自分のライブストリーミングページを作ります。
下の方に、「エンコーダの設定」がありますから、そこのサーバーURLと、ストリーム名/キーがあります。とくに、ストリーム名/キーは重要ですので、他人に盗まれないように取り扱いには注意しましょう。キーをハイライト(選択)して、コピーします。
最近は、Studioの黒い画面になって、さらに分かりやすくなっています。
配信設定ヘルプをクリックすると、
ストリームURLと、ストリーミングキーがそのままコピペ(コピー&ペースト)できるウインドウが開きます。
OBSの「設定」/「配信」で、「ストリーミングサービス」を選び、
- サービス:カスタム
- サーバー:URLコピペ
- ストリームキー:コピペ
OBSの配信の詳細な設定
設定/出力/出力モードは「詳細」
- 「エンコーダ」は、「x264」です。「アップルVT H264ソフトウエアエンコーダ」が使える場合は使います。
- ストリーミングサービスのエンコーダ設定を適用するにチェック。
- 出力はリスケールしません。
- レート制御は、CBR(ビットレート固定)で、1080pでの配信は、YouTubeでは4500〜9000kbpsです。7000Kbpsで使っています。

YouTubeより
OBSで、配信、音ズレが起きる理由の一つが、”バッファ”
「特定バッファサイズを使用」のチェックは、特に理由のない限り入れてはいけません。この「特定バッファサイズを使用」のチェックを入れると、録画、および配信で音声と映像のズレが生じます。
設定/出力/出力モード・詳細/の「録画」のタブでは、
- 「録画ファイルのパス」を指定します。デフォルト(初期設定)では、起動ボリュームのユーザ/ムービーになっていますが、録画ファイルであふれてSSDを圧迫するので、「参照」をクリックして別の大容量の録画ファイル保存専用のHDDのフォルダに指定します。
- 録画フォーマットは、flvファイルやmp4ファイル等、いろいろ選べますから、好きにしてください。
- オーディオトラックは弄らなくていいです。
- エンコーダは、「x264」でいいです。
- 出力はリスケールしないので、チェックは入れません。
- カスタムマルチプレクサーは、よく分からないので設定しません。
- レート制御は、ビットレート固定のCBRにします。この辺の設定は、配信と同じ設定にします。
私のようなCore i7 6700Kのオーバークロックでハイスペックなパソコンだと、配信も録画も同時にしても、処理速度に余裕があるので、カクついたり、ブロックノイズがでることはないです。
ただし、「特定バッファサイズを使用」にチェックを絶対に入れないようにしましょう。これが音ズレの原因になります。
HDMIキャプチャデバイスのハードウエアエンコードをするAVT-C878のようなものは、USB2.0で転送するために圧縮された動画ファイルになります。PCに録り込んだデータを1度デコードするために、マシンパワーを猛烈に使います。QSVが有効であればCPUパワーに余裕がでて配信時の音ズレが起きにくくなります。

自分のパソコンに、いったん録画してから、それを編集してアップロードするようにしましょう。
配信開始と停止をして、配信テスト
昔は、OBS単独でライブ配信ができていました。今は、YouTube Studioのページを開いていないと配信ができません。
意図せず配信してしまう放送事故を防ぐ意味もあるようです。
まず、ブラウザで、YouTube Studio のライブ配信ページに行きます。
ここで、配信するタイトルと内容を入力します。前回配信した内容を変更します。
設定ができたら、配信開始ボタンを押して配信してみます。
別のパソコンやタブレットで、自分のライブストリームのページを開いて、配信ができているか?を確認してみましょう。配信開始ボタンをおして配信が始まっても、実際には少し遅れて配信が始まります。
YouTube ライブストリームは、自動で録画してくれているので、それを見ながら、ビットレートなどの調整をしていきます。
LadioCast
Mac側からOBSで配信しているゲームの音を出したいという人がいると思います。その時は、LadioCastというMac用のミキサーアプリケーションを別に起動して、Mac側の音を出す設定します。
私は、ゲームの音をAVアンプからの5.1chのサラウンドでプレイしているので、配信している自作PC(OS X El Capitan)から、ゲームの音を出しません。
OBS単体でMac側に配信している動画の音声を出力しないという、私には都合が良い仕様になっています。
LadioCastは、App Storeで無料で手に入ります。作者は日本人です。無料配布に感謝です。
Macの音声の入出力の4系統を設定できます。
AG03は、YAMAHAのUSBオーディオインターフェイス・ミキサーです。ウエブキャスト用に作られているので、使い勝手は、とても良いです。
AG03もループバック機能を持っているので、マイクは、AG03につないで、入力にAG03を加えておけば、AG03側で調整しつつ、LadioCast側でも調整が必要になります。
OBSで配信して起こるトラブルや問題の対策方法
LadioCastで設定したらMacからゲーム音楽が聞こえるようになったが、音が悪い。
OBSとLadioCastの再起動を試してみると改善することがあります。
マイクからの音がズレる
OBSのマイクの音声を弄ります。あまり改善しないこともありますから、あきらめて録画したものにアフレコしてください。
音が出ない
OBSの前に、HDMIキャプチャーデバイスへのHDMI信号に、ゲームの音があるのか?を確認してください。
出ない場合は、HDMIスプリッターやパススルーに問題があります。
まとめ
この記事は、2016年11月4日に、ライブドアの旧ブログに書いたものを、リライトして再掲載しました。
これで、Nintendo Switchのプレイ動画配信も、問題なく行えています。
Windows 10版については、別ページに分ける予定です。